【センバツ出場校分析】大阪桐蔭高等学校（大阪）

田中 誠也（大阪桐蔭）

【チーム構成の特徴】

秋季大会登録は20人。その内、右投げ左打ちは5人で、左投げ左打ちも5人。レギュラー格は4人が左打者。
大阪府出身者は12人。その内、学校所在地の大東市出身はエースの田中 誠也など2人。府外は隣接する兵庫県の出身者が多く、近畿地方以外の出身選手は愛知県と徳島県が1人ずつとなっている。

【ディフェンス面】
夏も活躍した左腕・田中 誠也が新エースとなり、全9試合に先発した。完封2を含む7試合で完投した。74奪三振は投球回数（57）を大きく上回り、奪三振率11.68は出場32校の主力投手の中でダントツのトップ
。大阪府大会準々決勝から決勝までは3試合連続二桁奪三振で、近畿大会の天理戦でも敗れはしたが10個の三振を奪っている。公式戦後半の強豪相手にこれだけの三振が奪えたのは、田中と仙台育英の佐藤 世那の2人だけである。
そして失策はわずか1個。それも大阪府大会初戦だけで、以降は8試合連続で無失策だった。1試合平均0.15はもちろん32校中1位である。特にセンターラインは1つも失策をしていない、堅守が秋は光った。
1試合平均許盗塁も0.44と低く、こちらは8位。天理戦で舩曳 海に1盗塁を決められた以外は、大阪府大会序盤での2盗塁しかなかった。

【オフェンス面】
チーム打率0.399は今大会出場校の中で静岡に次いで2位。また全101安打に占める長打の割合は41.6%でこちらも八戸学院光星に次いで2位だった。本塁打7も2位タイである。
他にも1試合平均得点12.10、平均安打14.90が共に2位で、長打率0.648と出塁率0.470は静岡を抜いてトップだった。

個人で見ると、3番・福田 光輝が打率0.185と苦しんだ一方で、夏はベンチ外だった選手の活躍が目立つ。1番・永廣 知紀は打率0.406で13打点を挙げ、2番・中山 遥斗も10打点を挙げ、長打の割合が63.6%。この1、2番は三振がわずか1個だけというのも特徴の一つである。
他にも秋後半からスタメンで抜擢されるようになった吉澤 一翔が打率0.538をマーク。濵田 功平も0.533と打ちまくった。濵田の長打率0.933は32校の主力選手の中で2番目に高い。

もう一つの特色が犠打飛。1試合平均0.89は32校の中で群を抜いて少ない。得失点差平均が10.33と32校で最も大差ゲームが多かったこともあるが、極力バントを使っていないのが春にどうなるか。不気味なデータと言えるのではないだろうか。

【戦い方から見える傾向】

夏の甲子園で優勝し、全国で最も遅い新チームのスタート。8月28日からわずか4試合をしただけで、秋の大会へと突入した。夏のベンチ入りメンバーからは、ショートのレギュラーだった福田 光輝新主将や、3回戦で八頭を完封した田中 誠也など5人が残っている。

投手陣ではとにかく田中を先発にすることにこだわっている。この使い方を見る限り、選抜出場が大きく近づく近畿大会準決勝以降で他の投手を先発させたかったように思える。しかし、その前の準々決勝で敗れることになってしまった。

近畿大会後には兵庫育英と練習試合を組み、ここで田中を投げさせずに高山 優希など他の投手を起用している。
公式戦9試合の内、実に6試合がコールドゲーム。1試合あたりの平均イニング6.78は出場32校で最も少ない。