愛工大名電が享栄を下して、12年ぶりの春の愛知王者



この試合で5打数4安打を記録した愛工大名電・藤山君

 名古屋地区の強豪私学同士の対決となった愛知県大会の決勝戦。愛工大名電は準決勝では栄徳と乱戦気味となった試合を制した。また、享栄は前半大きくリードしながら終盤にミスが出て、星城に追い上げられながらも何とか逃げ切っての進出である。

 この日5月というのに風が冷たく、コンディションとしては必ずしもベストという状態ではなかった。そんな中でのプレーボールだったが、初回は享栄の濱田君、愛工大名電の田村君の両左腕が、ともにあっさりと3者凡退で退けて静かな試合の入りだった。

 しかし2回、愛工大名電は4番宮崎君が内角ストレートを思い切りよくスイングして、その打球が左翼ポール際そのままポールに当たる本塁打となって先制。宮崎君としては通算20本目で、田村君の27本に続いてチーム2番目の本塁打数である。ただ、宮崎君自身としては、「自分としては本塁打の本数よりも、率を残すということを心がけたいと思っています。初回、簡単に3人が終わったので自分が出なくてはいけないという思いでした」と、無心で思い切りのいいスイングができたことが、結果として本塁打となったということだった。

 これで勢いづいた愛工大名電は、続く藤山君も右前打すると、バントで進み、7番房野君が右前に落として2点目が入った。

 さらに愛工大名電は3回にも2番田村君が中前打で出ると、内野ゴロと内野安打で一死一三塁として、藤山君が中前打して3点目。ここで、享栄の大藤 敏行監督は早くも先発濱田君を諦めて2人目として同じく左腕の藤本君を投入した。その代わり端に、愛工大名電は大森君がスクイズを決めて4点目。こうして試合は、愛工大名電が主導権を握っていく形となった。

 それでも、享栄もその裏、左前打で出た大石君をバントと内野ゴロで三塁まで進めたところで2番佐久間君がしぶとく中前打で1点を返した。しかし、愛工大名電の倉野 光生監督は4回から、「田村が先発で試合を作ってくれたから、当初の予定通り」ということで野嵜君を送り出した。野嵜君は右腕の力投派タイプで、時に「うぉっ!」と、気迫を込めて声を出しながら馬力で投げ込んできていた。その野嵜君の投球を享栄打線も打ちあぐんでしまっていた。

 結局、野嵜君は6イニングを5安打散発で無失点に抑えて十分に責任を果たした。そして、愛工大名電は9回にも藤山君の二塁打から大森君が右前適時打してさらに1点を追加した。藤山君はこの日の試合では5打数4安打1打点2得点と大活躍。捕手としても田村君から野嵜君の継投を上手にリード。まさに攻守にチームの優勝に貢献した。

 愛工大名電の倉野監督は、「田村が試合を作ってくれたので、当初のプラン通りの展開でやれた。(エースナンバーをつけている)寺嶋を使わないで勝てたのは大きい。まだまだ発展途上のチームだけれども、こうしてタイトルを獲れて結果を出せたことは大きな自信になる」と、12年ぶりの春の愛知県大会優勝を喜んでいた。

 一方、享栄大藤監督は、「本当は肥田を先発で行こうと思っていたんだけれども、まだ腰痛があって、それがどれくらい回復しているのかというところもあったので、左腕濵田で行ったんだけれども…。力のある名電打線に対しては、ちょっと甘いと抑えきれんかったね。展開としては、ウチもチャンスは作れていたけれども、そこで一本出せるか出せないか、その差が得点差になったのかな」と、振り返っていた。

 そして、今後の東海大会と夏へ向けては、「この大会は課題と収穫との両方があったと思う。打つべき球をもっとしっかりと打って行く、狙い球をしっかりと絞っていかれることが今後の課題。東海大会へ向けては、メンバーの入れ替えもあるだろうし、(東海大会で)県を勝ってきたチームと戦えるのはまた収穫があると思う」と先を見つめていた。

(取材=手束 仁

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