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2014.1.4 安樂智大(2年)2014年始動!

2014.01.07

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 昨年は選抜大会で152キロをマークし済美を準優勝に導く大活躍。夏の選手権愛媛大会準決勝・川之江戦(2013年7月26日)では157キロ、甲子園でもスピードガン表示甲子園タイ記録となる155キロをマークした2014年ドラフトの超目玉右腕・安樂智大(済美2年・主将)が1月4日(土)14時に愛媛県松山市郊外の[stadium]済美球技場[/stadium]で2014年を始動させた。

 「捲土重来を期すには120%を出す自覚を持ち、小さいことを大切にしていこう」と上甲 正典監督から年頭訓示を受け、ランニングから練習スタート。昨年末までは右腕に負担がかかるメニューを避け、200mのショートダッシュを中心とした走り込みや体幹に力を入れてきた安樂であるが、この日の練習では全てのメニューを消化することになった。

 特に挟殺プレーの要素を入れたボール回しに入った後には3回途中で負傷降板。「右腕尺骨神経まひ」と診断を受けた昨年9月22日の秋季愛媛県大会1回戦西条戦以来、104日ぶりに本格的なキャッチボールを開始。2回にわけ、約70球の投げ込みで2月以降に予定しているブルペン入りへの第一段階を踏んでいる。

 最後は全員でグラウンド一周(約280m)を46秒以内に設定されたタイム走10本を走りきり、5時間半の練習を終えた安樂。チームが苦しい時に率先して先頭を走り、声を掛け続ける姿に、主将としての頼もしさを感じる2014年練習はじめとなった。

2014年練習始め 安樂智大一問一答(報道陣との囲み会見)

昨年9月22日以来となるユニフォームでの本格的キャッチボールを行った安樂智大(済美2年・主将)

――あけましておめでとうございます。

安樂 智大選手(以下、「安樂」) おめでとうございます。

――昨年12月30日からの正月休みはどう過ごしましたか?

安樂 元日までは両親の実家である神戸に行って、家族で過ごしました。普段は単身赴任の父(晃一さん)や、九州の大学に進んでいる兄(雄大さん)とは久々にゆっくり話をしましたし、母親(ゆかりさん)とも練習期間中はあまりチームのことなどを話をすることもないので、はじめてといっていいくらい将来のことを話し合えました。高卒プロ入りの意向は伝えましたが、両親からは特に口を挟むことはなかったです。

――神戸の街でも声を掛けられりしました?

安樂 はい。キャッチボールをしていても、『まさか神戸におるとは思わなかった』と言われて。『俺、応援しているから阪神に来てくれ』とも言われましたが、特にファンではないので笑ってごまかしました(笑)。

――そして勝負の年となっての初練習ということですが、今の気持ちはどうですか?

安樂 体自体は元日から動かしていたので、そんなに違和感はありません。ただ、自分にとって高校野球生活最後の年となるので、自分の今までやってきたことをしっかり出せる年にしたいと思います。

――今日は表情もリラックスしていたように見えましたが?

安樂 リラックスするほど余裕はありません。長そうで短い高校生活ですし、まだやり残したこともたくさんあるので、課題をその間にクリアしたいと考えています。

――秋季愛媛県大会以降は全くボールを投げない日々が続きましたが、そこはどう感じていますか?

安樂 肩を休められたことはよかったと思っていますし、他のチームのピッチャーが1時間投球に費やす間、ランニングやウェイトトレーニングができました。この三ヶ月間は高校生活の中で一番走りました。この冬やったトレーニングを夏までしっかり続けることができることで、自分の目標にプラスになれればいいと考えています。

――その達成度については?

安樂 秋に負けた後、(上甲 正典)監督さんと話をしてこの3ヶ月間の練習メニューを考え、それ以上のメニューもプラスでやってきたので、練習としてはしっかりできたと思います。
 とはいえ、練習の成果をだしてこそ、練習の達成度が語れると自分は思っています。夏、これで結果が出ないのであれば、『この3ヶ月は無駄』ということになりますし、逆に夏、自分の目標である全国制覇につなげれば、『この3ヶ月は投げられないでよかった』ということになります。

 ですので、最後に終わってみないと達成度は表せないですが、自分の中では自信はもっています。

上甲正典監督の年頭訓示を聴く済美・安樂智大(2年・主将)

――具体的にプラスした部分を教えていただけますか?

安樂 これまではどこのチームにもあるランニングで10km走るようなメニューが多かったのですが、指導者の皆さんとも話をさせて頂いて、平日は200mダッシュで合計10km(50本)、休日は200mダッシュで合計12km(70本)走る練習を加えました。その方が下半身強化によりつながるとおもいましたし、合間に8kmのランニングも入れたりして去年以上に走っています。
 それとウエイトも数値が上がってきています。スクワットもこれまでは120kgだったのが、今年の冬は200kgを10回上げられるようになりました。ウエイトについても力は入れていましたが、これまでの形だけから自分のできる最大の努力に挑戦できるようになりました。よくはなってきていると思います。

――体重などについても意識は変わりましたか?

