Column

【三年生座談会】県立開邦高等学校(沖縄)

2013.08.04

僕らの熱い夏

沖縄県立開邦高校野球部

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 2007年の選手権大会一回戦、南部工に12対8で勝利して以降、今年の春の敗退を含めて主要三大会18連敗中だった開邦高校野球部。現役で東京大学や名古屋大学、国公立大医学科などへ合格者を排出するなど沖縄を代表する進学校ゆえの環境などもありなかなか勝つことが出来なかったのだがこの夏、野球部創立以来初となるベスト16へ進出した。
“環境は変えられないけど自分たちは変われる!”そこに気付いて最後の夏を熱くした3年生7名とマネージャーの當眞千賀さんを加えた8人で今回座談会を開いてもらった。

座談会メンバー

伊佐 碧:165cm62kg左投左打。キャプテンでエース。宜野座カーブを駆使して浦添商打線を苦しめた
穂積大貴:175cm60kg右投右打。現沖縄尚学・宇良淳らとともに県大会優勝した西原東中メンバー。韋駄天としてチームを引っ張った
中村碧人:168cm66kg右投右打。副主将としてキャプテンを補佐し、チームをまとめてくれた
又吉武大:165cm56kg右投右打。武器は走力。この3年間で野球技術が飛躍的に伸びた1人
中真彬登:172cm55kg右投右打。監督からの信頼厚く、常に周りに気配り出来る。ピンチでは伝令役としてたびたびチームを救った
平山朝登:174cm64kg右投左打。浦添商戦でレフトに飛んだ大飛球を好捕し、流れを引き寄せた
伊波愛斗:177cm60kg右投左打。二回戦、サヨナラをお膳立てする三塁打を放った。日頃の誠実な姿勢が生んだ一打だった
當眞千賀:3年生ではただ1人のマネージャー。誰よりも大きな声でナインを励まし続けた。自分自身に厳しく、責任感が誰よりも強い。将来が楽しみである

野球部創部初のベスト16

――今年の選手権県大会で開邦高校野球部創立初のベスト16入り。それから約二週間が過ぎましたが改めて振り返ってみましょうか

伊佐 碧(以下「伊佐」) 最後の夏は、みんな頑張ってベスト16に入れたからオレとしてはメッチャ良かったかなと思う。みんなはどう?

穂積大貴(以下「穂積」) 周りの人々も感動してくれたので良かったかなと思います

平山朝登(以下「平山」) 勝ちたいとは思っていたけど、正直こんなに勝てるとは思わなかった。去年の夏も中部商開邦1対11中部商)にボロボロだったし、ホントびっくりした

中真彬登(以下「中真」) ついてきてくれた後輩にはホントに感謝しているし、このメンバーで3回戦まで進めたというのは一生の思い出だから、ホントに嬉しかった

中村碧斗(以下「中村」) 一回戦は1、2年生が頑張って勝ったかなという試合だった。二回戦は愛斗が打って、碧が返して3年生で勝ったみたいな感じで。そのへんは良かったかなと

又吉武大(以下「又吉」) 一回戦は正直負けるかなと思っていたけど、みんな諦めなかったから…

當眞千賀(以下「當眞」) 負けると思っていたの?

平山 結構危なかったから。

當眞 三回戦、私は甲子園あるかなって思ってた

一同 ほぉ~!どこらへんで?

當眞 最初から流れを掴んだ感じだったさ。(7、8回に)持っていかれなかったら…(甲子園)あったんじゃないかな

伊波愛斗(以下「伊波」) 練習試合とかして、勝ったのが2試合だったっけ?その勝ったのを大会に持ってこれたし、みんな凄い集中力だったし

――ちなみにその勝った練習試合は?

伊佐 新チームなって初勝利したのが4月入ってすぐの球陽高校との試合。7回までしかやってないけど初めて勝った試合で。その後の久米島との試合はオレが調子良くて

一同 3対1くらいじゃなかった?

伊佐 3対0だよ!完封したじゃん!

一同 そうだ(笑)、初完封だった!

