第25回 大阪ガス投手陣の育成メソッド「大会でベストピッチングができるための調整法とトレーニング」(2)2016年06月21日

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【目次】
[1]大阪ガス流・ランニングメソッド / 投手に必要な持久力は長距離走ではつきにくい
[2]大阪ガス流・投げ込みメソッド / 大阪ガス流・ウエイトトレーニングメソッド

 全3回でお届けしている大阪ガスの「投手陣の育成メソッド」。第1回では、大会前の追い込み式練習法などを紹介していただきました。投手は走ることが基本といわれていますが、ただ数をこなすことだけに満足していませんか?第2回では、限られた時間で実践する効率の良いランニングメソッド、投手にとっては向き合っていかなければならないウエイトトレーニングの考え方などに迫ります。

大阪ガス流・ランニングメソッド

ブルペン投球を行う青木 貴之投手(大阪ガス)

 ランニングメニューに関しては時期によって重視する内容が異なってきます。シーズンが終わった前年の11月から1月にかけては100メートル、200メートル、400メートルの3種類の距離をミックスするメニューを徹底的に行います。トータル距離にすると一日当たり3キロから5キロ。この距離を全力で走るとかなり負荷がかかるため、筋肉の発達を促すことができる。車でいえば、エンジンの排気量を上げていくイメージです。

 ただしこの高負荷メニューは、毎日行うと筋肉の回復が不十分となり、発達をかえって妨げてしまうので、3日行ったら、必ず4日目は休むといったように、きちんと休養を入れながらメリハリをつけることが大切です。

 シーズンに入った3月以降は、1本あたりの距離を短くしたランニングメニューに移行していきます。具体的には20メートル、30メートル、50メートルという短い距離を中心にし、最長で100メートルまでにおさえる。大きくなったエンジンの回転数を上げていくイメージでスピードと体のキレを高めていきます。

投手に必要な持久力は長距離走ではつきにくい

 うちのチームでは10キロ、20キロといった長距離を走るメニューはありませんが、12分間走は年間を通して、ほぼ毎日、行っています。基本的なやり方は3分ジョギングした後、1分間ペースを上げる。これを3回繰り返すとちょうど12分となり、距離換算で約3キロを走ることになります。12分間走は冬場でもしっかりと汗をかくことができますし、溜まった乳酸の排出など、体をほぐす効果もある。故障予防にも大変有効です。

 冬場には距離換算で5キロほどを走る20分間走をメニューに入れますが、12分間走よりも負荷が高く、疲れが残りやすくなるため、シーズン中はやりません。ただし、まだ社会人の身体が出来上がっていない若い選手は例外で、彼らは1年を通し、20分間走も随時メニューに入れていきます。

「ピッチャーは持久力も必要なポジション。長距離走は必要では?」と思われる方もおられるかもしれませんが、走ることで投手に必要な持久力をつけることを求めるのなら、100~400メートルの距離を1、2分程度の短いインターバルを挟みながら、10本、20本といった本数を全力で走る方が有効です。

 最初のうちは1本目と10本目のタイムに大きな差が生じるのですが、トレーニングを重ねるうち、筋肉の回復力が高まり、次第にタイムの差がなくなっていく。こういう変化がタイムに表れ始めると、長いイニングを投げても球威が落ちにくくなるのですが、この要素こそが投手に求められる持久力。ポイントは心肺機能を高めることではなく、筋肉の回復力を高めることだと思っています。

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