木村 斗史稀選手 (愛工大名電)

寸評

　愛工大名電の堅守俊足の二塁手。昨年まで守備が上手い二塁手という印象であったが、今年にかけて打撃が良くなり、上のレベルを意識出来るセカンドにまで成長した。たまに熱が入りすぎる所が見られるが、どんな場面でも強気に立ち向かっていくプレースタイルは、突破口を切り開く核弾頭向きの選手だろう。 (打撃) 　スタンスは右足を少しだけ開いたオープンスタンス。グリップは肩の位置に置いて背筋を伸ばし、膝を曲げて構えている。投手の足が降りたところから始動を仕掛け、足を高く上げていき、タイミングを測り、インステップ気味に踏み込んでいく。 　トップの動きを見ていくと捕手側方向へ引いていく。小柄な選手だが、強い打球を打つ為にバックスイングを取ることが出来ている。始動の仕掛けが早いため、トップの立ち遅れがないため、自分のスイングでボールを捉えることが出来るのは好感。 　インパクトまでロスのないスイングが出来ており、以前よりもスイングスピードが高まり、ボールを強く叩くことが出来るようになった。 　踏み込んだ足はしっかりと踏ん張ることが出来ており、膝の開きを抑え、股関節を柔軟に使って、インパクトの瞬間で鋭く腰を回転することが出来ている。ボールを強く叩き、回転を掛けるのが上手く、球足の速い打球を飛ばしている。愛工大名電の選手は球足の速い打球を打つ指導が徹底されている。 (守備・走塁) 　打球に対する反応は良く、軽快なフットワークを活かした守備範囲は広い。上のレベルでも二塁手としての守備を徹底的に磨いていってほしい。 　塁間タイムは4.10秒前後と標準以上の脚力があり、昨秋の公式戦は20試合で8盗塁。40出塁で8盗塁。確率としては2割。極めて盗塁する確率が減る三塁打と盗塁をしない本塁打を差し引くと約2割3分と盗塁する確率はまずまず。塁に出たら走る傾向はあるが、高い確率で企画し、成功しているわけではないとも受け取れる。夏では核弾頭として走塁面でどんどん貢献していきたい。

将来の可能性

　どちらかというと守備型のセカンドという印象で、その傾向は変わりないものの、課題である打撃が、昨秋に比べて始動に余裕が出たことで対応力が広がり、スイングスピードも上がったことでボールも強く叩けるようになり、攻守両面で成長を遂げた。 　小柄な選手で、プロ受けする選手ではないものの、走攻守で高い水準に達し、細かい野球をこなせる選手なので、緻密な野球が求められる大学だと持ち味を発揮して活躍していくタイプではないだろうか。 　この夏も、核弾頭としてチームを引っ張り、守備では好守備で、濱田 達郎を盛り立て、渋くチームに貢献することを期待したい。