試合レポート

佼成学園vs堀越

2017.10.09

平澤が逆転2ラン!佼成学園、堀越に粘り勝ち

佼成学園vs堀越 | 高校野球ドットコム
逆転本塁打の平澤(17番)を迎える佼成学園ベンチ

 練習場は離れているものの、佼成学園は杉並区で堀越は中野区と学校は近く、ともに伝統と実力のあるチーム同士の対戦。こうした試合は、チャンスをいかに物にするかが勝負を分けることになりやすい。

 この試合、押し気味なのは、堀越の方だった。1回表堀越は1番・佐藤航がセンター、やや左中間寄りに鋭い打球を放つ。これを佼成学園の中堅手・岸川智哉が好捕した。佼成学園の先発・青木翼は立ち上がり、それでもリズムをつかみきれず、3四死球で二死満塁としたが、6番・村田和輝を三振に抑え、ピンチを切り抜けた。

 堀越は2回表、この回先頭の7番・小柳海斗がライトスタンドに本塁打を叩き込み、1点を先制する。さらに1番・佐藤のあわや本塁打かと思われたレフトへの二塁打などで一死二、三塁としたが、佼成学園の守備陣は、このピンチでも得点を許さない。

 4回表には、この回先頭の小柳が内野安打で出塁するも、二盗を試みたら三振ゲッツーになる。さらに9番で、先発投手でもある石川嘉也の四球と佐藤の2打席連続の二塁打で二死二、三塁とすると、2番・小宮諒太郎の右前安打で石川が生還、佐藤も本塁を突いたが刺されて1点止まりだった。

 堀越が2点をリードしているものの、ここまでチャンスを潰すと、流れは佼成学園に向かう。

 4回裏佼成学園は、この回の先頭打者で、数少ない夏の大会の経験者でもある4番の松下豪佑が中堅手の失策で出塁すると、5番・斉藤功大の左中間への安打でまず1点。続く平澤飛龍は6番打者ながら、がっちりとした体をしている。平澤が2球目を叩くと、打球はセンターオーバーでそのままスタンドに入る2ラン。佼成学園は一気に逆転した。
「一発持っている打者で、そのために使っています」と佼成学園の藤田直毅監督が語る狙いが的中した一打だった。


 逆転2ランを打たれたものの、堀越の先発・石川は、佼成学園の藤田監督が「インコースをうまく攻められ苦しみました」と語るように、内角、とりわけ低めへの制球がよく、その後は得点を許さない。

 一方佼成学園の先発・青木は、6回表にも2本の安打で一死一、三塁、さらには1番・佐藤の四球で二死満塁のピンチを招くが、やはり無失点で切り抜ける。

 粘りの投球を続けた佼成学園の青木であるが、7回を終わった時点で球数が130になり、8回表から2番手として、泉慶紀が登板する。

 しかしいきなりこの回の先頭、当たっている7番の小柳に三塁打を打たれる。それでも後続を三振2個と内野ゴロに抑え、得点を許さない。

 9回表も、四球と安打で無死一、二塁としたが、4番の小槌光の3ボール2ストライクから6球目、二塁走者はスタートしたが、小槌がボールを見送ると、スタートしていた二塁走者は、盗塁失敗の形になってアウト。投球はストライクと判定され、またも三振ゲッツーとなった。

「バントで行こうとも考えましたが、打たせた方がいいと判断しました。ただゲッツーが怖いので、エンド・ランを仕掛けたのです」と堀越の小林寛己監督は言う。
佼成学園の粘り強い守りが、相手チームへのプレッシャーになり、佼成学園に1点差逃げ切りの勝利をもたらした。

「ピッチャーは頑張りましたが、攻撃の精度をもっと上げないと」と堀越の小林監督は、今後の課題を挙げた。あと1本が出ていれば、試合は全く逆の展開になって可能性があるだけに、惜しまれる場面も多々あったが、それが勝負の厳しさ。堀越にとっては惜しい試合であったが、それだけ、今後への教訓となった試合になったはずだ。

 勝った佼成学園の藤田監督は「選手たちは、こういうきつい試合を初めて経験しました。勝って、いい勉強をさせてもらいました」と語る。こういう厳しい試合を乗り切ったことで、勢いに乗れるかが注目される。次は15日に上柚木公園野球場で、明大中野八王子都立日野台の勝者と対戦する。

(文=大島裕史

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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