日大鶴ヶ丘の小針が5打数5安打、杉浦も6打点の活躍で世田谷学園に打ち勝つ
<秋季東京都高校野球大会1次予選:日大鶴ヶ丘10ー6世田谷学園>◇18日◇代表決定戦◇日大鶴ヶ丘グラウンド
この夏の西東京大会準優勝の日大鶴ヶ丘と、昨年秋の都大会ベスト8の世田谷学園という好カード。西東京大会の決勝戦で日大三に敗れた後、日大鶴ヶ丘の萩生田 博美監督は、打力を強化することを語っていた。本格的に取り組むのはこれからのようだが、この試合でも、その片鱗をみせた。その中心にいるのは、夏も中心打者として活躍した小針 大輝と杉浦 凛だ。
1回、日大鶴ヶ丘は、世田谷学園の先発・杉本 倫之介投手を攻め、1死一塁から3番・小針の右前安打で一、三塁とし、4番・瀧沢 柊太の内野安打で1点を先制。さらに5番・杉浦の二塁打で2人が生還し、初回に3点を入れる。
世田谷学園は、1回途中から投手を石橋 泰正投手に交代する。2回、日大鶴ヶ丘は石橋を攻め、3番・小針の右前安打などで1死一、三塁とし、4番・瀧沢の一ゴロの間に1人が生還。続く杉浦の右前安打でさらに1点を追加する。
日大鶴ヶ丘の一方的な展開になりかけたが、試合の流れを変えたのは2番手で登板した石橋だった。石橋は昨秋の1次予選では、3番・投手で出場している。そして3回を三者凡退に抑えた後の3回、石橋が左中間に本塁打を放ち、1点を返す。
それでも日大鶴ヶ丘は、4回1死一塁から3番・小針の右前安打に続き、4番・瀧沢の左前安打で1点を追加した後、杉浦が三塁まで達する長打(記録は二塁打と失策)で2人が生還する。杉浦も6番・海老澤 来蔵の左前安打で杉浦も還り、この回4点を入り、4回表が終わり9対1という、コールドゲームになりそうな展開になる。
けれども世田谷学園は、その裏に日大鶴ヶ丘の先発、1年生の左腕・住日 翔夢を攻略する。2死一、二塁から8番に入っている石橋の左前安打で満塁とする。ここから9番・福田 温大の左前安打で1点を返すと、敵失絡みでさらに1点。2番・松下 卓飛の内野安打で1点を返し、この回3点を挙げて追い上げる。
5回には5番・坂本 勇希がこの試合2本目となる二塁打を放ち、死球などで2死一、二塁とし8番に入っている石橋の二塁打で2人を還す。
打撃好調の石橋は、5回以降は投球も落ち着いて日大鶴ヶ丘に追加点を許さない。一方、日大鶴ヶ丘も6回から登板した2年生の左腕・田中 優良が好投し、世田谷学園の追い上げを食い止める。
9回、日大鶴ヶ丘は、3番・小針が内野安打を打ち、この試合小針は5打数5安打の大当たり。4番・瀧沢の犠打と暴投で1死三塁とし、5番・杉浦の中犠飛で1点を追加する。杉浦はこの試合6打点。チーム10得点の大半に絡んだことになる。
結局、9回の1点がダメ押しとなり、10対6で日大鶴ヶ丘が勝ち、都大会出場を決めた。ただ9対1という、コールドゲームになりそうな展開から追い上げた世田谷学園の健闘が光る試合になった。「こういう展開になることも頭に入れていました。守りからほころびが出てしまった」と日大鶴ヶ丘の萩生田監督は言う。まずは都大会だが、夏まで時間をかけてチーム作りをする方針のようだ。
そうした中でも、5打数5安打の小針と6打点の杉浦は、さすがという活躍であった。小針は前の試合で打てなかったので、「後ろに体重を残し、前に突っ込まないよう意識しました」と語る。杉浦は打撃よりもまず、新チームになって、夏までの三塁手から遊撃手になって、まず慣れることが先決のようだ。そのうえで、「自分たちの代で甲子園に行くことだけです」と語る。
2人にとって忘れることができないのが、西東京大会の決勝戦で1対1の同点で迎えた6回に5番・小針、6番・杉浦が連続三振に倒れ、チャンスを生かせなかったことだ。夏のつらい記憶を胸に、秋は成長への第1歩になる。