伊佐 その試合だけじゃない?勝ったのは。負けた試合でも各自が成長出来たのもあるけど、一番はこの夏、勝っていく中でみんな成長したと思う。一回戦逆転だったし、二回戦も後輩見てて頼もしいなと。三回戦も宙(たかき/2年生)が3安打だし、来年もちゃんと出来るんだろうなと

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[page_break:「最後の夏」までの過ごし方]

「最後の夏」までの過ごし方

――では夏の本番、まずは一回戦を振り返ってもらいましょうか

穂積 新チームになって(自分たちが入学してからも)公式戦勝利が無くて。この夏は自分たちにとって最後だし、負けたくないって気持ちは沖縄県で一番だったってみんなも思っていたでしょ。先制したけど逆転されて、相手ペースだったけど最後はピッチャーも頑張ってくれたし気持ちが伝わってきて、ホント気持ちで取った一回戦だったと思います

南部農
013 011 000 0-6
200 020 011 1x-7
開邦

※延長10回裏、一死か与與那嶺(2年)がセンター前で出塁。二死二塁とし大城幸(1年)がレフト前へ運び、二塁走者が生還してサヨナラ勝ち。伊佐は全10イニング、146球完投

――続く二回戦は初戦で12点を奪った宮古工業

伊佐 最初3点も取られたけど、全然負けるという感じではなくて。それまでヒット1本に抑えられていたのに、1、2年生が3点取ってくれてオレら3年を後押しするような感じで。そのあと碧に三年で1点取ろうってオレが言っちゃって。それで碧がライトへ持っていってくれて。一年生に押されて3年生が決めたのは大きかったなと思います

宮古工
003 000 000-3
000 000 31x-4
開邦

8回裏、先頭の伊波がライトへ三塁打。続く伊佐がライト前に運び逆転に成功。
伊佐は9回表二塁まで進められるも二者をフライに斬り118球で完投。

――そして三回戦、浦添商との試合となります

伊佐 勝っていくことで思ったのは、色んな人に応援されているんだなと。それまでと違って浦添商戦はみんなも(スタンド)見てて感じたと思うけど、めちゃくちゃ応援に来てたさね。こんなに支えられている、応援されているんだなってホントに心にジーンと来て。野球やってて良かったなぁと思って。試合は先制点取れて、よっしゃ!これで勝てると思ってオレも初回から飛ばしていったんだけど、慌ててたというのもあると思うし、浦添商という名前に気負いしてたのもあったけど、ゲームの中では力の差は感じなかった

一同 うんうん

伊佐 最後7、8回打たれてしまったんだけど、ホントにオレ、試合中ずっと勝てるって思ってたし、絶対最後はオレに回ってくるって思ってたし。最後は打てなかったけど、試合を通してみんな成長したと思うし。克(与那嶺)もセカンドの守りで抜けていたら負けていたっていう当たりも止めてくれたし。穂積もたくさん打ってくれたし。一人では出来ないんだなということをいっぱい感じて。試合後も学校戻って“良く頑張ったね”って言われて。支えられて野球やってたんだなって感じたね。楽しい夏だった

開邦
100 000 000-1
011 000 22x-6
浦添商

初回、一死から伊波が死球、伊佐がレフト前ヒット、玉城駿(2年生)が四球で満塁とし、大城幸が一・二塁間を破るタイムリーで先制。

伊佐は90球8被安打2奪三振4四死球3自責点。夏の3試合全てに完投した

――楽しい夏となりましたが、そこに至るまでの道程も少しお聞かせ下さい。昨年の秋季県大会。初戦敗退とはいえ嘉手納を相手に3対4の善戦でした。自信になったのでは?

穂積 嘉手納に1点差というのも自信なったけど、オレが一番自信になったのは年明け1月の野球部対抗競技会で…

伊佐 話、逸脱だな(苦笑)

穂積 それでなんか、自分ってこんなに足速いんだなって

一同 (笑)

穂積 自分の自己ベストより0.8秒縮まって(競技会での記録は11秒66)。それで自信を持ってこれって武器になるんじゃないかなと。それから足を活かしていこうと。走塁練習も(それまでよりは)心掛けたし、盗塁も決められるようになったし。南部農林戦で(二塁に居て)碧がバッターでセカンドゴロだったけど、少しお手玉している間に自信持って練習してきたこともあって一気に生還して。危ないプレーだったかもしれないけど自信になりました

伊佐 ひとつ上の先輩たちから盛隆先生(大城監督)に言われていたことは、秋が一番練習時間の差が小さい(各校ともに新チームとして発足しているのでスタートラインから走り出している差が少ない)。最後の夏は一番練習時間の差が大きくなる。1日1時間以上の差をつけられていて、そう考えると一番勝てる可能性が高かった秋で逆転負け。8回まで同点、9回の守りでセカンドランナーを挟んだけどランダンプレーでミスして生還されて。一番悔しい負けで次は勝とうと武大(又吉君)と話した。お互い頑張ったな。オレは学校の周りにある弁ヶ岳(1周1.25Km)めちゃくちゃ走った。夏までに200(周)は走った

――その掴みかけていた自信が壊れてしまうかのような春季一回戦。陽明に0対10のコールド負けでした?

