試合レポート

【埼玉】 3回戦 聖望学園 vs 大宮東

2023.09.29

大宮東・冨士が19奪三振もタイブレークの末、聖望学園がサヨナラ勝ち!

<秋季埼玉県高校野球大会:聖望学園2ー1大宮東(延長10回タイブレーク)>◇27日◇3回戦◇上尾市民

今大会No.1、プロ注目の最速140km左腕・大宮東・富士 大和投手(2年)が強打の聖望学園打線を相手に9イニングで大会記録に迫る毎回の19奪三振を奪った。だが試合は9回で決着つかず試合は延長へ。勝ったのはどちらか。

レジスタ大宮球場の第2試合は、プロ注目の今大会No.1左腕・冨士を擁する大宮東と、強打の聖望学園との一戦。

大宮東の先発がエース冨士。一方の聖望学園はエース向深澤 要(2年)が前の川越東戦で137球を投じ完投した影響もあり、今回は背番号11の右腕・嶋津 寿樹投手(2年)が星野戦以来の登板、公式戦初先発し試合が始まる。

先制したのは大宮東であった。

大宮東は初回、聖望学園・嶋津の立ち上がりを攻め、先頭の内海 怜音外野手(2年)が左越えの二塁打を放ち出塁すると、続く伊藤 神柊外野手(2年)の送りバントに対し嶋津がファンブルをし無死一、三塁とする。ここで3番・白井 響大内野手(2年)がスリーバントスクイズを決め幸先良く1点を先制する。

だが、聖望学園は2回、この回の先頭・向深澤が右翼線へ二塁打を放ち出塁すると、2死後、小槻 修也捕手(2年)の三ゴロを三塁手が一塁へ悪送球して2死一、三塁とチャンスが広がる。ここで9番・山本 修平外野手(2年)が左前適時打を放ち1対1の同点とする。

聖望学園打線は、大宮東・冨士に対し、前の試合同様に小泉 三四朗外野手(2年)や向深澤など左打者が勝機を見出していった。実際に現状の冨士は右打者より左打者に可能性を感じる。だが、冨士も左打者にきっちりと対応する。その結果「直球を待ちながら甘い変化球対応で。第1打席は甘い変化球を捉えられたんですが、第2打席以降は直球の割合が多くなって、直球は角度があって難しかった19三振は記憶にない」(聖望学園・向深澤)。右打者も「ノーステップで対策は立てて来たんですが完全に上回られた」(聖望学園・中條 和也内野手=2年)と聖望学園打線は脱帽。

冨士は「点を取られた回以外は良かった。相手が変化球を待っているのは感じたので直球で押して行こうと。変化球は長打を打たれてからより低めを意識した」と、この日は充実感が漲り、3回以降は聖望学園打線を圧倒し無失点で抑える。

苦しい状況の聖望学園であったが、この日は聖望学園・嶋津も「序盤は緊張していたが、この日は直球が走っていたし相手も遅れていたので、直球で押していった」と好投を見せた。

それだけに大宮東は1、2点取れれば勝ちが見える状況であったが、6回、微妙な判定もあったが、2死満塁のチャンスを逸すると、8回には無死二、三塁で後続が倒れ無得点に終わるなど、なかなか勝ち越し点が奪えない。

試合は延長タイブレークへ。

迎えた10回表、大宮東はこの回からマウンドに上がったエース左腕・向深澤の代わり端を攻め無死一、二塁から3番・白井の犠打が内野安打となり無死満塁と絶好のチャンスをつかむ。だが、1死後、5番・平松 陽向内野手(2年)のところで大宮東ベンチはスクイズを敢行する。決まったかに思われたが、平松がバッターボックスを出てベースを踏んでおり反則打球という判定でアウト。後続も凡退し無得点でこの回の攻撃を終える。

一方の聖望学園はその裏、無死一、二塁から9番・山本がきっちりと送り一死二、三塁とすると、続く中條は大宮東・冨士のワンバウンドを狙ったチェンジアップがやや高くなりバットで触れる高さに行ったところを見流さなかった。中條はこの球に食らいつき外野へと飛ばす。最後はこれが犠飛となり聖望学園がサヨナラ勝ちを収めベスト8へ駒を進めた。

聖望学園は、新チーム結成後から好調な打線を武器に練習試合で19連勝するなど本来打のチームだ。だが、この日は冨士の前に19奪三振を喫するなど、とにかく勝機の少ない試合であった。しかも前の試合の疲労もありエース向深澤が先発できる状態ではなかった。それだけに、とにかく嶋津に尽きるであろう。最速130キロ後半の直球を武器に大宮東打線を最少失点に抑えたことが何より大きい。

「苦しかったです、特に三振の数が。あれだけの三振ですとバントも難しい状況で最後はよく(犠飛を放って)決めてくれた。嶋津が良く投げてくれた。彼にはもう1人の柱になって欲しくて続投させました。実際、直球が走っていたので9回まで行かせようと。ただタイブレークはフィールディングの良い向深澤に任せました」(浮中監督)

一方の大宮東は、とにかく冨士は良く投げた。だが、如何せん打線が打てない。「冨士は直球も走っていたし変化球も良かった。左打者対策も最後の場面は次の打者が小泉君だったので2入で1人のイメージで。勝たてせてあげたかったのは私の責任です。直球をきっちり捉えられるような打力を磨いていきたい」(飯野監督)と、チームの一体感は感じるが、来春以降は冨士への負担を減らすべく本来のチームカラーである打撃の復活に期待したい。

そして最後に冨士は「最後はボールで良い場面だったんですがチェンジアップがバットが当たるところに行ってしまった。来春までにまずは制球力を磨いて、何よりも体も作り直して直球もより高いレベルを目指したい」と、バージョンアップを約束した。更なる高みを目指す冨士の今後も注目だ。

 

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