名古屋南の熊切投手が13奪三振の好投で瀬戸北総合に快勝



終わってみたら、13三振を奪った名古屋南・熊切君

<春季高校野球愛知県大会1次予選:名古屋南6-1瀬戸北総合>◇21日◇名古屋地区敗者復活1回戦◇至学館志段味グラウンド

 19日から始まった、春季愛知県大会の1次地区予選。5地区がそれぞれ独自の運営で行っていくのだけれども、名古屋地区は4、5校ずつに分かれてのブロックとなり、一度は敗れても敗者復活トーナメントがある。この日の至学館会場のCブロックは、5校トーナメントだが、この両校は19日の初戦で敗れて敗者戦に回った。ここで敗れると、次のステージへの進出はなくなってしまう。それだけに、県大会進出のためには、大事な戦いということになる。名古屋南は、昨秋は2次トーナメントを勝って、県大会進出を果たしているので、今春も是非、勝ち上がっていきたいところであろう。

 名古屋南は「1人しかいないので、彼に託すしかない」(藤吉優監督)という熊切投手が立ち上がりから好調に飛ばして4回までは瀬戸北打線に安打も与えず、2度の3者連続を含む8奪三振。

 その間に名古屋南は3回、2死走者なしから連続四球で塁を埋めると、4番今泉が右前打して二塁走者をかえして先制した。

 さらに、5回にも2死一、二塁から、またしても今泉が、今度は右翼線に三塁打して2人がかえる。続く小倉も一、二塁間をしぶとく破って4点目を挙げた。このリードで、熊切は楽に投げられるようになったのか、7回までは危なげなく0に抑えていく。

 それでも、何とか一矢を報いたい瀬戸北は8回、2死走者なしから9番辻村が中前打で出ると、梶田が会心の一打で左中間を破る二塁打を放ってホームイン。1点を返した。

 しかし9回、名古屋南は先頭の1番豊嶋の打球は右翼手の横を抜けていくと打球は深いところへ転がっていき、打者走者はそのまま本塁まで走り切ってランニング本塁打となった。名古屋南はさらに2死後、4番今泉が左前打すると小倉の中越え三塁打で6点目。これで、リードは決定的となった。

 その裏も、熊切投手は気負うことなく自分のリズムでしっかりと投げ切って三者凡退。最後は連続三振で、終わってみたら13奪三振という快投だった。

 これには、藤吉監督もビックリである。「そんなに三振を取っていくという投手ではないんですけれどもね。ただ、打線はもう少し打ってくれるかなとも思っていたのですが、結局4番と5番の打てるかなという選手しか打てませんでしたから…」と課題も見出していた。

 名古屋南は、創立40年ほどということで、愛知県内の公立校としては、そんなに古い学校ではない。それでも、公立普通科校として地元では評価されている。学校としても、文武両道を掲げており、今年の3年生の野球部員も名古屋大や愛知教育大などの国立難関校に合格しているという。現在は部員13人と少人数で、グラウンド状況も、必ずしも環境として恵まれているということではない。「もともと比率としては、女子生徒の方が2対1くらいで多い学校なんですよ。だから、男子生徒は各部で取り合いみたいになっていくのですが、そうした中で、こうしていい試合をしていくことで、それを知って入ってきてくれる生徒も増えていくといいかなと思っている」と思いを述べていた。

 瀬戸北も現状は総勢12人といったところである。愛知県も、公立校の各校は一部を除いて部員確保も厳しい状況ということは否めない。だから、新入部員の獲得ということも、これからの時期は一つの大事なテーマとなっている。そんな中で、「新入生で野球を続けたい、やってみたい」という生徒が1人でも多く入部していってくれるという学校が増えて行けばいいのではないかと思っている。

(取材=手束 仁

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