穂積 ピッチャーの碧に質問。あのとき打たれていたけどどうでしたか?

伊佐 甘えていたかなと。バックにじゃなくて、自分でこれで行けるだろうって思ってた。自分に甘えがあった。どこに投げても打たれたし、バット振っても球に当たらない。雰囲気ではなくて実力の差だった。こちらはヒット1本だけだったし、相手にホームスチールもされた。投げていく中で自信を失っていく試合だった。終わってまたオレのせいで負けたんかって。ホントにあのときはヘコミました

又吉 これはダメだなって

一同 (笑)

當眞 その頃、盛隆先生が、碧は投げ込みが全然足りないって言ってて

穂積 オレは、碧がピッチャーし始めて大会ごとに成長しているって感じてた。1年生の頃は“コイツ、ピッチャ-出来るのか?って”。でも宜野座カーブを覚えてそれを使いこなして。春は打たれたけど、逆に成長したから相手にしてみたらちょうどいい頃合いのスピードになってて打たれたのかなと。だから(もっと成長しているはずの)夏は大丈夫だ!というのはちょっとあったかな

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[page_break:「最後の夏」までの過ごし方]

「最後の夏」までの過ごし方

――そんな春を終えて最後の夏までの間、どのようにすごしましたか

中村 この時期は1年のときも2年のときもそうだけど基礎が足りないなって感じてて。実戦も中途半端で。秋から春へかけて間があいた練習のなぁなぁ感があって。競技会前は競技会用の練習するし、そういった意味で春はこうなったのかなって。それで自分たちで話して、練習の間とか片付けとかのスピードアップをして行動でテキパキしていくっていう、普通は当たり前かもしれないけど。そこが見直すことが出来たってのは収穫というか。もし春であれほど負けていなければ、このままでも良いかなと思ったまま、ズルズルと夏を終えるって可能性もあったから逆に良かったのかなと

平山 春を終えて、こんなに出来ないものなのかと。秋ラストバッターとして終えたことが悔しくて。春でリベンジするぞと思ってたらあんな負け方。ショックが二回続いて落ち込んでいたけど、夏が近づくにつれてやるしかないと。今までしなかったけど塾から帰宅したらまず素振りからと。そういう姿勢がついたというのは良い影響を与えたと思うし、みんなももっと頑張らないといけないと感じていた

中村 練習でのボール集めもタラっタラしていたし、人数少ないからってのも言い訳にしていたから、夏までは締めていこうって思ってて。一年生が入ってきて12名から21名になって。人数が増えたから練習の効率も上がってやりやすくなったし、そのぶん3年もしっかり動かないといけなくなって、夏へ向けていい感じになっていったんじゃないかな

伊佐 キャプテンだけどピッチャーというのもあって、みんなとは別メニューの練習で。その中でみんなをまとめきれていないなぁって引っかかっていたんだけど、穂積とか碧人の副キャプテンや3年全体に言えることなんだけど、(僕に代わって)まとめてくれたことはホントに感謝している。オレ1人だけだったら絶対出来ない仕事だったし、穂積も責任を感じていただろうし、朝登もみんなに声を掛けてくれて、千賀も1人で(マネージャーを)頑張ってくれてさ。その結果だったと思うよ、夏は。1人1人がちゃんとやっていたから勝てたと思う

伊波 オレ、守備でピッチャーとかに余り声掛けないし、でも夏の試合中は話をして。1年生もまだ3か月しか関わっていないのに親近感が湧くというか何でも言い合えたというか、楽しかったというか、何て言えばいいの?

伊佐 少年野球みたいなチームだった?

