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第96回全国高等学校野球選手権千葉大会 展望

2014.06.21

今年も激戦!群雄割拠の千葉を制するのは

 第96回全国高等学校野球選手権千葉大会の組み合わせが決まった。昨年は木更津総合が15年ぶりの夏連覇を果たした。その木更津総合も優勝候補に挙がっていたわけではない。勝ち進むごとに勢いを付けて、強豪校を打ち破っていた。千葉は7月11日から開幕して、決勝は7月26日。15日間で消化するというタイトなスケジュールであり、試合間隔が短い分、勢いが持続できるという見方もある。今年はどこが千葉を制するか。ブロック別に注目校を紹介していきたい。

東海大浦安・船橋北ブロック

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▲一志 亮弥(東海大浦安)

 今春準優勝の東海大浦安一志 亮弥(3年)、平川 裕太(3年)の二枚看板を中心に、勝ち上がった。一志は右サイドから140キロ近い速球とキレのあるスライダーのコンビネーションで、勝負。平川は135キロ前後ながら、角度ある速球とカーブのコンビネーションで勝負。平川は千葉経大附東海大相模といった打力あるチームを封じており、投手力の高さは県内トップクラス。打線の底上げで、甲子園を狙う。東海大浦安のブロックで面白いのはノーシードで登場の市立柏。投手育成に定評のある市立柏だが、今年は速球派右腕・菅谷 元紀(3年)を擁し、上位進出を狙う。

 東海大浦安ブロックにはCシードの習志野が登場。例年、投手力、守備力の高さで勝負する習志野だが、今年は打線が例年以上に破壊力があり、上位下位に切れ目がない。経験豊富な好打者・吉田 春樹(3年)、スラッガー・飯島 将輝(3年)、6番打者ながらパンチ力ある打撃を見せる石田 晃太郎(2年)と能力の高い打者が揃う。習志野我孫子東成田北の勝者と対戦するが、我孫子東は2年生中心に好選手が揃う。エース・岩田 裕生(2年)、140キロ右腕・宮城 正規(2年)、強打の捕手・恩田 綾(2年)の3人は1年から出場を続け、1年経て公式戦でも結果を残すようになり、成長を見せている。夏までさらに底上げできるようになると面白い対決になるのは間違いない。

 続いて船橋北ブロックを見ていきたい。船橋北はエースの青木 佑輝(3年)を中心に堅実な守備で、最少失点に切り抜けるのがスタイル。秋、春と二季連続ベスト8進出したように、試合運びがしっかりしているので、投打でより成長を見せれば、上位進出の期待がかかるチームである。Cシードの流通経済大柏は140キロ近い速球を投げ込む右腕・杉浦 彰悟(3年)、1番を打ち、思い切りの良い打撃で、突破口を切り開く井田 一輝(3年)、右、左に打ち分けるバットコントロールの良さが光る諸積 怜(3年)と対戦していて厄介と思わせる選手が揃う。同ブロックでは常時130キロ台を計測する本格派左腕・完倉 康記(3年)を擁する八千代東にも注目したい。

[page_break:千葉経大附・東海大望洋ブロック/専大松戸・千葉英和ブロック]

千葉経大附・東海大望洋ブロック

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▲中村士朗(千葉経大附)

 Aシードの千葉経大附は野手の能力の高さは千葉県トップクラス。1番は俊足巧打の稲村 晃希(3年)、クリーンナップには独特の威圧感がある中村 士朗(3年)、長打力のある沓澤 侑輝(3年)、強肩強打の黒田 架瑠(3年)、ライト方向へ長打が打てて、軽快な遊撃守備がウリな中村 健太(3年)と能力の高い選手が揃う。キレのある変化球をウリにする左腕・岡本 直也(3年)を中心に投手陣の底上げが出来れば、2008年夏以来の甲子園出場も見えてくるだろう。

 千葉経大附と同ブロックのCシード・千葉学芸は140キロを超える速球を投げ込む池田 清良(3年)は千葉日大一幕張総合との勝者と対戦するが、千葉日大一のエース・武田 凌佑(3年)は常時135キロ前後、縦のカーブを武器にする右の本格派右腕。東海大望洋に接戦を演じた好チームで対戦が実現すれば、接戦が予想される。同じブロックの四街道はノーシードだが、昨秋代表決定戦では中央学院に0対1、今春のブロック代表決定戦で、千葉敬愛に0対1と接戦を演じており、侮れないチーム。エース・工藤 竜也(3年)を中心に守り勝つ野球を目指す。

 Bシードの東海大望洋は個々の選手の能力の高さは県内トップクラス。最速143キロ右腕・原田 泰成(2年)、パンチ力のある三塁手・石井 祐二郎(2年)、軽快な守備が光る山口 洲(3年)、走攻守三拍子揃った大型外野手・鈴木 将平(3年)、常に出塁が期待できる好打者・中古 珠輝也(3年)と投打で圧倒する。同ブロックには中重 拓巳(3年)、遠山 真也(3年)と二人の速球派右腕を揃える西武台千葉、好投手・池田 大和(3年)擁する昨年秋4強の千葉黎明、強肩が光る遊撃手・北里 周(3年)、技巧派左腕・篠塚 雅樹(2年)を擁する東京学館も見逃せない。

専大松戸・千葉英和ブロック

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▲原嵩(専大松戸)

