<第76回秋季東北地区高校野球宮城県大会:仙台育英5-2東北>◇18日◇2回戦◇仙台市民
昨秋は県大会、東北大会の決勝で対戦し、ともにセンバツに出場した両校が、今秋は2回戦でぶつかった。仙台育英・武藤 陽世投手(2年)、東北・進藤 愛輝投手(2年)の両先発で投手戦が予想される中、仙台育英は3回までに5点を奪い試合の主導権を握る。終盤の東北の反撃を継投で振り切り、ライバル対決を制した。
仙台育英は2回、7番・高田 庵冬内野手(1年)の適時打などで2点を先制する。3回は1死一、二塁と好機をつくると、4番・湯浅 桜翼内野手(2年)が左翼席へ飛び込む3点本塁打を放ち、リードを広げた。先発の武藤は6回まで2安打無失点と快投。7回途中にピンチを背負って降板するも、その後は山元 一心投手(1年)、佐々木 広太郎投手(2年)とつないで逃げ切った。
湯浅は公式戦初本塁打。「大きい当たりは求められていない場面だったので狙ってはいなかったけど、思った以上に打球が伸びた」と冷静に一発を振り返った。昨秋から打線の中軸を任されており、新チームのメンバーの中では最も経験値が高い。今秋は「仮キャプテン」に就任し、「背中で見せるキャプテン」を理想に攻守でチームを牽引している。
2年連続で甲子園の決勝まで勝ち進んだ仙台育英だが、経験豊富な3年生が抜けたばかりの新チームはまだまだ「未熟」。この日は4回以降、再三の好機をものにできず、7、8回は守備の乱れが絡んで失点するなど、課題も露呈した。湯浅は「点が入ったことで安心して、後半は集中力が切れてしまっていた」と反省。「去年と比べると力が劣るので、しっかりみんなで肩を組んで頑張りたい」と気を引き締めた。
「まだまだ全然、完成されていないですし、成長は計り知れない。楽しみなチームです」と湯浅。須江航監督も「今は強いチームではないですけど、練習している姿や私生活を見ると、すごく楽しみなんですよ。毎日ワクワクしながらグラウンドに向かえる」と期待している。新・仙台育英は試行錯誤を繰り返し、試合のたびに成長を続ける。
東北は2回戦敗退で、2年連続のセンバツ出場が絶望的となった。打線は6回まで内野安打2本に抑え込まれ、守っては5失策。主将の畠山 重汰外野手(2年)は「格上の相手に歯が立たなかった。やるべきことをやらないと勝てない」と言葉を絞り出した。「先輩たちの野球のいいところは生かしつつ、自分たちの色を出して、隙のない野球をしたい」。気持ちはすでに春に向いている。
(取材=川浪康太郎)
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