Interview

なぜ高校野球の新たなリーグ戦は拡大し続けているのか?『チームのために個人がいる』ではなく『個人の成長のためにチームがある』~野球指導者・阪長友仁のビジョン後編~【『新しい高校野球のかたち』を考えるvol.7】

2024.06.21


阪長友仁氏

約10年前、ドミニカ野球に触れた野球指導者・阪長友仁は衝撃を受けた。ドミニカでは「選手と指導者は対等の関係」で、「成長を望む選手のために指導者が存在」していたのだ。

日本の高校野球にはない指導の在り方に、「このままでは日本の野球は行き詰ってしまう」と感じた阪長は、「LIGA Agresiva(リーガ・アグレシーバ)」という未来の高校野球のために、新たなリーグ戦を立ち上げた。
今年の8月には、高校3年生を対象にしたサマーキャンプを行う。全国から集まった見ず知らずの選手同士でリーグ戦を行うという全国初の取り組みだ。

将来の野球界のために一石を投じ続ける阪長。彼の考え方を引き続き紹介していこう。

<前編を読む>

(写真提供=本人)

リーグ戦を行う意味と価値

ドミニカの16歳~18歳の選手たちの試合環境とはどんなものなのだろうか?
「ドミニカの高校生年代はトライアウトに合格した選手のみがプレーできる『ドミニカンサマーリーグ』というものがあります。試合は全てリーグ戦で、全チーム年間72試合が組まれています。そうなると、それなりにピッチャーの数も必要です。ケガ人を出さないために、しっかり登板間隔をあけて休ませるし、チームによる多少の差はあると思いますが、故障のリスクを減らすためにも、例えば先発投手であれば、80球・中5日のローテーションを組みます」
「体のできあがったメジャーリーガーですら、100球・中4日を基本とした投球数であるのに、それより年齢が低く、まだまだ身体も完成していない、さらには今の結果より将来が大切な若い世代に、メジャーリーガーより多くの球数を投げさせたり、短い登板間隔で投げさせることは良くないという考え方です。選手数、特に投手はたくさん必要ですので、30人から35人くらいのロースターが必要です。その上で、72試合の公式戦をずっと行っているんです」

そして、阪長は「リーガ・アグレシーバ」という取り組みを始める。
「そういう考え方って、日本にそもそも仕組みとしてないんですよね。みんながメジャーやプロを目指すわけではないけど、今の結果のためにやるのではなくて、先のために何ができるのか。それができる環境は何かと考えた時に、リーグ戦でやるしかないなと思いました。トーナメントのような負けたら次がない状況では無理をせざるを得ないですし、現実的に1試合で半分のチーム、2試合でその半分のチームが敗退と考えると、約9割の87.5%のチームが3試合以内に敗退し多くが経験を積めません。
それが、『リーガ・アグレシーバ』を始めるきっかけの1つなのです。とはいえ、公式戦に割り込むわけにはいかないので、空いている時期に指導者と選手の成長を目的に2015年にこの取り組みを始めたんです。最初は半分笑われていましたけど、今では多くの方に賛同いただいています」
「ただ、リーグ戦で試合をすることが目的ではありません。本当に伝えたいことは、指導者と選手の関係性であり、どういう関係性であれば、選手たちが成長できるか。どうアプローチをしていけばいいか。選手たちのために、指導者や保護者たちと一緒に考えて取り組んでいます。そのために、リーガ・アグレシーバという枠組みを作って実施しているのが現状です」

(写真提供=本人)

次のページ:日本が指導者と選手が対等の関係になるためには?

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この記事の執筆者: 安田 未由

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