【センバツ出場校分析】近江高等学校（滋賀）

小川 良憲（近江）

【チーム構成の特徴】

秋季大会登録は27人。その内、右投げ左打ちは7人で、左投げ左打ちは2人いる。レギュラー格は2人が左打者。
滋賀県出身者は14人。その内、学校所在地の彦根市出身は2人。県外は隣接する京都と岐阜の出身者が多く、残りも東京の1人を除いては近畿地方出身選手で構成されている。

【ディフェンス面】
昨年のチームからのエース・小川 良憲が絶対的なエース。7試合全てに先発して4完投、防御率は1.88、滋賀県大会初戦から近畿大会1回戦までは6試合連続で2失点以内に抑えるなど安定感を見せた。初めて崩れた試合が、敗れた立命館宇治との近畿大会準々決勝だった。

小川は奪三振率が3.56と32校の主力投手の中で4番目に少ない。そのため、被安打率が8.06と多くなってしまっているが、打たせて取るピッチングスタイルが、バックに好影響をもたらした。その証拠となる数字が失策わずか2の守備陣で、1試合平均0.33は大阪桐蔭に次いで2番目に少ない。内野手の失策はわずか1個で、三遊間は無失策だった。チームの総失点と投手陣の自責点がまったく同じというデータは、守りが足を引っ張らなかったことを示している。
また許盗塁も滋賀決勝の北大津戦での1個だけで、1試合平均0.16は32校中3位となっている。

【オフェンス面】
チーム打率0.310は出場32校中、21位。全61安打に占める長打の割合は24.6%でこちらは18位だった。打率0.217の仲矢 惇平、0.167の日比 涼介など夏の滋賀大会で打ちまくっていた選手が不調だったことが、攻撃で苦労した原因となっている。これと比例して、試合毎に打順は変わっていった。
苦しむ選手が多い中で、結果を残したのが夏はベンチ外だった杉野 翔梧。打率は0.407で、三塁打4は出場全選手の中で仙台育英の平沢 大河と並んで最も多かった。

笹治 健汰は打率0.429で6四死球、喫した三振は0。さらに岡 勝輝は控えながら7打数4安打で打率0.571をマークしている。
一方わずか3本しかヒットを打てなかった日比だが、その内2本は長打。元々は打力があることを示している数字と言えるだろう。
他に目立つ数字が1試合平均四死球で、6.22は宇部鴻城と立命館宇治に次いで3位となっている。

【戦い方から見える傾向】
8月21日に夏の甲子園が終了。エースの小川 良憲などベンチ入り7人が残った新チーム最初の実戦は30日だった。当初は疲労を考慮して小川はリリーフのみの登板。滋賀県大会前の9月7日に行われた四日市工業戦で初めて先発した。同じ日の高志戦では、サラサル・アレキサンダー・英二が完投している。

公式戦は7試合中滋賀県大会前半の2試合がコールドゲームでともに5回で終わらせた。1試合当たりの平均イニングは7.86。ただ好調だった打線は、滋賀準決勝の彦根東戦以降苦しむことになる。3試合連続で1点差と、小川を中心に守備で頑張って勝利した印象だ。
近畿大会後も練習試合を行い、11月24日にはエース小川が豊川相手に2失点完投を果たして秋を終えた。