試合レポート

【愛知】準決勝 愛工大名電 vs 中部大春日丘

2023.07.27

結果

チーム123456789R勝敗
愛工大名電30201011X8Win
中部大春日丘1001011105Loss

<第105回全国高校野球選手権愛知大会:愛工大名電8-5中部大春日丘>◇27日◇準決勝◇岡崎レッドダイヤモンドスタジアム

全国最多の173チームが参加した愛知大会も、いよいよ準決勝で4強の激突となった。2年連続優勝を果たしており、今春もベスト4の愛工大名電は、大一番と言われた享栄との準々決勝を7回コールドゲームで快勝しての進出である。

対する中部大春日丘も、近年は安定してベスト8からベスト4に残る常連校となっている。ラグビー部は花園の常連となっているが、近いグラウンドで日々練習をしている野球部としても、全国の舞台の甲子園出場を果たして肩を並べたいところである。また、今春の愛知大学リーグでは系列の中部大学がリーグ優勝を果たしている。そうした、いい流れにもあやかりたいところであろう。

準々決勝では中部大学系列校対決となったが、中部大一を下しての進出である。

中部大春日丘の先頭打者・比嘉門 大翔捕手(3年)が2球目をたたいた左翼への先頭打者本塁打で幕を開けた試合。中部大春日丘の先発は1年生の水野 拓海投手だったが、比嘉門捕手の一発は、少しは楽にさせたかなと思わせた。実際、立ち上がり2人はしっかりと抑えた。しかし、愛工大名電は2死走者なしから失策、四球、打撃妨害と相手から貰った満塁の好機に6番・中村 咲斗内野手(3年)が右越え三塁打を放って走者一掃。たちまち逆転した。さらに3回にも加藤 蒼惟内野手(3年)の右翼線二塁打と4番・寺田 純平外野手(3年)の三遊間を破る一打で追加点。ここで中部大春日丘の齊藤真監督は、水野を諦めて、エースナンバーの塩崎 陽基投手(3年)を投入。その代り端を石見 颯真外野手(2年)が左前安打して一、三塁。スクイズは失敗したものの、暴投で進んで内野ゴロでもう1点追加した。

何とか反撃したい中部大春日丘は4回、2死から佐々木 空人内野手(3年)、椙山 泰輔外野手(2年)の連続左中間を破る二塁打で1点を返す。愛工大名電も5回、先頭の5番・石見が左越え二塁打すると、バントと犠飛で追加点。それでも、中部大春日丘も6回、2死一塁から、6番・佐々木のこの日2本目の二塁打で1点を返した。ただ、打者走者は三塁を狙って刺された。7回にも愛工大名電の3人目の左腕・大泉 塁翔投手(2年)に対して、四球と犬飼 歩夢外野手(3年)の安打などで2死一、二塁として、2番・堀 央征内野手(2年)はややボール気味の高めの球をたたいて右前安打として二塁走者をかえした。中部大春日丘としては、なんとか反撃はするものの1点ずつで、少しもどかしさも感じられた。

2点差となって、中部大春日丘も食い下がっていたが、愛工大名電も逃げる。その裏、寺田の内野安打などで2死三塁とすると、7番・宍戸 琥一外野手(2年)の右中間への二塁打で再び3点差とする。

それでも食い下がる中部大春日丘は、8回にも阪野 湧吾内野手(3年)と高橋 啓太内野手(3年)の連打で無死一、二塁として、愛工大名電のエース笹尾 日々喜投手(3年)を引っ張り出す。そして、バントで送ると、椙山の中犠飛で1点を返すが、この回も1点止まり。しかも、その裏に、愛工大名電河田 凌太郎内野手(3年)の左中間三塁打と金森 洸喜内野手(3年)の右前打で突き放す。

結局、愛工大名電が初回に逆転して、その後は、終始リードをキープし続けて、追いすがる中部大春日丘の反撃を1点ずつに食い止めたのも大きかった。

決勝戦を前に、ベスト4の壁にはね返された形になってしまった中部大春日丘の齊藤真監督は、「初回、比嘉門の先頭打者ホームランは、チームにも勇気を与えてくれたし、彼もトレーニングや素振りも含めて、『そこまでやるのか』というくらい、本当に努力するヤツなので、野球の神様がくれたご褒美でしょう。本来は、本塁打を打つというよりは、野手の間を抜いていく強い打球を打っていく選手なんですけれどもね」と、まずは比嘉門の一打を称えた。そして、この日の試合に関しては、「終盤に2点差までなら何とかなるということは、ずっと言い続けていて、その通りに食い下がっていっていたんですけれども、及びませんでした。だけど、新チームがスタートした時に、どうなっていくのかなあと思っていたのですが、いいチームになってくれたと思います」と、3年生たちが一丸となって、チームを作り上げていったことに関しては、敗れたとはいえ今年のチームに納得はしていた様子だった。

3連覇を目指す愛工大名電の倉野光生監督は、「全国でも一番参加校も多い愛知県で3連覇を目指すということは、とても大変なことだと思います。それでも、登山で例えれば、8合目を過ぎて頂上が見えてきたところです。確実に頂上が見えてきたので、目標は定まりました。だけど、登山でも絶壁があったり、崖崩れもあります。だから、気持ちを緩めることなくいかなくてはいけません。それでも、頂上は見えているので、そこへ向かってしっかりと進んでいくことです」次へ向けての思いを語っていた。

貴重な8点目の適時打をたたき出して、守備でも好プレーを示していた金森は、「自分たちは粘っていく守りのチームだと思っていますから、今日はそれができたのでよかったと思います」と、8点は奪ったものの、あくまで守りで崩れず好プレーで投手陣を支えていったということに、矜持を示していた。

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