試合レポート

【埼玉】代表決定戦 武南vs大宮

2023.09.15

大宮・三屋7回までノーヒットも、8回武南が一挙10点大逆転で県大会へ!

<埼玉県秋季高校野球大会地区予選:武南12-7大宮>◇13日◇南部地区代表決定戦◇浦和市営

まさか終盤、こんな展開になるとは…。浦和市営球場の第2試合、武南vs大宮の試合は終盤に衝撃的な結末を迎える。

先発は武南が今夏、先発経験もある吉田 平良投手(2年)、大宮が三屋 翔投手(2年)と両エースが登板し試合が始まる。

先制したのは大宮であった。

大宮は3回、この回先頭の三屋が遊撃への内野安打で出塁すると、続く渡邊 悠介(2年)も四球を選び無死一、二塁とする。さらに、9番・宗友のところで暴投により無死二、三塁とチャンスを広げると、大宮ベンチは宗友 晴貴(2年)のところでスクイズを出す。宗友は期待に応え、これが見事に決まり、まず1点、続く山之内 優和(2年)もきっちりと犠飛を放ち、大宮が幸先良く2点を先制する。

これで流れをつかんだ大宮は4回にも、1死から4番・星 和希(2年)が四球を選び出塁すると、続く染谷 陸仁(2年)が左前安打を放ち1死一、二塁とする。2死後、7番・三屋が右越えの2点適時二塁打を放ち4対0とする。

対する武南はここまでノーヒットに抑えられていたが、その裏、すぐに反撃を開始する。この回先頭の鈴木 壘(1年)が死球で出塁すると、続く本田 汰斗(1年)も四球を選び無死一、二塁とする。さらに4番・吉田 英十(1年)の遊ゴロが相手エラーを誘い、無死満塁とチャンスは広がるが、1死後、6番・工藤 雄太(2年)が犠飛を放ち1点を返すに留まる。

武南は5回にも、この回先頭の平林 翼(1年)が四球を選び出塁すると、続く大澤 光(2年)がきっちりと送り1死二塁とする。さらに1番・深瀬 晄太郎(2年)の遊ゴロが相手エラーを誘い1死一、三塁とすると、続く鈴木のところで一走・深瀬はすぐさま二盗を決め1死二、三塁とする。ここで鈴木はきっちりと犠飛を放ち、未だノーヒットながら2点差とする。

武南は6回にも、この回先頭の吉田英が四球で出塁する。武南はこれで2回から毎回先頭打者が四死球で出塁している。一走・吉田英はすぐさま二盗を決め無死二塁とするが、後続が倒れ未だノーヒット、無失点に終わる。

すると、大宮は7回、1死から7番・三屋が左前へポトリと落ちる安打を放つと、続く渡邊も中前安打を放ち1死一、三塁とチャンスを広げる。ここで9番・宗友はスクイズの構えで揺さぶる。三走・三屋も盛んに大きなリードなどで牽制すると、これを受け工藤捕手が三塁へ牽制球を放る。これが三屋に当たり三屋は本塁生還、5対2とし貴重な追加点を奪う。

これで流れをつかんだ大宮は8回、この回先頭の岩瀬 奏太(1年)が四球を選び出塁すると、続く星の内野ゴロの間に岩瀬は二塁へと進む。ここで5番・染谷も死球で出塁し1死一、二塁とチャンスを広げると、続く萩原悠太(2年)が右前適時打を放ちまず1点、続く三屋も、この試合4安打目となる左前へポトリと落ちる適時打を放ち5点差をつける。

投げては大宮・三屋が多彩な変化球を駆使し、強打の武南打線に的を絞らせない。7四死球を与え2失点を喫するも、7回終了時点で未だ武南をノーヒットに抑える。

これで大勢は決したかと思われた。

だが、8回衝撃の展開が待ち受けていた。
武南は8回、この回先頭の本田がついにチーム初安打となる左翼線へ二塁打を放ち出塁する。これで息を引き返した武南は続く吉田英も左中間へ適時三塁打を放ち1点を返す。

ここで大宮ベンチは三屋を諦め、2番手・渡邊へスイッチする。渡邊は三屋よりやや直球が速い。これが誤算であった。

大宮・渡邊の球と武南打線のタイミングが合ってしまう。

武南は5番・吉田平が四球を選び無死一、三塁とすると、すぐさま二盗を決める。1死後7番・仲谷 翔(2年)が右中間へ2点適時三塁打を放ち2点差、続く平林もきっちりと犠飛を放ちついに1点差とする。

1点差に迫られるも2死走者なしとなり、本来は落ち着ける場面。大宮ベンチは三屋の再登板を決断するかと思われたが、渡邊の続投を選択。渡邊はその後もこれまで同様に直球中心の投球をする。

勢いに乗る武南打線は攻撃の手を緩めず、9番・大澤が右中間へ三塁打を放つと、続く深瀬も左中間へ適時三塁打を放ちついに同点とする。

武南はさらに代打・藤本 真生(1年)が四球を選び2死一、二塁とすると、続くこの回2打席目の本田が中前適時打を放ち逆転、さらに4番・吉田英も右越えの2点適時三塁打を放ち10対7とする。

大宮はやや遅れたが、ここで三屋を再登板させる。

逆転しノリノリの武南は、2死三塁から続く吉田平がトドメの2ランを放つなど打線が大爆発。この回打者13人を送り一挙10得点を奪った武南が12対7と大宮に大逆転勝ちして県大会出場を決めた。

武南は、エース吉田英がピリッとせず、打線も序盤からフライを打ち上げ続け典型的な負けパターンかと思われた。だが、最後に捲った形だ。

「緩い球を打ちに行っていなかったので、勇気だけだと。それでも捉えられなくて、最後ようやくという感じ。まず県大会に行かなければ何も残らないので今日は勝てばいいかなと。もう1回やり直しをして、次こういう展開になったら勝てないと思うので調整します。吉田平は序盤悪くなかったんですが、四球を出すようになってから、ボール先行で取りに行くようになり痛打された。8回は2番手の子の球を見て捉えられるかなと。県大会までにサインプレーや守備位置などの確認を」と、蛭田監督は反省しきりであったが、秋は一戦一戦強くなる可能性があるだけに、この勢いを県大会でも生かしたいところであろう。

一方の大宮は、エース三屋が投打に素晴らしい出来だった。相手打線はタイミングが合わず何より三屋が乗っていた。

「打線はたまたま。継投はむしろ三屋を引っ張り過ぎてしまった。渡邊は素直過ぎた。もっと変化球を交ぜてほしかった。春までに投手陣の整備と打線の爆発力が欲しい」と蒲原監督も、よもやの展開に呆然とした状態であった。確かに継投のタイミングは難しいものとなったが、選択肢や配球、タイミングも含め、やや間違えてしまった印象を受ける。改めて継投の難しさと野球の怖さを印象づける試合となった。

取材=南 英博

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