2020年08月15日 船橋市民球場

八千代松陰vs千葉黎明

2020年夏の大会 2020夏季千葉県高等学校野球大会 地区トーナメント 準々決勝
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あまりにも劇的、八千代松陰が逆転満塁サヨナラ本塁打で4強進出

 9回の、その瞬間までの試合展開からしても、果たして誰がこんなラストシーンを予測することができたであろうか。まさに、勝負はわからない、まして、炎天下の夏の大会。甲子園はなくなっても、選手たちの心意気や思いはまったく例年と変わらないのだということも、改めて思わせてくれる試合となった。

 千葉県の場合、今年の夏は熱中症対策ということもあって3回と7回の後に5分ずつの給水タイムをとることとなっている。また、それとは別に通常のグラウンド整備タイムが5回の攻防の後に設けられている。つまり、9回までの間に3度試合が中断して少し流れが変わるということもある。

 そんな影響があったのかどうか、それはわからないけれども、序盤の失点を5回に追い上げて1点差としていた八千代松陰。しかし、6回からの仕切り直しでは、追撃も途絶え、逆に千葉黎明が7回は7番向後君のタイムリーで、8回は3番佐久間君の右犠飛と、再び突き放す得点を挙げていた。

 今大会、先の中央学院戦でもタイブレークの末に大逆転を演じている八千代松陰。ムードに乗っているのだろうけれども、さすがにここまでかなという空気でもあった。
 それでも、最後の攻撃に託す。しかし、もっとも当たっていた永戸君が一ゴロに倒れる。あと二人となった。ところが、ここで千葉黎明の守りにアクシデント。遊撃手の足が攣り、症状回復までしばし中断。再開となったところで、八千代松陰は4番中村拓太君、代打で出てそのままリリーフのマウンドにも立っていた樋熊君と相次いで安打。さらに川尻君も四球で満塁となる。

 千葉黎明の千葉君も前の打席の際に少し足が攣ったような仕草もしていたし、苦しいマウンドであることは確かだ。しかし、チームを引っ張るエースで4番という自負もある。そんな気持ちでマウンドに立った。八千代松陰の6番西澤君は、前の打席は8回の先頭打者で三振している。

 それでも、西澤君はベンチに戻ってきた時に兼屋辰吾監督から、「今度(打順が)回ってくるときは逆転になるぞ」と声を掛けられたという。その言葉を思い浮かべながら打席に向かった西澤君は、頭の一部では「これが高校野球最後の打席になるのかもしれないな」という思いもあったという。

 それでも、カーブのタイミングで待っていた西澤君は突っ込まないようにということを頭に入れていたが、千葉君の投じたストレートを捉えると、打球はそのまま左翼スタンドに飛び込んだ。西澤君は、二塁ベースを蹴って三塁ベースへ向かうまでは、「いったい何が起きたのかわからないくらいに無我夢中だった」と言うが、「三塁ベースを回った時にベンチから皆が飛び出してきて喜んでいるのを見て、ああ、やったんだなぁと思った」というくらいに、夢のような出来事だったようだ。

 試合そのものは、初回、わずかな判断の巧拙が千葉黎明に大量点をもたらしたところから始まった。
 この回先頭の江川君が右前打すると、伊東君の送りバントは野選となり無死一二塁。さらに佐久間君のバントも三塁きわどいところだったが、悪送球を招いてしまい1点が入ってなおも二三塁。千葉君の左前打と、さらに8番篠塚君の二ゴロの間にも三塁走者が帰ってこの回4点が入った。

 八千代松陰はいきなりの4点差を追いかける形になった。その裏にすぐに永戸君の二塁打で1点を返すものの、2回に伊東君の二塁打と下新井田君のタイムリー打で再び4点差となる。八千代松陰の三橋君はやや体調もよくなかったということで、この回途中でマウンドを降りた。

 何とか前半で差を詰めておきたい八千代松陰は、5回に二死から永戸君の三塁打と中村拓太君の左前タイムリー、さらに失策と6番川尻君の2点二塁打で1点差とした。
 しかし7、8回に再び差を広げられていたのだった。

 八千代松陰は、第5地区代表決定戦となった中央学院との試合では一時4点リードされていながら9回に追いついてタイブレークにもつれ込ませた。
 さらにタイブレークでも2度までもリードされながらも最後は逆転サヨナラ勝ちというミラクルを演じている。そんな勢いは、この日も衰えてはいなかったのだ。

 昨夏の千葉大会は21年ぶりに決勝進出を果たして準優勝している八千代松陰。この夏の千葉県独自大会でも第5地区を勝ち上がってベスト8と、ここまで勝ち上がって来たのはさすがと言っていいであろう。かつては創立2年目で選抜出場を果たしたという実績もある学校で、直近では98年夏に出場を果たしている。その時にマスクをかぶっていたのが大木陽介現部長でもある。

 当時から変わらぬ鮮やかなスカイブルーの八千代松陰カラー。この夏は、さらにミラクルなイメージになってきたようだ。
 千葉黎明は、近年躍進著しい千葉県の新鋭校の一つと言っていい存在である。今夏も、ここまで勝ち上がってきたが、最後はまさかの一発で沈まされてしまった。

(記事=手束 仁

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