試合レポート

高知vs小松

2011.10.27

高知vs小松 | 高校野球ドットコム

連投で5回無失点の高知先発・市川豪(1年)

高知、急成長の女房役擁し明徳義塾との再戦へ!

秋季愛媛県大会初制覇を果たした勢いそのままに、地元・西条市小松町から繰り出した応援バス1台と共にアグリあなんスタジアムへと乗り込んできた愛媛小松。

名門・高知相手に甲子園での実績十分な宇佐美秀文監督がいかなるタクトを振るうか。そして前日、県大会2位の今治西、3位の宇和島東が敗れたことで「野球王国愛媛」唯一の砦となった小松がいかに甲子園への距離を近づける戦いができるか。大挙駆けつけた愛媛県内マスコミ含め、観衆の視線はその1点に注がれていた。

ただし先に結果から書けば愛媛小松は高知の前に何もできなかったと言ってよい。2回表には5番・脇水陽水(1年)のチーム初安打から、続く3回にも9番に抜擢された佐藤真司(1年)の四球からいずれも2死2塁のチャンスを掴んだものの、いずれも後続が倒れ先制できず。

「試合中盤に打てないことでチームが沈んでしまった」と青野流誠主将も振り返ったように、高知市川豪坂本優太の1年生右腕リレーに出したランナーは2安打3四死球の5人のみ。4回以降は2塁も踏めずでは勝機を見出すのは難しい。

また、3回までは無難な滑り出しを見せた愛媛小松エース・中野涼介(2年)も、4回裏に先頭の4番・法兼駿(2年・主将)に対し不用意な初球の入りで一塁線を抜く三塁打を喫し、続く6番・政勇磨(2年)のスクイズで先制を許すと、その後は毎回先頭打者の出塁を許し、失点を重ねていった。


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小松先発・中野涼介(2年)

試合後、宇佐美監督は「1点取られたことで相手の緊張感が解けてしまった」、中野は「高知はどのバッターも凄い。甘いストレートを全部はじき返されてしまった」と、それぞれの立場で相手の強みを指摘した。
がこれも、既に10月2日に自らの足で愛媛県大会決勝を視察し、中野の球筋、髙橋佑輔(2年)のリード傾向を把握。

「中野くんはコントロールがいいし、追い込むと際どいボールが来るので、待っても仕方がない。ストレートか、スライダーかヤマをかけてどんどん打ってこい」と選手たちにあらかじめ指示を送っていた高知・島田達二監督からしてみれば全て想定内の出来事であった。

こうして愛媛小松は経験値のなさを攻守共に露呈したまま、わずか114分で四国の舞台から去ることに。コールド負けを阻止したことは収穫とはいえ、春、そして再び夢舞台を目指す夏までに消化すべき課題は数多く残っている。

一方、高知はこの快勝で参加12校中唯一となる3年連続秋季四国大会ベスト4進出を果たした。だが、周囲にとっては当然とも思えるこの状況は、指揮官の目からしてみれば「出来すぎ」であったようだ。

特にバッテリーについてはその感は強い。新チーム発足後、秋季県大会に至るまでは左の宮本嘉生、右の細川孝典西川大地の3本柱と、強肩強打の松窪海斗といった3年生の後を継ぐ選手が全く固まらなかった彼ら。
今大会の投手登録が市川、坂本に加え、県大会でも2試合登板の左腕・田頭翼(2年)、県大会は登録外だった加藤久明(2年)の4名。捕手も小松朋裕(2年)、一色晴信(2年)、股川涼有(1年)のいずれも県大会に出場した3名が登録されていることを見ても、高知の今大会開始時点における苦しいチーム事情が浮かび上がってくる。


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高知投手陣をリードする小松朋裕(2年)

ただ、今大会では市川、坂本の1年生2投手の継投策が見事にはまり2勝。さらにチームにとって投手以上に大きいのが彼らをリードする女房役が小松朋裕で固まりそうな点である。例えば捕手の重要な要素である相手との駆け引き。この小松戦に臨むにあたって、どんなリードを思い描いていたのか、彼は明快に語ってくれた。

「市川については昨日(藤井学園寒川戦)の初回にインコースを要求してデッドボールを与えてリズムを崩してしまった(2失点)ので、今日は外中心に。また、3番(宇都宮龍也・1年)に対しては注意して外角のカーブでストライクを取ってから、真っ直ぐで勝負するようにしました」。

失敗を失敗のままにせず、次への糧とし、相手のストロングポイントは確実に押さえ込む。かつ、ネット裏だけでなく一部は内野スタンドにも陣取り、藤井学園寒川対高知の一戦を双方向からつぶさに観察していた愛媛小松にとっては全く予想しえなかった彼のリード。いわばこの時点で勝敗は決していたのだ。

「県大会ではリードミスもあったが、配球がわかってきたことでヒットも打たれなくなった」手ごたえを語る小松朋裕。「キャッチングがよくて投げやすいところに、リードも成長が見られている。投手陣のよさをよく頑張って引き出している」と指揮官も高い評価を与える彼の急成長が、高知の今を支えていることは間違いない。

そして勝てばセンバツへ大きく近づく準決勝の相手は、同県の宿敵・明徳義塾。県大会準決勝では1対2とリードされた6回からマスクを被り、2失点と悔しい思いをした想いを胸に小松朋裕は短い言葉に力を込めた。

「来週勝って甲子園に行きたい」。

この1週間で彼が、そして高知がさらなる急成長を見せれば、県大会のリベンジ、そして2年ぶりセンバツ出場への扉を開く可能性は確かにある。

(文=寺下友徳)

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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