向上に大苦戦の横浜の試合運びは「淡白」、タレント揃いの横浜ナインの課題
〈神奈川県高校野球秋季県大会:横浜6-5向上(延長10回タイブレーク)〉♢16日♢3回戦♢サーティーフォー保土ヶ谷
横浜vs向上の一戦。
横浜らしくない試合展開が続き、総括すれば「淡白で、怖さがない」試合運びだった。
3回。椎木 卿五捕手(2年)の適時打で1点を先制。4回に1点をとられたが、その裏に押し出しと併殺崩れの間に2点を勝ち越す。だが、向上も5回、満塁のチャンスを作り、内野ゴロの間に1点を入れる。さらに4番・百瀬 匠投手(2年)の適時打で同点で追いつくと、5番・富澤 創平捕手(2年)の適時打で勝ち越しに成功した。
横浜はあと1本が出ない試合展開。向上の投手陣は好投手が多く、先発の百瀬 匠投手(2年)は136キロ、3番手の桧原 佳威投手(2年)は136キロをマーク。いずれも直球にはかなり力があり、変化球もしっかりとストライクが取れる。向上バッテリーは、体に近いゾーンへ威力ある速球を投げ、横浜の打者たちはことごとく詰まらされ、凡打の山を築く。
7回までリードを許す展開となり、8回、椎木の同点犠飛で追いつく。試合は延長戦となり、10回に1点を勝ち越されたが、その裏に内野ゴロと4番上田 大誠外野手(3年)の犠飛でサヨナラ勝ち。5点のうち適時打は1点のみと、打撃面ではすっきりしない試合展開だった。
村田監督は「打者陣については積極的に振れていないですね。どんどん振っていいんです。この試合、見送れという指示は出していないですし、やはり前チームの緒方ら3年生と比べると、熱さがないのが気になります」と厳しく試合を振り返った。
試合後のミーティングでは投打ともに首脳陣から指摘があった。勝って反省できたとはいえ、淡白な部分が多く、今のままならば、レベルが高いチーム相手ではあっさりと負けてもおかしくないぐらい、怖さはなかった。
能力の高い選手が多く、この試合、どんどん代打の選手が出てくるが、いずれも中学時代から有名な選手ばかり。それでも打ち崩せない。良い選手は多いのだが、何かまとまりが欠けるところはあった。
結果オーライではなく、試合に向けての心構えは横浜のレギュラー選手に相応しいものだったか。村田監督はその面で選手に問いかけている。
4回戦は組織的な野球を行う平塚学園。甘さがあれば、あっさりとやられる相手だ。この試合で横浜の選手たちは意識を変えることができるのか。
横浜と接戦を演じた向上は投手力と機動力が優れ、戦力的に来春は関東大会を狙える
〈神奈川県高校野球秋季県大会:横浜6-5向上(延長10回タイブレーク)〉♢16日♢3回戦♢サーティーフォー保土ヶ谷
横浜と接戦を演じた向上は、21年秋に県大会準優勝を果たし、関東大会に出場している。当時のチームと比べると攻撃力こそ劣るが、走塁でプレッシャーをかけるシーンが多くあった。出塁すれば揺さぶりをかける。向上の平田監督は「本来、うちは走塁がベースです」と語るように、横浜バッテリーを徹底してスカウティングし、どういうカウントならば、変化球なのか、ワンバウンドになるのか、それを読んでスタートを切っていた。
横浜の先発・奥村 頼人投手(1年)は最速135キロをマークし、速球には威力があったが、ややリズムを崩していたのはその点が大きいだろう。
投手陣は、この秋の時点で、かなりレベルが高い。百瀬 匠投手(2年)、桧原 佳威投手(2年)はいずれも130キロ中盤をマーク。直球に威力があり、変化球の精度も悪くなかった。まだ課題はあるが、関東大会に出場した21年秋よりは上だといえる。2人とも駒澤大で活躍する松村 青投手の高校時代と比較しても負けていないといえる。
横浜と十分わたり合えたことは収穫になった。平田監督は「無欲ではなく、ずっと欲を出して横浜に勝つつもりで試合をしていました。悔しいです」と振り返った。課題として、守備力向上を課題に掲げた。
しっかりと一冬越えてパワーアップすれば、春は関東大会出場を狙えるチームになるのではないか。東海大相模、慶應義塾、横浜など強豪は多いが、秋から別人のように成長したいと思えば、その可能性は引き上がるはずだ。
© 2023 WoodStock. ALL RIGHTS RESERVED.