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【2014年夏】第96回全国高等学校野球選手権 東東京大会 展望

2014.06.22

 昨年はノーシードの修徳が破壊力ある打線で、勝ち上がった。今年は東東京から2校が選抜出場したが、優勝を勝ち取るのはどのチームになるか。ブロック別に注目校を挙げていきたい。

関東一・雪谷ブロック

羽毛田晶啓(関東一)

 優勝候補に挙がる関東一は総合力の高さ、試合運びの巧さで勝負する。エース・羽毛田 晶啓(3年)は昨年より安定感が増し、しっかりと試合が作れる投手に成長を果たした。打線で昨秋から主軸として活躍する強肩捕手・池田 瞳夢(3年)、勝負強い打撃を見せる伊藤 雅人(2年)を中心とした打線は強力。選抜後に登場したオコエ 瑠偉(2年)、五十嵐 滉希(2年)の2年生コンビの台頭で、打線に厚みが増した。攻守ともに春よりレベルアップを遂げ、2010年夏以来の甲子園を目指す。

 同ブロックには140キロ右腕・舛田 崚(3年)を擁する都立広尾も登場。昨秋ベスト8の日体荏原は初戦で実践学園と激突。日体荏原はエース・日体荏原鈴木健介(2年)が試合を作り、打線では強打の遊撃手・村越 将太(3年)を軸に点を重ねる。実践学園は打線のつながりで勝負。また状況に応じて複数の投手陣を使い分け逃げ切りを図る。また最速135キロを計測する本格派右腕・渕上 佳輝(2年)擁する堀越も同ブロックで、見逃せない存在だ。

 初戦からの好カードでは大型左腕・田中裕貴(3年)擁すると昨夏ベスト8入りした都立江戸川との対戦が面白い。都立江戸川は球速表示は120キロ後半でも打ち難さで勝負する高橋 瑠平(3年)、センス抜群の内野手・南 壮流(3年)を中心に好選手が揃い、見逃せない対決だ。

 都立雪谷はエース右腕・鈴木 優(3年)の出来がカギを握る。最速145キロの直球、キレのあるスライダー、フォークで奪三振を量産するが、力んで、ランナーを溜めてしまうのが課題。連戦が続く夏では、投球数を少なくして、打ち取りたいところ。また鈴木を盛り立てる意味でも、内野手の守備にも注目だ。また実戦経験豊富な好投手・鎌田 光(3年)、打線が強力な日大豊山も上位進出に期待がかかる。

第96回全国高等学校野球選手権大会 特設ページ

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二松学舎大付・修徳ブロック

竹原祐太(二松学舎大附)

 二松学舎大付は昨夏、昨秋も決勝で敗れており、あと1歩で甲子園を逃しているだけにこの夏にかける思いは強い。スラッガー・秦 匠太朗(3年)、好打者・竹原 祐太(3年)を中心とした打線の破壊力は都内屈指。投手陣では大黒 一之(3年)、岸田康太(2年)の2投手の出来がカギになりそうだ。

 ノーシードの東海大高輪台は打線では熊谷 力(3年)を中心に点を重ね、投手陣では石井 惇大(3年)、本格派右腕・徳重 勇輔(2年)など継投策で逃げ切りを図る。投打ともにレベルアップをして、上位進出を狙う。

 また同ブロックには180センチ右腕・嶋田 篤(3年)擁する安田学園も注目。堅い守備、試合運びには定評があるチームだけに見逃せない存在だ。

 
 修徳は186センチの大型右腕・上島 迅翔(3年)、技巧派左腕・桜井 政利(3年)の2投手の継投で守り抜き、打線は昨夏の甲子園の経験者・酒井 良樹(3年)を中心に点を重ねる。昨夏のような破壊力はないが、粘り強く勝てるチームだ。

 修徳と同ブロックには、昨秋ベスト8の都立足立西都立文京と力のある都立校が登場。都立足立西のエース・小畑 秀平(3年)は今春不調に終わり、エースの復活がカギを握っている。

