小又 圭甫選手 (千葉英和)
寸評
2013年度の千葉県の投手ではピカイチの素材。最速147キロまで速くなり、投球内容も少しずつ上積みを見せてくれた。プロ入りは志望せず、卒業後は国学院大学で続ける。 (投球内容) 一昨年の秋に見た時点で最速145キロまで速くなっていくと予想したが、故障はあったものの、最速147キロまで伸ばした。速球の勢いはプロ入りした投手と比べても引けを取らないレベルにある。 だが、常時140キロ前半を計測していても、高めが中心。高校生としては並外れた速球だから空振りが奪えているのだが、大学生レベルになっていくと振ってはくれない。そのために彼がいかに低めの制球力を付けていくことが重要になる。 彼は速球の速さが評判だが、むしろ彼は変化球のキレ味が素晴らしい。縦横のスライダー、カーブと3球種を投げる。投球パターンとしては速球と横のスライダ―を中心に投球を組み立て、速球を高めに。スライダーを落して空振りを狙う配球だ。スライダー、縦スライダーは自在にコントロールできており、得意にしているように感じる。時折、目先を変えてカーブを投げているが、もう少し縦の動きを意識するためにカーブを交えた方が良い。 クイックは1.2秒~1.3秒ほどとそれほど早くない。フィールディングの動きにはまだ俊敏性が足らない。 (投球フォーム) ノーワインドアップから始動する。左足を高く上げていきながら、右足は一本足で立つ。一本足で立たせているが、やや棒立ちで、軸足にしっかりと体重が乗っていない。 左足はショート方向へ足を伸ばしていきながら、少しずつ重心を下げていき、三塁側へ着地するインステップ。軸足の膝を曲げて、前膝を送り込んで、ゆったりと着地をしようとする意識がある。前膝の送り込みの意識は出てきて、改善がみられる。 左腕のグラブを斜め伸ばしていきながら、左胸に抱え込んでいく。テークバックは内回りの旋回をしていきながら、トップを作り、リリースに入る。腕を外旋させる腕の振りなので、上半身の強さを活かして、強く腕を振っていく。球持ち自体はそれほど良くない。また高めに浮きやすいのは軸足が浮いてしまい、押さえ付けることができない。もう少し軸足は根を張った意識で投げることができると変わっていきそうな予感がある。 最後のフィニッシュでは前足が乗った良いフォームと踏み出さ足がばらういてのフィニッシュが多い。。彼が一番凄かった春季県大会・柏日体戦で決めた4連続奪三振のシーン。 この時、前足が真っ直ぐ踏み出し、しっかりと踏み込むことができていた。彼は如何に体重移動を意識して、滑らかに投げられるか。体重移動が改善されれば、今よりも安した投球ができるはずだ。
更新日時:2014.02.03
将来の可能性
投手としての素材、ストレートのスピード、スライダーのキレ味などは過去5年の千葉県の投手ではトップクラスの投手で、プロ入りした上沢 直之、相内 誠よりも凌ぐものがあったと思う。だがプロ入りした2人と比べるとまだ自分の中で意図通りに投げることができておらず、球威ある直球、縦スライダーの威力に頼った投球に終始している。多少のボール球でも打ち取ることができているが、上のレベルではそれでは苦労してしまう。 3年間では小さな怪我が多く、じっくりと体作り、また投球の土台を築き上げることが出来ずに終わってしまったので、彼が投手として本格化するのはこれからということになるだろう。今度は神宮球場を舞台に彼が活躍する姿を見ていきたい。
更新日時:2014.02.03
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