試合レポート

習志野vs千葉敬愛

2017.07.22

激闘!習志野、千葉敬愛のキープレイヤーを考察!

 習志野千葉敬愛に追われながらも、終盤に圧倒して勝利をモノにした。試合の経過はこちらで詳しく見ていただき、選手について徹底的に振り返っていきたいと思う。習志野の先発・古谷拓郎(2年)。3回途中でマウンドを降りたが、今日登板した習志野の投手陣の中では、将来が明るい投手だろう。下半身主導のフォームから繰り出す直球は常時135キロ~139キロを計測。スピンがかかった高回転のストレートで、将来的には、140キロ台も十分に120キロ前後のスライダーとカーブを織り交ぜピッチングを展開。3回途中でマウンドを降りてしまったが、将来性は非常に高いので、古谷が先発完投できるほどの絶対的な安定感を持つと、高いステージで勝負できそうだ。

 3回途中からマウンドにあがった石川水都(3年)は、完成度の高さが光る好右腕。右オーバーから常時130キロ~136キロのストレートを両サイドにテンポ良く投げ分け、スライダー、カーブ、フォークで投球を構成。特に120キロ台のフォークが良い。本人も自信に持っているのか、勝負所ではフォークを投げて、7回途中まで2失点の好投を見せた。

 敗れた千葉敬愛。先発・新原渉吾(2年)。恵まれた体格から投げ込む直球は、常時130キロ~134キロだが、手元でしっかりと伸びる球質。スライダー、カーブを織り交ぜ投球を構成、オーソドックスな投手だが、これまで数多くの強豪校と投げてきた経験が、大きく生きているのか、精神的な強さが魅力で走者を背負っても淡々と投球ができる。ただ、6回まで投げて5失点。ここぞという場面で、変化球の精度が課題となった。

 その新原を打ち崩した習志野の1番池田来翔(3年)は、かなりの打撃センスがある。この試合では6回裏、高めに浮いたスライダーを捉えてレフトスタンドへ飛び込む勝ち越し2ランを放った。池田は速球にも強く、しっかりと捉えた打球を打てる打撃技術の高さがある。池田が打つと一気にチームが乗り、得点することが多い。チャンスメイクだけではなく、勝負強さを兼ね備えた池田は、習志野にとって欠かせない存在となっている。

 習志野は、3番手で登板した関口諒(3年)。体格には恵まれた体格をした投手で、体格だけ見ると、140キロ台も投げてくれるのではと期待したくなるが、この日は下半身の動きが使えておらず、あまり連動性がない。腕だけで投げるフォームとなり、腕を振ったつもりでも、体重が乗らないので、恵まれた体格を生かすことができない。常時125キロ~130キロで、最速135キロだった。スライダー、カーブを中心に構成するオーソドックスな右腕。ただ関口が良いのは開き直って投げられること。形を気にせず、腕を振ることで、威力あるストレートを投げることができており、結果的に抑えることができている。この試合ではピンチを切り抜けるリリーフぶりを見せてくれたが、まだまだ恵まれた体格、ポテンシャルを生かし切れていない。そのポテンシャルの高さを生かすのは次のステージになってからになりそうだ。

 7回裏から登板した千葉敬愛の2番手・石山大樹(3年)。投球フォームが実に良い。しっかりと足を上げてから、フィニッシュまでの一連の動作に無駄がない。常時135キロ~137キロのストレートは、手元でしっかりと伸びて、スライダーの精度も高い。昨秋のピッチングと比べるとだいぶ進化の跡を見せたと思う。ただ7回以降、千葉敬愛は守備からの乱れで失点したのが残念。石山の内容は悪くなかっただけに、もっと習志野を追い詰めることができたかもしれない。

 これで準決勝進出の習志野。相手の流れを渡さない隙の無い試合運びは脅威である。

(文=河嶋宗一)

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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