  4年連続春季関東大会出場の専大松戸。投手では140キロ右腕・原 嵩(2年)、控えながら常時130キロ後半の速球、縦割れのカーブを武器にする金子 直登(3年)、打線では長打力に、守備範囲の広い大型ショートストップ・渡辺 大樹(2年)、好打者・高田 拓実(2年)、長打力を秘めた核弾頭・稲葉 魁(3年)と、能力の高い選手が揃い、戦い方も、投手を中心に守り勝つ野球で、安定感がある。自分達の戦いが出来れば、上位に勝ち進んでいくチームであることは間違いない。

 同ブロックのノーシードの市立船橋は今春登板がなかった本格派右腕・青野 善行(3年)の復活が必要不可欠。攻守に総合力が高いチームなので、そこに青野が復活すると、上位進出を狙うチームを脅かす存在になるだろう。

 Bシードの千葉英和はエースの重田 倫明(3年)、スラッガー・網谷 圭将(2年)、長打力のある中田 悠介(3年)と個々の実力はかなり高く、勢いに乗れば、上位進出に期待がかかるだろう。同ブロックで登場のCシード・木更津総合はつなぎがウリで、一発はなくても、打ち崩す。キーマンとなるのは檜村 篤史(2年)で、市立船橋戦(試合記事:2014年04月27日)では4打数4安打2打点1得点と文句なしの活躍を見せ、さらに安定した遊撃守備にも注目。夏の木更津総合は、春とは別のチームと思わせるような成長力が一番のウリで、この夏も、驚かせるような野球を見せられるか。

 木更津総合多古千葉商大付の勝者と対戦。多古は常時130キロ台の速球を投げ込む宮内 春輝(3年)を擁し、千葉商大付は今春ブロック予選で4強の松戸国際と2対4と善戦を演じている好チームで、どちらが勝ち進んでも、好カードになりそうだ。

[page_break:松戸国際・千葉明徳ブロック]

松戸国際・千葉明徳ブロック 

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▲畠山滉平(千葉明徳)

 Aシードの松戸国際千葉敬愛東海大望洋などの強豪を破っての4強。一発はないが、上位下位切れ目なくつながるのが特徴で、勢いに乗れば、一気に二桁得点を挙げるような打線が持ち味である。個人では速球派右腕・植谷 翔磨(2年)に注目。夏も結束力の高さで、甲子園を狙う。このブロックで一番の注目は拓大紅陵銚子商が初戦で激突。全国的にも人気が高い両チームの対戦に大きく盛り上がりを見せている。

 拓大紅陵は長年指揮を執ってきた小枝守監督がこの夏限りで監督を退くことが決まった。それだけに、選手たちにとっては有終の美を飾りたい思いだろう。銚子商も春、ブロック予選で敗退し、夏にかけている思いは強いだろう。好チーム同士の対決なので、勝った方は勢いを付けて、一気に勝ち進むことが予想される。この試合だけではなく、その後の千葉大会を占う意味でも、注目したいカードである。

 同じブロックのCシード・柏日体は遊撃手・山口 直恭(3年)、長打力のあるエドポロ・ジョセフ(2年)など能力の高い選手が揃い、上位進出に期待がかかる好チーム。

 ベスト8入りした千葉明徳のエース・畠山 滉平(3年)は球速表示以上にキレのあるストレートがウリの左腕。ここぞという場面では130キロ後半の速球を連発し、打たせない。畠山を援護するためにも打線の強化を図りたい。

 Bシード・千葉明徳中央学院市川南の勝者と対戦。中央学院は本格派右腕・石井 聖太(3年)を擁する。対戦が実現すれば、2回戦屈指の好ゲームになりそうだ。また昨秋、千葉英和東海大望洋を破った我孫子飯嶋 海斗(3年)、藤澤 和輝(2年)と好投手を揃えた成田、140キロ右腕・櫻井 一成(2年)を擁するCシード・千葉敬愛と実力ある好チームが揃い熾烈なブロックになりそうだ。

  今年もノーシードでも魅力あるチームが多く、1回戦から見逃せない。今年の千葉を制するのは、どこのチームになるか。今から開幕が待ち遠しい。

(文=河嶋 宗一

第96回全国高等学校野球選手権千葉大会 開催概要

第96回千葉大会 組み合わせはこちら(千葉県高野連HPより PDF変換)
7月11日~7月26日 参加校数:170
決勝球場:[stadium]QVCマリンフィールド[/stadium](千葉マリンスタジアム)
その他の球場:[stadium]千葉県野球場[/stadium]、[stadium]青葉の森野球場[/stadium]、[stadium]習志野市秋津球場[/stadium]、[stadium]船橋市民球場[/stadium]、[stadium]市川市営国府台球場[/stadium]
[stadium]柏の葉公園野球場[/stadium]、[stadium]成田市営大谷津球場[/stadium]、[stadium]ゼットエーボールパーク[/stadium](市原臨海)、[stadium]袖ヶ浦市営球場[/stadium]、[stadium]長生の森野球場[/stadium]

昨夏代表:木更津総合(第95回千葉大会結果)
昨秋優勝:習志野(秋季千葉県大会結果) (秋季関東大会結果)
今春優勝:専大松戸(春季千葉県大会結果) (春季関東大会結果)

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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