試合レポート

専大松戸vs東京学館浦安

2013.07.15

専大松戸、5番石川が勝利手繰り寄せる先制3ラン!

 千葉大会4日目、連休の最終日は、いよいよシード校も登場し、各地で熱戦が繰り広げられた。
県野球場の第2試合は、2回戦屈指の好カード、専修大学松戸対東京学館浦安という、注目の一戦が行われた。
春の準優勝校、Aシードの専大松戸は今夏の初戦。対する東京学館浦安は1回戦を5回コールドで勝ち上がってきており、接戦が予想された。

第1試合でAシードの銚子商業が初戦で敗れ、夏の大会独特の異様な雰囲気が残る中、試合は始まった。
専大松戸の先発投手は、背番号11の左腕•金子弥聖。豊富な投手陣を誇るチームにあって、大事な初戦の先発を託された。夏の主軸投手として、期待の高さが窺える先発起用である。

学館浦安の1番打者は、主将の小野田。1回戦で先頭打者本塁打を含む2本塁打を放ち、チームを勢いづかせた好選手。立ち上がりから試合のポイントとなりそうな対決となった。金子はこの小野田をフルカウントから空振り三振に切って取ると、初回を3人で切り抜ける無難な立ち上がりを見せた。

一方、東京学館浦安の先発投手は背番号10番の秦野。力のあるストレートと、キレの良い変化球をコーナーに投げ込む好投手だ。
専大松戸は、この好投手•秦野に初回から襲いかかる。1番の稲葉が初球を叩き、ライト前ヒットで出塁。犠打と死球で二死一、三塁とチャンスを広げると、5番の石川がレフトスタンドに豪快な3点本塁打を放ち、専大松戸がいきなり3点を先制した。

学館浦安としては、ダメージの大きい立ち上がりとなったが、先制を許した直後のピンチで中堅・池田が、落ちれば大量失点につながる打球をダイビングキャッチで凌ぎ、一方的な展開を阻んだ。

攻守で相手の流れを止めた学館浦安は、2、3回とヒットと四球などでチャンスを作るも、金子に要所を締められて得点を奪うことが出来ない。
一方の専大松戸も、2回以降追加点を奪えず、試合は膠着状態に入りそうに見えたが、それを嫌うかの様に学館浦安ベンチが動く。4回から秦野に代えてエースナンバーの矢島をマウンドに上げ、試合の流れを変えにいった。矢島は、伸びのあるストレートで専大松戸の4回の攻撃を無失点に抑え、反撃を待つ。
 しかし専大松戸の金子も、中盤から徐々に調子を上げて、学館浦安に反撃を許さない。


 迎えた5回裏、専大松戸が二死からチャンスを作る。石川の四球後、6番の藁谷がこの日2本目となるヒットをライト前に放つと、7番の河村が、矢島の高めに伸びるストレートを上から叩き、左前タイムリーで貴重な追加点を上げた。

立ち直った金子を何とか攻略したい学館浦安は、8回に反撃の糸口を掴む。
この回先頭の、小野田が右前に痛烈なヒットを放つ。右翼手が打球の処理を誤ったのを見逃さず、俊足を生かして一気に二塁を陥れ、無死二塁のチャンスを作る。主将の一打で、学館浦安のベンチ・スタンドも反撃ムード一色となった。

しかし、この日の金子は落ち着いていた。後続を自らの好フィールディング等で凌ぎ、この8回を無失点に切り抜けると、最終回もそのままマウンドに登り、0点に抑え見事な
完封勝利をおさめた。

接戦が予想された2回戦屈指の好カードは、Aシードの専大松戸が初戦の緊張感を初回のの先制攻撃で振り払い、見事に3回戦進出を決めた。

この試合、試合開始直前に、エースナンバーの高橋が、マウンドの金子の所まで走り、声を掛けたのが印象的だった。
グラウンドに立たないベンチの選手も一緒に戦うという意識を持ち、全員野球でチーム一丸となって挑む夏。今年も強い専大松戸が見られそうだ。

敗れた東京学館浦安は、2回戦敗退という、短い夏となってしまった。
強打に攻守と、非常にハイレベルなチームであった。また、グラウンドとスタンドが一体となっている応援も見事で、ここで敗れ去るにはあまりにも惜しい学校であった。同地区で対戦が多い両校、秋以降も好ゲームを繰り広げてくれる事に期待したい。

勝利して3回戦進出を決めた専大松戸は、17日の[stadium]柏の葉球場[/stadium]第2試合で、船橋二和高校と対戦する。

(文:原野 啓)

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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