ドラフト上位指名を目指す大学生NO.1ショート・辻本倫太郎 世代NO.1左腕と対決した感想も

「世代No.1遊撃手」の呼び声高い仙台大・辻本 倫太郎内野手(4年=北海)が9月9日、プロ志望届を提出した。仙台六大学野球秋季リーグ戦の東北工業大1回戦で満塁本塁打含む3安打と躍動した16日、ドラフトが迫る現在の心境や大学日本代表での経験について聞いた。
「上位指名」に向け、猛アピールの日々
辻本は昨年から今春にかけて、ドラフトでの「支配下指名」を目標に掲げてきた。仙台大は野手が支配下指名されたことはなく、高校の先輩である川村 友斗外野手(ソフトバンク)も育成指名。「川村さんを超えないといけないと思うと、しんどい部分もある」と不安を漏らすこともあった。
しかし、大学日本代表や明治神宮大会、全日本大学野球選手権で活躍したことで自信をつけ、最終的には「上位指名」が目標になったという。
プロ志望届を提出し、心境に変化も。「キャプテンとしてやらなければいけないことが多いので、自分のことよりはチームのことを考えている」としつつ、「でも、春よりは自分のプロへの意識も大きくなってきている」と胸の内を明かした。
「(チームの)結果が悪い方向にいかないよう、気持ちの整理をしながら、上位指名の目標に向かって、もっと貪欲にアピールしたい」。主将の立場で、チームが勝つ方法を考え続けてきた辻本らしい意気込みだった。
大学日本代表で戦った2年間で得たもの
大学日本代表には2年連続で選出された。7月の日米大学野球選手権はアメリカの投手に苦戦し、9打数無安打と打撃では結果を残せなかったものの、本職の遊撃だけでなく二塁や三塁も守り、優勝に貢献した。
8月28日に東京ドームで行われた高校日本代表との壮行試合で代表としての活動を終え、「楽しくできました」と無邪気に笑った。「去年は自信を手にして帰ってこられた。今年は思うように結果が出なかったけど、まだまだ上にいけると考えて、悔しさをバネにできているのが収穫」。日本代表のユニホームに袖を通したからこそわかったことは、去年も今年も数えきれないほどあった。
高校日本代表との壮行試合は、大学日本代表が強さを見せつけ圧勝した。辻本は「みんな『負けられないぞ』という思いで、気合いが入っていました」と振り返る。同じく今秋ドラフト候補の大阪桐蔭(大阪)・前田 悠伍投手(3年)との初対戦も実現した。球威のある直球で追い込まれ、最後は切れ味抜群のスライダーに手が出て空振り三振。「前田、よかったですよ」と注目左腕を称えた。
「あれだけ堂々としていて、自信を持って、勢いのある球を投げてくる左ピッチャーは、なかなか対戦したことがない。自分の持っている球をどんどん投げ込んでストライクゾーンで勝負してきたので、打席で的を絞りきれなかった」。大学日本代表に入ったことで、普段目にすることのできない海外の投手はもちろん、高校生の逸材と対戦することもできた。それは大きな財産となっている。
今秋のリーグ戦は6試合を終えた時点で打率.400(25打数10安打)、2本塁打、8打点と打撃は好調。ここまでフルイニング出場を続け、攻守でチームを引っ張っている。「運命の一日」まであと約1か月。力を出し切り、最高の笑顔でその日を迎える。
(取材=川浪康太郎)