一同 それは思いませ~ん(笑)

中村 今回自分が夏で感じたのは、1、2年に支えられているなというのもあったし、応援にしてもそう。ホント周りに恵まれたなって感じで。それを自分たちの力に変えて一丸となって向かえたのが勝因というか、楽しかった

一同 楽しかったなぁ。。。

當眞 一番変わったのは気持ちじゃない?今までは負けるのに慣れてたんじゃない?試合で前半いい流れなのに負ける、それで満足してたよね

――2007年の夏、一回戦で南部工業に勝利してから開邦は(春夏秋の3大会では)ずっと勝ててなかった。君たちが入部してきたのもその泥沼(連敗中)だったわけなんだけど、当時の正直な気持ちなど聞かせてもらえますか

伊佐 開邦野球部はゆるい!って思って。自分が思ってた高校野球とは違ってて。野球自体が出来ない!夏休みは練習出来ない。大会は年に4回。中学の時の友達と会うときに、自分だけ日焼けしていないのがメチャメチャ悔しかった

一同 (笑)

中村 (夏休みは)オレたちだけ20連休!

伊佐 そのときはなんでこんなに(やりたいのに)野球が出来ないんだって、環境に怒っていた。でも、そんな開邦で野球をしていくことで、自分が変わることが一番なんじゃないかって。主体性って盛隆先生が何度も何度も言っていたよね。自分と向き合えって。環境は変わらない。その中で自分がどれだけ頑張れるだろうかってことに気付いて。土曜日の休みも勉強するためにあるって(学校の方針も)受け入れるようになったし。そんな“野球がしたいんだ!”っていう、オレらが感じていた頃と同じ気持ちの1年生の力が合わさって、3年生にも刺激になって、勝ちたいんだと思う気持ちが最後の夏に繋がったと思う

穂積 自分は開邦入る前に、弱いというのも知っていたし、練習もちゃんとしていないっていうのも知ってたので野球部に入りたい!っていう気持ちは正直なかった。サッカーとかバスケとかを楽しくしていこうって。でもテレビで春の甲子園を見て、自分って野球大好きなんだなぁって。それで朝登とか誘って、練習風景を見ていたらやっぱ野球楽しそうだなって。いざ入ってみると、中学の頃はテキパキしていたしみんな意識を高く持ってて、自分はそれが普通だと思っていたから、(開邦野球部は)無駄が多いって思ったのが第一印象。その反面、開邦の良いところは先輩後輩の仲が良い。ここで頑張っていこうと思ったし、同じ高校生がやるんだろって。でも全体的に勝ちたいっていうのが見えなくて。それでも最後に勝つことができたのは、盛隆先生が言っていた“高校生って最後の2週間で変わるんだぞ”という言葉でした

伊佐 練習時間が実質5時15分からで、夏は7時までには学校から出なくてはいけないので6時45分まで。冬は6時半に終わらないといけないので練習時間は1時間ほど。もぅ、ぜんっぜん疲れない!

一同 (笑)

中村 土日に地元のヤツらとメシ食いにいくとき、みんなは“オレ練習が終わるの~時だからなぁとなるけど、オレは何時でもいいよって

穂積 どこの野球部?と聞かれて“開邦です”と答えるとエッ…みたいな。ナメられている感じがイヤだったから、絶対勝ってやろうと

中真 二回戦勝ったあとで、浦添商豊見城戦の偵察に行って昼食買おうと売店に行ったら話しかけられて。同じように“開邦です”と答えたら、久しぶりに勝ったみたいだね、頑張ってねと。開邦が何年振りかで勝ったことで周りが感動してて。それも開邦ならではだなと思った

伊佐 オレたちが2年生のときの秋の大会でセルラースタジアムへ向かうバスの中で、前のバスが某強豪校で。一番後ろに乗ってたヤツがオレらの校名見ただけでメッチャ笑いよった。オレの原点はそこ。絶対コイツらには負けん!絶対負けたくない!って

穂積 でもオレらが勝ったことで周りが開邦野球部を注目していると思うから、その人たちの信頼を失わないというか、これからの生活もしっかりしていかないとな

平山 土日練習無いのは開邦だけ。全国でも絶対、こっちだけだと思うよ

一同 探せばあるよ(笑)

