享栄が5回に本塁打から一気に打撃が爆発してコールドで8強へ進出



力強い投球を披露した享栄・上田君

 2回戦で、夏の愛知大会準優勝の桜丘を下した豊橋工科。4年前には21世紀枠代表校として甲子園出場も果たしている。今大会は1回戦でも栄徳を下しており、チームとしての士気は上がっている。これに対して、享栄は前日の2回戦で苦しみながら延長13回タイブレークの末に名城大附を下して勝ち上がってきている。

 享栄はエースナンバーをつけて夏も投げた上田君が先発。力強い左腕投手だが、制球力もよく安定感は十分だ。これに対して豊橋工科は一見するとややぎこちないようにも見えるフォームの背番号10の後藤君が先発。変化球に角度があり、享栄は思いのほか打ちあぐむという形になって、4回まで0対0。ここまで豊橋工科は無安打、享栄は2安打だった。

 どんな感じで均衡が破れるのかなと思っていたが、5回享栄は先頭の6番彦坂君が初球を捉えて右翼線へ入るソロホーマー。彦坂君はバント練習でボールを直接当ててしまい指を骨折しているということだったが、しっかりと捉えて見事な先制ホーマーだった。

 これで、享栄打線は一気に火が付いたかのように、続く真鍋君が一二塁間を破ると、白井君も左前打で一二塁。9番上田君はしっかりと送り一死二三塁。ここで豊橋工科の岡本篤史監督は後藤君から、1番をつけている藤城君に交代する。しかし享栄は、しっかりと藤城君を捉えた。1番小野寺君が左中間を破る二塁打で2者を帰してリードを広げる。さらにバント後、死球で一三塁となると、今度はここでディレード重盗を成功させて1点追加。なおも菊田君の左前打で二走の瀬尾君はヘッドスライディングで本塁生還となり5点目。

 6回にも享栄は上田君の左越二塁打で追加点。そして7回にも四球の瀬尾君が盗塁で二塁へ進むと菊田君が左越打を放ってこれでコールドゲームを成立させる7点目となった。

 菊田君は、大藤敏行監督期待の大砲だが、ケガもあってあまり試合に出ていないところもあった。「出るとしてたら4番しかないもんで、4番打者か試合に出ないかのどちらか」と大藤監督も苦笑するが、実は名古屋市内一次予選から通じてこの日の5回のタイムリーが初安打だという。次の打席も長打となるようなタイムリー打で、ようやく大砲が目を覚ましてきたというところであろうか。

 結局享栄の上田君は被安打1で完封。振り逃げを含めて12三振を奪い、四死球は一つずつという内容で、ほぼ危なげない内容だった。
 大藤監督は、「やっと勝てたという感じだったけれど、初回の点の取れなさはちょっと嫌な感じでもあったけれどもね。彦坂の一発でやっと乗れたということになったけれども、まだまだ打てんねぇ」と苦笑しながらも、安堵の表情で語っていた。

 これで享栄はベスト8進出。次は、中京大中京時代の教え子でもある萩本監督が就任した豊橋中央が相手となる。「監督になったばっかりの、教え子には負けとれんでね」と、大藤監督は自らも鼓舞していた。

(文=手束 仁