安樂 今は88kg。体質とかを考えて最高のパフォーマンスが出せるように、92kgから意識的に絞って、そこから走り込みとウエイトで絞まった筋肉を作り上げるようにしています。夏前の追い込みで体重は減るので、いい形で夏に合わせていければと思います。

――今日の練習冒頭、上甲 正典監督からは「投球をしてよい」という話もありましたが?

安樂 昨年12月後半から短いキャッチボールは徐々にしています。昨年12月30日からの練習休み中も兄(雄大さん)とキャッチボールをして、今年に入ってからは塁間程度に伸ばして投げています。
 ただ、3ヶ月以上本格的な投球をしていないので、まずはこの塁間程度のキャッチボールから作っていきたいです。練習試合開始が3月なので、1月から徐々に肩を作り、2月は投げ込んで3月にしっかりしたピッチングに持っていきたいと自分の中では考えています。

――現在、9月に痛めた右ひじの状態は?

安樂 最初は私生活でも痛みがありましたが、今はストレッチをしていても痛みは全くありません。徐々に作っていけば大丈夫だと自分では思っています。

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[page_break3年生になる2014年のテーマは???]

3年生になる2014年のテーマは???

体幹トレーニングに取り組む済美・安樂智大(2年・主将)

――2014年、個人的にテーマとしていることはありますか?

安樂 勝てる投手になること。貪欲に勝ちにこだわれれば、自分の結果も変わってくると思うし、とにかく勝ちにこだわるピッチングをしたいです。フィールディング強化とかもこの三ヶ月の間に取り組んできました。

――2月以降の練習で描いているポイントはありますか?

安樂 走りこみとウエイトは継続していかないと意味はないので、3月まではしっかり追い込んで作って、実戦の中で色々と考えていけばと思っています。

――投げ込む中で球種的に磨いていきたいものはありますか?

安樂 縦の変化については取り組むことを言い続けながらできていない自分がいる。監督さんともたくさん相談をし、今大学に行っていて、年末年始にグラウンドにいらっしゃっていた済美OBの皆さんからも聞きながら、スプリットだったりチェンジアップだったりを磨いていきたいと思います。
 谷本 憲哉さん(専修大2年)からはスプリットの握りを教えていただきました。金子 昴平さん(3年)からは様々な大学の練習会で聞いたチェンジアップの投げ方を教えていただいています。
 ただ、一番の軸はストレート。ここだけは見失わないようにしたいです。ストレートを軸にしながら縦の変化球を磨いていければいいですね。

主将として

――今日の練習中には主将として厳しい言葉もチームメイトにかけていますが?

安樂 中学時代(松山クラブボーイズ<現:松山坊ちゃんボーイズ>)時代にもキャプテンをしていたとはいえ、それとはぜんぜん違うもの。今までは先輩たちについてばかりの野球生活でしたし、プライドが高い選手たちがたくさんいる中で、指揮を執ることは難しいですが、みんなもついてきてくれていると思うし、まずは自分が率先してやっていきたいと思っています。

――主将として自分で気を遣っていることは?

安樂 口だけの選手は自分も一番嫌い。自分が言葉で言っている以上、それ以上の行動を自分で示して、『安樂はあれほどやっているから、自分が言われても仕方がない』という選手を目指しています。

トスバッティングを行う済美・安樂智大(2年・主将)

――今日はNPBのスカウトさん(東北楽天、阪神、北海道日本ハム)もいらしていますが?

安樂 来て頂いていることは嬉しいことですが、自分はあくまで甲子園出場を目指して練習しているので、意識はさほどしていません。

――とはいえ、この一年はこの先の野球人生の上でも大事な一年になると思うが?

安樂 高校生の間にどれだけできるかで、これから目指す上での自分の野球人生も決まってくると思います。

――プロへの意識は?

安樂 自分は幼いころからプロ野球選手になりたいといってきたし、そこへのこだわりもあります。済美入学当初から監督さんにも『ずっとプロになる意識は忘れるな』ともおっしゃっていただいていますし、プロになりたい想いで練習もしています。
 でも、最上級生になってまずはプロよりも高校生の間でしかできない『甲子園に行くこと』を意識するようになりました。プロの夢はその次のステップであっても、叶えられること。夏の甲子園優勝は今年でないと叶わない目標なので、そこをまずは目指していきます。

――その先に色々なものが見えてくれば、ですか?

安樂 そうですね。

――最後に意気込みを改めて

安樂 高校野球最後の年、たくさんの応援している方々、お世話になっている方々のために、よく皆さんは『集大成』という言葉を使われますが、自分は集大成の中でも皆さんに『恩返し』ができるように。この冬どれだけやれたかで夏の結果は決まってきます。
 済美高校は全国1位を狙って練習しているし、チームとしての練習はどこにも負けないと思っていますし、今の練習を継続できれば夏の甲子園出場と、自分の入学当時からの目標である全国制覇につながってくる。
 夏の全国制覇は愛媛県勢としても自分が生まれた1996年(松山商)以来ありませんし、田坂 僚馬コーチも2004年・目標の全国制覇に届かなかった(駒大苫小牧の前に準優勝)。昨年、夏の甲子園は味わえましたが、47,000人の前で優勝を決める経験は自分ではできていない。一番の目標に一歩でも近づけるように進んでいきたいと思います。

(文・寺下 友徳)

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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