目次

[1]OPS/WHIP(健康度)とは?/12球団の2019年シーズンのOPSとWHIP
[2]簡単に健康状態を把握するためのKPI


 3ヶ月遅れで6月19日に開幕したプロ野球。まだまだシーズン序盤で、順位やデータの話をする時期ではない。しかし、毎日の勝敗で一喜一憂するのがファンというものだ。贔屓のチームが勝てば、夜のニュースをハシゴする。そんなルーティンを持つ方も多いだろう。

 「負けたら終わり」だった高校野球とは異なり、プロ野球は長期戦。だからこそ、チームの健康状態が気になるものだ。名将 野村克也氏はかつて、「勝ちに不思議な勝ちあり、負けに不思議な負けなし」と言った。贔屓のチームは「不思議に勝ちすぎている」(状態は良くないが、不思議と勝っている)のだろうか。それとも「当然負け越している」(状態が悪く、そして負けている)のだろうか。ここではOPSとWHIPを使ってチームの健康状態を把握する簡単な指標(OPS/WHIP:健康度)を紹介したい。

OPS/WHIP(健康度)とは?

 OPSとは「On-base plus slugging」の略で、出塁率に長打率を足し合わせた指標だ。OPSだけでは打者のタイプの違い(出塁率が高いのか、長打率が高いのか)などが正確には理解し難い側面もあるが、例えばチーム得点とチームOPSの相関関係は非常に強いと言われている。つまりOPSが高いチームは、得点力が高い傾向にある。



※鈴木誠也(二松學舍大学附属)や坂本勇人(光星学院)、山田哲人(履正社)など昨季のセリーグは高校卒プロ入りした選手がOPSランキングの上位を占めた。ラベル表示している打者のOPSは0.9以上を記録。どの選手もイメージ通りの強打者だ

 WHIPとは「Walks plus Hits per Inning Pitched」の頭文字を取ったもので、1イニングあたり何人のランナーを出したかを表す指標だ(安打とフォアボール以外のイベント、例えばデットボールやエラーはこの指標の計算に含まれないことに注意)。ちなみに、セイバーメトリクスの世界ではWHIPを統計的な分析目的で使用することの有効性について、強い疑義が示されている(例えば打球が安打になるかどうかは守備の影響を大きく受ける)。しかし、ここでは「わかりやすさ」を重視するためあえてWHIPを使用する。

 OPS/WHIP(健康度)は読んで字のごとく、OPSをWHIPで割ったものだ。日本語で大まかに説明するのであれば「1イニングに出したランナーあたりの攻撃力」と言ったところだろうか。字ズラで見れば、この指標がチームの勝率(≒順位)に強く関係していることの想像がつく。なぜなら、強いチームは出塁させない投手陣と出塁し長打を放つ野手陣を擁するからだ。

12球団の2019年シーズンのOPSとWHIP



※グラフを見やすくするために、WHIPに「-1」を掛けた。可視化してみると各チームのイメージがよくわかる

 ここでは例として、2019年シーズンのセパ両リーグのチームOPSとWHIPをグラフにする。ここから、2019年の各球団の特徴がよくわかる。例えば、パリーグ優勝を果たした西武や青木、山田、村上が引っ張るヤクルトが非常に頼もしい打撃陣を誇っていたことや、巨人は攻撃陣も投手陣も非常に良い成績を残したことが一目瞭然だ。

 対照的に、阪神は投手陣が一定の成績を残したと評価できるものの、野手陣が心もとない成績だったことが表現されている。



2015年〜2019年のOPS/WHIPと勝率

 2015年から2019年までのOPS/WHIP(健康度)と順位の関係も可視化するとわかりやすくなる。OPS/WHIPと勝率は見事な右上がりの直線的な関係、つまりOPS/WHIPが良ければ勝率も良い傾向にある。

 ここから、応援するチームが短期的に負け込んでいても、OPS/WHIPの値を確認すれば中長期的なトレンド(健康度から考えるともう少し勝ちそうなど)を理解できる。



2019年のOPS/WHIPと勝率

 2019年シーズンのOPS/WHIPと勝率を表現すると、セパ両リーグ共に昨年は圧倒的に強かったチームが存在しないことがわかる(両リーグとも例年の1位水準のOPS/WHIPを記録したチームがない)。パリーグは2位水準に西武・ソフトバンク・楽天が入っていて、シーズンの白熱ぶりがうかがえる(実際、優勝した西武と2位のソフトバンクのゲーム差は2で混戦だった)。

 セリーグはDeNA・阪神・広島・中日が3.5ゲーム差以内で終盤まで順位争いをしていたことがグラフからも読み取れる。実はこの4チームの中で一番OPS/WHIPが良かったのは中日だ。ここから、昨年の中日はもっと勝っていても不思議ではなかったと言えるかも知れない。

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