【静岡】2回戦 加藤学園 vs 城南静岡

今春王者の加藤学園が、内容は不本意ながらも城南静岡にコールド勝ち
<第76回秋季東海地区高校野球静岡県大会:加藤学園8-1城南静岡(8回コールド)>◇10日◇2回戦◇愛鷹広域運動公園
今春の県大会優勝校で、その後の東海地区大会も制した加藤学園。夏の大会も本命視されていたが、準々決勝で藤枝明誠に敗れた。そこから新チームはスタートしたが、この秋も地区予選は危なげなく2試合コールド勝ち。ただ、上位校決定戦では富士市立と接戦になって、3対2で何とか勝利した。前チームに比べると、必ずしも、絶対的な力があるということではないようだ。
城南静岡は新チームのスタートは、2年生9人、1年生14人、マネージャーが7人という陣容である。1次予選は勝ち上がったが、地区上位決定戦では藤枝明誠に大敗するなど、チームとしてはまだまだムラがあるということのようだ。それでも、1回戦では浜松日体に逆転勝ちしての2回戦進出となった。
結果的には、力ではやや上回るかなと思われた加藤学園が、8回コールドゲームという形で勝利ということにはなったものの、米山学監督は不満だった。「もっと、ガッと行くというか、誰かが引っ張っていく試合をしていきたかった。試合の勝ち負けということよりも、自分たちがこうしようと思っていることをいかにやって行くのか、そんな姿勢がなかった」と、新チームのリーダー不在を嘆いていた。
試合としては、加藤学園は初回、安打と四球、バントで1死二、三塁として、ここから内野ゴロ野選、さらには内野ゴロで2点を奪った。このあたりは、近年の加藤学園らしい得点パターンだったかなとも思わせるものだった。特に誰が打ったということではなく、好機に巧みに攻め入っていくというスタイルである。
3回にも2番・坂本 大河の二塁打から、四球と失策にスクイズでさらに2点を追加した。
こうした、野球のスタイルそのものは、旧来のチームとあまり変わらないようにも見えるのだが、攻守にチームリーダーが不在だというところが、米山監督の不満となっているようだ。確かに、ここぞと畳みかけられるところでも、もう1つ迫力がない。そのあたりについては、「このところ、チームがある程度、勝てているので、選手たちが結果ばかりを気にしているところがあるのではないか」と見ている。
最大のポイントは5回だった。3点リードしていた加藤学園だったが、先発の山田投手が先頭打者に四球を与えて、バント後も連続四球。1死満塁としてしまった。ここでも思い切って、山田投手を下げて、2人目として森投手を投入。森投手がスリーバント失敗を含めて連続三振で切り抜ける。「打たれたのだったらまだしも、3四球だった」ということが交代の決断になったということだが、森投手はしっかりと起用に応えた。
その後は、試合がやや膠着しかかったところで8回、加藤学園は1死から途中出場していた遠藤がソフトボール戦術のような、左打者の走りながらの遊撃内野安打で出塁する。そして、すかさず二塁に盗塁。さらには、捕逸が出ると、バッテリーがやや戸惑っているうちに一気に本塁へ駆け込んだ。長打ではないのに、1人で1点をもぎ取っていった。これで、加藤学園はようやく勢いづいたというか、流れを引っ張り込む形となって、その後に3点を加えてコールドゲームとした。
結果としては、そんな展開だったということもあって、コールドゲームという形にはなったものの、米山監督は、内容には満足していなかった。
城南静岡としては、2安打で、加藤学園の投手陣を攻略しきれなかった。流れとしては、5回に3四球で得た1死満塁でのスクイズ失敗が痛かった。中込投手が、粘ってよく投げていただけに、あそこで1点でも返していれば、また違った展開になったのではないかという気もする展開だった。
取材=手束 仁