5回表、一発で同点に追いつかれたが、5回裏、相手のけん制悪送球から1点を勝ち越し、篠木は快調なピッチング。7回表、五島監督から「さらにギアを上げていきなさい」と指示があり、最速149キロをマーク。この力入れ加減の調整はずっとテーマにしてきた。すべては勝つため、そして9回になっても投げ抜くため。

 篠木は終盤のほうが147キロ~149キロを計測しており、9回になっても149キロ。結果的にストレート57球のうち、140キロ以上は54球。平均球速145.12キロと圧巻の投球内容。専大松戸は前日に球速150キロ、スライダー140キロに設定したが、専大松戸の主将・吉村が「篠木君はマシンのそれ以上でした」と脱帽。4安打7奪三振1失点完投勝利で見事に頂点に立った。

 五島監督は「今年は篠木のチーム。背中で示すだけではなく、もっと周りをみえるようになってもらいたい思いで、主将に据えました。本当によく頑張ってくれたと思います」と篠木の成長を絶賛。2月の取材の時、主将としてまだまだというコメントだったが、自粛期間を経て投手としても主将としても成長した姿があった。

 今大会、30イニングを投げ、自責点2、防御率0.64、34奪三振、K/BB8.5、最速149キロ・平均球速145キロほどという驚異的な結果とパフォーマンスを示した。長い歴史を誇る千葉県の高校野球でもこれほどの右投手はそうそういない。間違いなく歴史に名を刻んだ篠木の快投だった。

 敗れた専大松戸もエース・西村は今大会わずか自責点1と抜群の内容を示した。主将・吉村は「力を出し切ったので悔いはないです」と振り返った。甲子園中止後、吉村はモチベーションが落ちたと振り返る。練習を再開してもなかなか気乗りしない。

 そんな時、コーチから「甲子園が中止になっても、お前らの野球が愛する気持ちはそんなものか」と指摘され、コーチや部長と1時間以上の話し合いを行い、「3年全員でベンチ入りして試合を行うことが最初で最後の機会。それをモチベーションにして頑張ろう」と心に決め、決勝戦まで勝ち進んだ。

 こうした気持ちの持ちようが難しい今大会で、最後まで真剣勝負を見せてくれた両校ナインは素晴らしい。やはりトーナメント制の大会はチーム、選手の気持ちを引き締め、燃えさせる良い制度だといえる。また秋の一次予選から熱い勝負を期待したい。

(記事=河嶋 宗一