 ノーシードの注目校が多く、郁文館はキレのある速球を武器にする大島 良介(2年)、岩倉は経験豊富な右腕・宮崎 隆司(3年)、角度ある速球を武器にする森本 冠聖(3年)、スライダーを武器にする坂本 匠(2年)、粗削りながら、キレのある速球を武器にする巽 大介(2年)と投手陣の実力ならば、都内でも上位に入る実力があるだろう。

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成立学園・足立新田ブロック/帝京・駿台学園ブロック

岩成亮祐(成立学園)

 今春優勝の成立学園は春季ブロック予選から勝ち上がった。ブロック予選ではキレ味鋭い速球が光る左腕・木寺 凌世(3年)の好投が光ったが、本大会では打線の活躍が光った。核弾頭の岩成 亮祐(3年)、長打力のある藤谷 耕平(2年)を中心に関東大会ベスト8まで勝ち進んだ。2年前の甲子園出場は1戦ごとに力をつけていったように、今年も勢いで勝ち進んで2年ぶりの甲子園出場を掴みたい。同ブロックには立教池袋の本格派右腕・藤原 優(2年)に注目したい。

 足立新田はエース・秋吉 飛呂(3年)は突出した球速はないが、粘り強い投球で守り抜き、打線は長打力のある秋吉、宮﨑を中心に点を重ね、逃げ切るチームだ。

 ノーシードの大森学園はキレのある速球を投げ込む左腕・半田 隆人(2年)に注目。投球も纏まっており、攻略するのは難しい投手だ。

 また本格派左腕・久富 勇人(3年)、大型右腕・大木 登世(3年)と2人の好投手を揃える東京学園とノーシードでも魅力ある学校が多い。

 帝京はエース・清水 昇(3年)が投打の柱。135キロ前後の速球、カーブ、スライダーを投げ分ける完成度の高い好投手だが、魅力は打撃で、構えから威圧感があり、広角に鋭い打球を飛ばす。他にも長打力のある打者が揃い、つながったときは一気に大量点を取る打線の破壊力は健在だ。同ブロックにこの春、帝京に対して、2対4と善戦した駒込に注目。強豪校に対しても動じない試合運びが出来るのが最大の武器だ。

 駿台学園は春8強の八王子に対し、1対4と接戦を演じ、最少失点で守り抜き、粘り強く勝つのがチームスタイル。同じブロックには21世紀枠で選抜出場の都立小山台が登場。昨秋ベスト8の立役者となったエース伊藤 優輔(3年)は今年、140キロ台を計測するなどパワーアップ。あとは投球術をよりワンランクレベルアップし、夏の甲子園を狙いたい。

 同ブロックには出所の見難いフォームとキレのある速球で勝負する石井 大己(3年)擁する朋優学院、好投手・尾形 直樹(3年)に、長打力のある選手が揃う正則学園も上位進出に期待がかかる。

 東東京は各地区に強豪校が散らばり、初戦から激突する好カードも多く、見逃せない。激戦が予想される東東京大会になりそうだ。

(文=河嶋 宗一

東東京大会の概要

◆ 大会日程・結果ページ
◆ 組み合わせはこちら(東京都高野連HPより PDF変換)
◆ 大会期間:7月5日~7月29日 
◆ 参加校数:141校(137チーム)
◆ 決勝球場:[stadium]神宮球場[/stadium]
◆ その他の球場:[stadium]神宮第二球場[/stadium]、[stadium]都営駒沢球場[/stadium]、[stadium]江戸川区球場[/stadium]、[stadium]大田スタジアム[/stadium]、[stadium]明大球場[/stadium]

昨夏代表:修徳(第95回東東京大会結果)
昨秋優勝:関東一 [東](秋季東京都 本大会結果)
選抜出場:関東一 [東]
今春優勝:成立学園 [東](春季東京都 本大会結果) (春季関東大会結果)

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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