岡崎工が苦しみながらも逆転で、古豪復活示すベスト8に進出



岡崎工・片上聖君

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 愛知県の夏季独自大会も雨で日程がズレ込みながらもようやくこの日でベスト8が決まる戦いとなった。

 西三河ブロックではかつてセンバツ甲子園を2度経験している岡崎工科と、加茂丘衣台の13人の連合チームの戦いとなった。

 連合チームは前日の試合でも昨秋には県ベスト16まで進出した安城南を3対0で下しての進出である。
基本的には、土日しかチームとしての練習は出来ていなかったという柴田勇人監督だが、ここまでの進撃に関しては「選手それぞれがしっかりと個人練習をしてきてくれた成果。それに、生徒たちはこちらが思っていた以上に仲がいい」と評価していた。
また、「過疎の地域なんですけれども、近所の人からも頑張っていると声を掛けられて、それも生徒たちにも野球部が頑張ることがいい刺激になっている」ということを実感している。
先発バッテリーは矢田君が加茂丘、リードする多和田君は衣台だが息は合っているという印象だ。

 岡崎工科は、昨秋の西三河ブロック予選も1位で通過しており、平松忠親監督はこのチームに関してはある程度の手ごたえも感じており、「春季大会でひと暴れてし、それで夏に挑みたかった」というのが本音である。
ところが、春季大会がなくなってしまい、夏も代替大会となった。それでもここまで、きっちりと平松監督のイメージ通り勝ち上がってきたことで意識は高い。

 先制したのは岡崎工科で初回、先頭の近浦君が左前打するとバントで進め、松本君も右前打して一三塁。
溝内君の内野ゴロの間に三走が生還。さらに、氏平君も左前打してこれがタイムリー打となって2点目。加茂丘・衣台連合も2回に内野安打の杉山君を一塁に置いて、6番大野君が左中間へ二塁打して杉山君を帰して1点差として食い下がる。

 両投手の好投もあるが、お互いに守りもしっかりとしている。内野陣は共にフットワークもよく、加茂丘・衣台は中堅手澤井君(加)、左翼手田島君(衣)ら外野手も相次いで好守を見せていた。

 試合としては、次の動きがどうなるかというところで6回、加茂丘・衣台に動きがあった。
この回先頭の9番田島君が三塁へ内野安打すると、甲斐君のバントも三塁線巧みに転がり、さらにこれが悪送球を呼んで二三塁。
このピンチで、片上君も得意のタテの変化で遊飛、三振と踏ん張っていたが、4番杉山君が左中間を破る二塁打で2者を帰して逆転とした。
杉山君は4番打者らしい、どっしりとした構えから見事な一振りで運んでいった快打だった。こうして、加茂丘・衣台連合はついに逆転した。

 

 トリッキーに足をピンと跳ねて振り子のようにして右サイドから投げ込んでくる加茂丘の矢田君を打ちあぐねていた岡崎工科打線。
初回こそ3安打で2点を奪っていたが、以降は2~6回まで2安打。何とか攻略の糸口がほしいところだったが7回、9番加藤君が左前打。二塁へ進めて二死二塁となったところで、2番近藤君がやっと捉えて左中間へ二塁打して同点。
続く松本君も思い切りのいいスイングで右中間へ運ぶ三塁打。岡崎工科は再逆転となった。

 加茂丘の柴田監督は、連投ながらここまで好投してきた矢田君を諦めて、2人目としてやはり加茂丘の廉谷君を送り込んだ。
廉谷君は長身で投げおろしてくるタイプだが、しっかりとした球を投げ込んで以降を抑えた。廉谷君は2年生でもあるが、少人数で連合として戦う加茂丘にこうした好投手が2枚いるとは驚かされた。

 それでも、岡崎工科は片上君が7安打3失点ながら完投。
「9回には、もう自分で行きますということを言ってきた」と平松監督も片上君の精神的な成長を喜んでいる。
その背景には、夏の大会中止が決定となってから組んだ練習試合で、愛工大名電東邦享栄と言った県を代表する強豪校と練習試合を組んだことも大きいという。
「夏がなくなって、気持ちが落ち込んでいる中で、強豪校の子たちはもっと落ち込んどるはずだ。だけど、そういう子たちがどういう姿勢で野球に取り組んでいるのか、その姿勢を試合をしながら感じていくだけでも違うはず」という思いもあったという。

 そうした中で、左腕柵木陽和君とともに片上君が成長を果たしたという。
「今年の3年生たちは、純粋に野球の好きなことたちが多いから、素直にいろんなことを吸収していく姿勢が強かった。それだけ、秋から手ごたえは感じていた」と、平松監督は一つの目標に届いて安堵していた。
そして、「来週は3連戦になることを考えておかないと…」と、決勝進出までのプランをイメージしている。

 また、余談だが加茂丘の矢田君は3人兄弟で上の2人は豊田工科で平松監督の教え子だという。「その頃から、親に連れられてよく試合を見に来てましたよ。その子がこんなに大きくなったんだなと、そんな感慨もありました」と語っていた。
そんな縁があるのも、高校野球の地方大会の面白さ、楽しさでもある。

(取材=手束 仁