東北学院大準硬式野球部が2季連続優勝!「柴田コンビ」、打率5割超えのルーキーら下級生に勢い

9月23日、東北地区大学準硬式野球秋季リーグ戦1部リーグの最終節が行われ、山形大医学部を4対0で下した東北学院大が2季連続の優勝を決めた。5戦5勝で圧巻の全勝優勝。春、秋ともにリーグ戦を制すのは2019年以来、4年ぶりだった。全国制覇の経験もある東北の名門が、1年を通して強さを見せつけた。
「柴田コンビ」は成長示す防御率0.00
1試合平均13得点と「打のチーム」だった春から一転、秋は投手陣の安定感が光った。5試合で失点わずか4、チーム防御率は0.80。伏見善成監督は「今までリーグ戦であまり投げていなかったピッチャーを投げさせよう」と学年問わずあらゆる投手を起用し、各々が期待に応える投球を披露した。
中でも活躍が目立ったのが日下 裕翔投手(1年=柴田)、池田 翔投手(1年=柴田)の柴田出身1年生コンビ。小、中、高と一緒で大学でも同じ道に進んだ2人は、今春から登板機会を得ていたが、秋はさらなる成長を示した。優勝を決めた山形大医学部戦でも、日下、池田のリレーで完封勝利をやってのけた。
日下は球速以上の球威がある直球を武器に持つ左腕。今秋は青森大戦で9回8奪三振完封勝利を挙げると、最終戦でも7回9奪三振無失点と快投し、防御率0.00で終えた。春は防御率11点台と苦戦するも、夏に投げ込んでフォームを固め、全日本大学準硬式野球選手権のマウンドも経験したことで一皮むけた。日下は充実の1年目を「大学準硬式のレベルが分からない中で、1年目から試合に出させてもらってそれを体感できたのは、今後に向けて良い経験になった」と振り返る。
中継ぎで起用された池田は東北地区唯一のアンダースロー。3試合、計8回を投げこちらも防御率0.00で、与四死球0と抜群の制球力を誇った。高校2年の春からアンダースローに転向し、「自分の役割を見つけることができた」。速球はなくとも得点は許さない投球術が、準硬式でも、大学でも通用することを証明してみせた。
昨夏の全国高校野球選手権宮城大会初戦でのちに甲子園を制する仙台育英打線相手に投げ、敗れたものの健闘した柴田コンビ。ともに野球は「高校まで」のつもりだったが、2人の投球に惚れ込んだ伏見監督から「うちで『3年計画』で育てたい」と勧誘を受け、準硬式の道を選んだ。今後も2人が投手陣の中心となるだろう。
打線は課題残す秋に
一方の打線は5試合で23得点、チーム打率.264と春に比べると物足りない数字に終わった。指揮官も「リーグ戦終盤は先頭打者が出塁できなくて、残塁も多かった。打線がつながらず、野球ができていない」と眉をひそめた。
そんな中、三塁のレギュラーを獲得した阿波 唯斗内野手(1年=仙台商)は全試合で安打を放ち、チームトップの打率.526(19打数10安打)をマークした。山形大医学部戦ではセンターから右方向へしぶとい打球を飛ばし4安打。「秋は球が見えていて、良い感覚で打てていた。チーム目標の全勝優勝に貢献できてよかった」と手応えを口にした。今春は1年生ながら全試合に出場するも、全日本選手権では出番を得られず。「絶対にレギュラーを取り返す」と悔しさを秋にぶつけた。
投手同様、野手も下級生に勢いがある。2年生ではマスクをかぶって攻守で貢献した工藤 修也捕手(2年=秋田西)、チームトップの6打点をマークした柳沢 友哉外野手(2年=仙台商)らが奮闘。1年生は阿波のほか、佐藤 琳空内野手(1年=柴田)、菅原 慧祐内野手(1年=仙台城南)ら高校時代から主軸を担っていた強打者がそろっており、台頭が待たれる。
すでに経験を積んでいる3年生とも足並みが揃えば、前チームのような強力打線を形成することもできるはずだ。東北地区を牽引する東北学院大が、今年の春秋連覇を機に再び「黄金時代」を築くか。追う5大学や2部リーグにもポテンシャルの高いチームが並ぶだけに、今後も東北の大学準硬式から目が離せない。
(取材=川浪康太郎)