木更津総合vs東海大市原望洋
金久保優斗(東海市原望洋)は来年の高校生をリードできる投手になれるか?
木更津総合vs東海大市原望洋と優勝候補同士の一戦は試合前から大盛り上がりで、早川隆久、島孝明の両エースの投げ合いはまさに高校生トップレベルのものがあった。
その投げ合いについてはこちらのコラムを読んでいただきたいが、このレポートでは東海大市原望洋の先発の2年生右腕・金久保優斗をピックアップしたい。何度も取り上げてきているが、金久保の立ち位置は、ただ将来性がある楽しみな投手ではなく、ドラフト候補として、来年の高校生を代表する投手として見ていかなければならない存在となってきた。
金久保の世代では清宮幸太郎を筆頭に好野手が揃う。恐らく野手の1年になるだろう。だが、ここにきて投手たちの成長が著しく、少しずつ役者がそろって来た。金久保には多大な可能性を秘めている。
今夏2回戦の柏南戦ではコンスタントに140キロ~142キロを計測。140キロ以上は10球ほど計測しており、かなり力強くなっていて、これは秋に145キロが出ればと思ったが、それはわずか1週間後に達成することになる。
7月22日の5回戦・流通経済大柏戦では、最速145キロを計測したのだ。右投手で最速145キロを計測したとなれば、堂々と来年のドラフト候補として推していいだろう。そして迎えた木更津総合戦。金久保は迫力満点のピッチング。初回から140キロ~144キロを連発。テークバックを大きく取ってスリークォーターの軌道から投げ込む金久保は体の軸が鋭く回転したフォームなので、細身の体型ながらも躍動感あるフォームで投げることができる。2回戦の時と比べると腕の振りが一層力強くなっており、145キロ近い速球を投げるのも十分に理解できる。この試合ではマリンで最速146キロを2球計測。しっかりと腕が振れた時の145キロのストレートは島に負けていないのでは?と思わせるほどだった。
そしてスリークォーター気味の腕の振りなので、スライダーの切れが格段に良い。125キロ前後のスライダーは手元でぐっと鋭い曲りを見せている。このスライダーの対応に木更津総合打線も苦労していた。失点したのは犠飛による1点のみ。1点を取られてからも、力強い投球は魅せ続けており、引き続き、145キロ前後の速球を投げ込むことができていた。7回途中で降板したが、計測が厳しいといわれる常時140キロ~145キロを維持。180センチ70キロでまだ細身ということであれば、伸びしろはたっぷりあり、いずれ150キロ台に達してもおかしくない。だからこそ、金久保はぜひ来年の高校世代を引っ張る投手へ成長し、今度は自分自身の力で甲子園を手繰り寄せる投手を目指してほしい。
(文=河嶋 宗一)
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