平山 土日、学校内に入ってはいけませんって、こっちだけだと思うよ。そう考えたら勝てたのは凄いと思うよ

當眞 盛隆先生が言っていたのはホントだったなって思う。2週間で変わるんだとか

伊佐 盛隆先生に“縦の変化はあるか?”と聞かれて、チェンジアップはあるけど球速が遅いから打たれると言って。そしたら“宜野座カーブ投げてみろ”ってDVD渡されて。家で見たら宜野座高校の生徒がカーブを投げているのを、ずっとスローモーションで投げているだけの映像を土曜日ずっと見てて。モノにしようとしたけど肩に負担がかかる。でも盛隆先生に縦の変化がないと夏は通用しないって言われて。2年の夏が終わってからずっと言っててくれてて。最初は信じていない部分もあったけど、秋だったり他の試合で投げたら通用している。夏も(勝った)一、二回戦は宜野座カーブが決まらなかったんだけど、浦添商戦はちゃんとコントロール出来て。宜野座カーブは打たれなかった。(夏で勝てたのは)盛隆先生の指導のおかげだったな

穂積 碧がこのちっちゃな身体で頑張っているんだなと。オレら野球楽しめたぜ

伊佐 ありがとう(笑)

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高校野球への思い

――それじゃ最後の質問です。君たちにとって高校野球とはどういうものでしたか

伊佐 オレの高校野球は憧れだった。高校で野球が出来るってだけで嬉しかったし、最後に勝てた。感無量かな

平山 高校野球は熱いなって。予選でも甲子園でも高校野球らしい試合運びってあるよね

中真 高校野球ファンみたいな人がいて。多くの人を楽しませてくれる高校球児が凄いって思ってて。今回自分がグランドにいて。球児が元気を与えられるってのが高校野球だけど、僕らも周りに支えられたりしてGive&Takeがある。そういう意味でひとつになれるのが高校野球の良さかな

又吉 オレの高校野球は青春の思い出。今まで生きてきた中で一番の思い出

穂積 まだ自分は分かりません。不思議なものとして捉えている。他の部活と比べても野球って特別な存在じゃない?オレらが勝っていくなかで多くの人に感動を与えられたし、学校も活性化したのは野球の不思議さかなと。オレはこれからも野球に関わっていくと決めているけど、その不思議さを見つけてみたいと思う

中村 高校野球終わって楽しかったなぁというのと、プレーしている本人たちも楽しいし、見ている周りも楽しんでいるし、野球はいいなぁって思いました

當眞 高校野球は、夢・青春。千賀はマネージャーとしてではなくて、男として高校野球をしたかった。高校野球は好きだし、マネージャーとして関わって泣いたし、成長させてもらえた。ありがとうございます

一同 こちらこそありがとう!千賀の頑張りは大きかった

伊佐 自分にとっての高校野球は、この仲間と最後まで頑張れたことです。このメンバーとやってきてホントに楽しかったし、このメンバーじゃないとここまで来れなかったと思うし。色々な人たちに支えられながら自分たちが成長出来る。感動を与えられたし、自分たちもそれ以上に感動したし。そんな中で成長することが出来るのが高校野球だと思います。後輩たちへのメッセージは、最後の夏で一番活躍していたのは後輩たちだったし、それを見てて頼りがいあるなぁって。開邦高校野球部として、オレらはオレらのチームカラーがあるように、1つ下の後輩たちにも彼らの形があると思うから、自分たちなりに最高のチームを作ってくれればそれでいいと思います。自分たちの代は最高のチームでした

日々の姿勢がなんらかの形で試合に繋がっていく!部活動をする環境として限りがある。その環境の中で今、何が出来るのか。次に何に取り組めばいいのか。そう大城監督が指導してきたことを理解して実践した3年生たち。新1年生が入部してくるまでは紅白戦も出来ない僅か12名しかおらず、また夏休みで実質3週間以上練習が出来ない上で、秋の大会に望まなければならないことで肩が軽くなり、無理して投げ込んで故障してしまった穂積君のような弊害もあった。そんな環境に戸惑いつつも、言い訳を続けて逃げることを選ばず立ち向かい、彼らは高校野球を全うしたのだ。

この座談会を見てくれた、同じような環境のチームや球児たちにも勇気を与えると思うし、また彼ら自身も熱かった夏がより心に刻まれ、そして気持ちを分かり合えた仲間の大きさと高校野球の魅力に改めて気が付いたのではないだろうか。

 開邦高校ナイン、大城先生、ありがとうございました。

(取材・構成=當山雅通

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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