愛産大工が6回に一挙6点の大逆転で享栄を下す。プロ志望・上田 洸太朗は6回の投球に泣く



最後まで自分の投球リズムを崩さなかった愛産大工・山方君

【熱戦の模様をギャラリーでチェック!】

 未だ梅雨明けのない中、雨などで当初の日程から大きくずれていながらも、ここまで進んできた夏季愛知大会。夏の選手権が中止になってしまったということで、最後の夏の大会は各校がそれぞれの思いを込めて挑んでいく大会となった。

 享栄は大藤敏行監督がこの大会に臨むにあたっては、「2年生に能力的には高い選手もいるけれども、この大会に関してはオール3年生で行く。だけど、意識としては甲子園目指す戦いと同じだぞ」ということを宣言。そうした中で、エースとして昨年から注目を浴びていた上田 洸太朗君は、夏の大会中止が発表された日に早々とプロ志望を宣言した。また、愛知産大工もこの試合はベンチ入り全員が3年生という布陣だ。愛知産大工の場合は38人の3年生から21人に絞ってこの大会に挑むこととした。

 初回の攻防はともに左打ちの先頭打者が左中間同じようなところへ長打するが、享栄は清水君が好走よく三塁まで走って三塁打とする。続く小野寺君の内野安打で先制のホームイン。愛知産大工の藤岡君も三塁を狙って走ったのだが、小野寺君の好送球で三塁タッチアウト。そんな明暗で始まった試合だった。

 その後はやや膠着気味となり、享栄は力で押してくる上田君、愛知産大工はバネのある投球でキレのいい山方君というタイプは異なるが両左腕の投げ合いという展開になっていった。

 そんな折の5回、享栄は一死後に四球とバント送球エラーでチャンスを広げて盗塁もあって、二死二三塁という場面。4番安藤君が山方君の内側に入る球を捉えて左翼ポール際に運ぶ3ランを放ってリードを広げた。決して甘い球ではなかったが、安藤君がしっかり振り切っていたということであろう。

 4点を追う形になった愛知産大工だったが6回に反撃する。1番からの好打順で藤岡君が左前打で出ると、若林君のバントも安打となり、その後に送って一死二三塁。寺川君の一打は三遊間深いところで内野安打。三塁走者が帰ってまず1点。さらに二、三塁で竹ノ内君の大きく弾んだ投ゴロだったが一塁送球が低くそれて二者が帰ってたちまち1点差。上田君は、自滅気味に突如乱れてしまったという印象でもあった。

 北原君に四球を与えたところで、さすがに大藤監督はたまらず上田君を退け、濱田君をリリーフのマウンドに送り出した。
 ところが、愛知産大工の勢いは止まらない。代打坪根君は中前打して満塁とすると、さらに代打の大江君は右越へ走者一掃の三塁打で逆転に成功。享栄にとっては魔の6回ということになってしまった。

 享栄は、何とか再逆転をしようと7回、8回と先頭打者を出してチャンスを作りかけるが、山方君は要所はピシャリと締めていく投球で得点を許さない。

 結局、愛知産大工は6回の1イニングでひっくり返して、そのリードを守り切った。愛知産大工の鈴木将吾監督は、中京大中京時代の恩師でもある大藤監督には初めての勝利ということになった。

 「やっと、勝たせてもらいました。4回、5回頃から上田君が乗ってきた感じだったので、とにかく積極的に行こうということを指示していたのだけれども、それが上手くはまりました。代打陣は、本来ならば春の大会でレギュラーを競っていく連中だったので、元々経験も豊富な選手たちですから、期待はしていました。甲子園はなくなりましたけれども、3年生としてこの夏に賭ける思いもあったと思います」

 鈴木監督は、恩師への恩返しの勝利も喜んでいた。

 享栄上田君はジンクス的に6回によく点を取られることがあるということだが、そんな意識があったのか否か、結局この試合では6回1イニングで涙を呑むこととなってしまった。

 享栄の大藤監督は、上田君らの進路への配慮はあるだろうが、意識としては次の新チームへ向けて切り替えていた。

(取材=手束 仁

PHOTO GALLERY フォトギャラリー

写真をクリックすると拡大写真がご覧になれます。