Column

2015年の高校野球を占う【東京編】東海大菅生&二松学舎大付の対抗馬は?

2015.02.16

 昨秋は西東京の東海大菅生が優勝し、準優勝は東東京の二松学舎大付だった。各校はこの2強にライバル心を持っている選手が多い。それを実感したのは、東南アジア親善高校野球試合の解散式だった。選手に話を聞いて、多くの選手がこの2校をライバルと語ったのだ。2校とも投打の総合力は高く、春、夏も優勝候補として取り上げられ、本命になることは間違いない。だが、例年、各校のレベルが上がり、激しい戦いが繰り広げられている近年の東京都である。今年の東京都はどんな展開を見せるのだろうか。

勝俣の投打の活躍で東海大菅生、秋制覇

勝俣 翔貴(東海大菅生)

 二松学舎大付が、大江 竜聖今村 大輝のバッテリーに、三口 英斗を加えた「1年生トリオ」の活躍で、夏の甲子園悲願の初出場を果たしたことに象徴されるように、昨夏の東西東京大会は、1、2年生の活躍が目立った。そのため秋季大会も、例年以上に好選手が多かった。

 二松学舎大付の「1年生トリオ」は、秋から冬にかけて体も大きくなり、たくましくなった。それに主将の北本 一樹や長打力のある岡田 浩輝ら上級生とうまくかみ合い、夏春連続出場を果たした。

 その二松学舎大付を破り秋季都大会を制したのは、昨夏の西東京大会準優勝校である東海大菅生だ。秋季都大会にMVPがあるとすれば、間違いなく投打二刀流で優勝に貢献した勝俣 翔貴であろう。チーム打率は2割台ながらも、勝俣をはじめ、江藤 勇治伊藤 壮汰といった中心打者は打率が4割を超す。

 準決勝で敗れた関東一にも、抜群の身体能力を誇るオコエ 瑠偉や、野球センスがいい伊藤 雅人森山 将ら経験豊富な好選手が揃い、層が厚い。

 早稲田実業準々決勝で敗れたものの、多彩な変化球を駆使する松本 皓、強肩・強打の捕手・加藤 雅樹を中心に戦力は整っている。

 帝京準々決勝で敗退したものの、稲毛田 渉伊藤 靖晃の投手陣には力がある。打線は例年ほどのパワーはないものの、中道 大波を中心に打線に切れ目がない。

 既に名前が知れた選手の活躍が目立った中で、異彩を放ったのが、法政大高である。3試合連続のサヨナラ勝ちで準決勝に進出。とりわけ、準々決勝早稲田実業戦で、延長10回にエースの小松 陽真がサヨナラ本塁打を放ったことは、秋季都大会最大の驚きであった。

 都立篠崎はミート中心の打撃で、佼成学園の好投手・小玉 和樹を攻略し(試合レポート)、都立雪谷は背番号4の菅家 優之介が好投し、準々決勝に進んだ。

今回のコラムに登場した学校の野球部訪問は以下から!
二松学舎大学附属高等学校(2011年9月12日公開)
関東一高等学校(2014年3月23日公開)
関東第一高等学校(2012年7月04日公開)
早稲田大学系属早稲田実業学校高等部(2012年07月01日公開)
帝京高等学校(2012年12月21日公開)
日本大学第三高等学校(2011年01月02公開)
都立総合工科高等学校(2012年11月13日公開)

2015年度 春季高校野球大会 特設ページ
【ひとまとめ】2015年の全国各地の高校野球を占う!

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最速146キロ、日大三・田村に注目

田村 孝之介(日大三)

 昨年末、東京都選抜チームが東南アジア遠征を行った。この遠征は野球の普及を目的としたものではあるが、選ばれた18人の選手にとっては、他校の選手と交流し、刺激を受ける場にもなった。東京都選抜チームで勝俣とともに一際目を引いたのが、日大三田村 孝之介であった。秋季都大会1回戦早稲田実業相手にコールド負けした田村であるが、壮行試合では最速146キロを記録。春以降の成長が、最も楽しみな投手だ。

 国学院久我山の植田 雄大も球に力があり、最速138キロを記録した。田村と植田は打撃もよく、勝俣とともに二刀流として注目される。

 秋季都大会で早々に敗れたチームやブロック予選で敗退したチームにも好選手が多い。
二松学舎大付の大江と延長15回を投げ合った(試合レポート早大学院嵯峨 悠希都立総合工科平井 成幸大森学園半田 隆人都立片倉矢ケ崎 光八王子実践栗田 海人佼成学園小玉 和樹らは球に力があり、八王子横森 拓也堀越渕上 佳輝日体荏原日体荏原鈴木健介らは変化球のキレ味が鋭い。

 今年は早稲田実業の加藤、二松学舎大付の今村以外にも、好捕手が多い。昨夏甲子園でも4番を打った日大鶴ヶ丘西田 賢太をはじめ、長打力のある国学院久我山の了海 航東海大菅生秋季大会優勝に貢献した斎藤 駿汰のほか、小藤 翼日大三)、吉田 龍平(都小山台)らがいる。

 秋の上位校以外の野手では、パワーある藤谷 耕平成立学園)、ミートのうまい大久保 建汰駒場学園)、足もある石井 雄也八王子)、野球センス抜群の中尾 将国士舘)、夏は捕手で秋は外野を守った堀田 祐樹東海大高輪台)の他にも、力のある選手は多い。また、この春早稲田実業に進学するスーパー中学生・清宮 幸太郎が、どのような形でデビューするかも注目される。

今回のコラムに登場した学校の野球部訪問は以下から!
大森学園高等学校(2011年05月05日公開)
都立小山台高等学校(2014年02月17日公開)
国士舘高等学校(2011年06月30日公開)

2015年度 春季高校野球大会 特設ページ
【ひとまとめ】2015年の全国各地の高校野球を占う!

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東海大菅生、二松学舎大付の対抗馬は

中道 大波(帝京)

 夏の優勝争いは、東東京は選手層が厚い二松学舎大付と関東一が軸になり、わずかな差で帝京が追う展開。大森学園堀越東亜学園に加え、都立篠崎都立雪谷といった都立勢も力がある。修徳成立学園東海大高輪台日体荏原日大豊山岩倉都立城東明大中野らの強豪校が、秋は都大会に進んでいないのがむしろ不気味で、春以降、勢力図が変わる可能性もある。

 西東京は、二刀流の勝俣がいる東海大菅生を、早稲田実業が追う展開。秋は1回戦で敗れた日大三や国学院久我山も立て直してくるだろうし、法政大高も勝ち進むことで、力をつけてきた。八王子国士舘早大学院佼成学園八王子実践も十分実力がある。東東京同様、前年夏優勝日大鶴ヶ丘をはじめ、創価日大二都立片倉など、秋はブロック予選で敗れた強豪校の存在も気になる。

 東西とも、秋の上位校と、それに続くグループの差はあまりない。夏の大会は、序盤から強豪校同士の潰し合いになる可能性がある。

 甲子園とは直接つながらない春季大会に対する認識は、監督によってかなり異なる。しかし、夏の大会を少しでも有利な日程で戦うには、春季大会に勝ち、シード校、それもできるだけ上位のシードを得る必要があるだけに、熱戦が期待できる。

 さらに、秋は旧チームから主力だった選手の活躍が目立ったが、ひと冬越して、春は熱戦の中から、また新たな逸材が出てくることを期待したい。

(文・大島 裕史

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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