2回戦 越谷東 vs 春日部東
明暗を分けた初回の攻防、勢いづいた春日部東がその後も得点して越谷東を圧倒
<埼玉県秋季高校野球大会地区予選:春日部東11-0越谷東(6回コールド)>◇14日◇東部地区代表決定戦◇越谷市民
高校野球では、ある程度、力が接近しているかなと思われる同士でも、何らかの拍子に一気にスコアが広がっていくということがある。ことに6対4くらいの力差だと、1つのプレーが大きくその後を左右していく。この試合は、まさにそんな展開となった。
越谷東は初戦を完封で勝ち上がってきた。ところがその実情は、7月23日に投手未経験だった生沼投手が初めて打者を相手に対外試合で投げたということだった。そして、埼玉県ではブロック予選の前にシード決め大会というのがあるのだが、そこで春日部共栄相手に好投したという生沼投手。新チームで投手がいなかったということもあって、何人かを投げさせて試していたという齋藤 繁監督は、「とにかく、ストライクが入る者を優先的に投手にしたかった」というところで、投手を作っていこうということだったという。そんな中で、「3球投げたら、ほとんど間違いなく1ボール2ストライクと整えられる」ということで、生沼投手がこの大会はエースナンバーということになった。
ところが、その生沼投手がこの試合では、1死から安打と珍しい四球で一、二塁としてしまう。ここで、小嶋の打球は三直となるのだが飛び出した二塁走者を刺すべく送球が悪送球となってしまう。こうした、些細なミスが、その後の墓穴となっていった。さらに、柏崎に対してはフルカウントから微妙なところがボールの判定で満塁。その直後、6番・戸村が初球をたたいて中前打。2者がかえって、春日部東が先制した。
その裏の越谷東は、2死一、二塁としたものの、攻めきれなかった。
2回にも、春日部東は1死から連打で一、三塁として2番・山本の右犠飛で3点目。さらに3回にも4番・小嶋の安打と柏崎の左中間二塁打で4点目。これで、越谷東の齋藤監督は細かい継投で凌いでいくしかないという判断となり、部員15人という限られた陣容の中で、野手がいろいろポジションを移りながら何とか凌いでいこうとするが、それ以上に春日部東は力強かった。
5回には2番・山本と曽利の連続三塁打などもあって、まさに上位下位ソツなく打っていく形で6イニングで14安打、長打3本の11得点。各打者がしっかりと、自分のポイントで捉えて鋭い打球を放っていた。
投手も先発左腕の福田投手が5イニングを3安打散発で0に抑え、その後は右サイドの折尾投手が2人、最後は杉田投手がしっかりと投げて3人の完封リレーだった。
この秋の新チームから就任したというOBでもある春日部東の日下部 直哉監督は、「結果的には、快勝という形かもしれませんが、相手はシード校でもありますから、有利に試合を運んでいくためには、まずは先取点だぞということは言っていました。それが、いい形で入りましたから、試合展開としては初回が大きかったですね。4対0となってから、さらに、追加点が取れるところでもたつきましたが、5回に一気に行けたのは大きかった」と、振り返っていた。
そして、6回の継投に関しては、「二番手、三番手の投手も成長させておきたかった」ということで、タイプの異なる投手をつぎ込んでしっかり抑えこんでいって、まずは危なげない戦いという形になった。
越谷東としては、初回に生沼かつかまってしまっては、なすすべがなかった。「生沼に関しては、初めての中1日というのが、ちょっと不安だったんですけれども、それが当たてしまいました。相手が格上の場合に、こういう展開になってしまったら、どうしようもないです。これから、春へ向けての一番のテーマとしては、心の持ち方でしょうね。そこを鍛えていきます」と、齋藤監督は完敗から、次へ向けて切り替えていた。