力の差は否めない試合だったが、これも高校野球



二塁打を2本放っている豊川・山田空流君

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 東三河の3強の一角、豊川新城東作手が挑むという形の試合。豊川は昨秋の県大会3位校で秋季東海大会にも進出。初戦では岐阜県2位で進出してきた大垣商と対戦。初回に4点先取しながらも3回に一挙8点奪われてひっくり返された。

 それでも7回に7点を奪うビッグイニングを作って逆転。力のあるところを示した。そんな東海地区での戦いを見ても、やはり東三河ブロックでは一番手と言っていい存在であろうか。

 これに挑む新城東作手は、実質の部員は6人。何人か他部から助っ人を借りてきて総勢12人という少ない人数で、それでも何とか単独チームとして戦える形になって、夏へ向けてチームを仕上げてきた。そんな思いを強豪相手にぶつけていきたいところではあったが、力の差は否めなかった。

 豊川はベンチ入りがすべて3年生という体制で挑んだ。「全26人の3年生がいるのだけれども、この大会は全員をベンチに入れて戦っていきたい」というのが今井陽一監督の思いでもある。この試合では、先発メンバーには2桁番号の選手が5人名を連ねた。そのいずれもが安打も放った。

 初回、簡単に二死となったがそこから清水君と山田空流君の連打に失策、下田君の三塁打で3点。そして2回には白井君の三塁打に始まって打者二巡、12安打中長打が7本という猛攻になってしまい12点が入った。

 3回には代打で出た加藤君が二塁打と本塁打を放つなどして無死のまま14連続得点。代打加藤君はこの回だけで3度打席が回ってきた。加藤君は実は、ケガもあってある時期からは学生コーチとしてチームの縁の下の力持ちを務めてきた選手だった。

 今井監督は、「試合中に涙が出てくるなんてことはなかったんだけれども、あのホームランは、本当によかったと、努力してきたことが報われたんだと思ったら涙が出てきた」と、こうした陽の当たらなかった選手の頑張りを本当に喜んでいた。

 試合は結局5回コールドで新城東作手は打者15人で10三振を喫した。しかしながら、初回に先頭の小笠原君が内野安打で出塁しており、飛球併殺でこの回も3人で終えてしまっているのだが、参考記録の完全試合ではなかった。

 大差の試合になったけれども、こういう試合があるのも高校野球である。豊川も、点差があるからといって、手を抜くなどという姿は見せず、しっかりと出場した選手たちが全力を出し尽くした。点差はあっても、清々しさは残してくれた試合だったとも言えよう。

(取材=手束 仁