試合レポート

準決勝 中京大中京 vs 愛知啓成

2023.07.27

<第105回全国高校野球選手権愛知大会:中京大中京12-2愛知啓成(5回コールド)>◇27日◇準決勝◇岡崎レッドダイヤモンドスタジアム

今春の県大会、初戦で中部大春日丘にコールド負けの大敗を喫した中京大中京。周囲からも厳しい声もあったようだが、それから3カ月の間に、招待試合などの遠征をこなしながら、「県外の強豪と試合をすることで、少しずつチーム力を上げていかれた」と、高橋源一郎監督は語っていた。大会に入って、その成果が出て、ノーシードで戦うことになった今大会だが、一つひとつ試合をこなしていくうちに、さらに力をつけてきたという印象を与えるようになってきた。「何かが起きている感じもある」と、高橋監督もいいワクワク感を感じられるようになっている。

昨夏もベスト4で、今春の県大会でもベスト4まで残ってシード校となっている愛知啓成。今大会を最後に中村好治監は勇退することも公表されている。それだけに、有終の美を飾りたいという思いは強いだろうし、選手たちも最後に監督を甲子園に連れていきたいという気持ちは増してきているであろう。

力のある直球を武器としている清水 凰史投手(3年)を擁する愛知啓成だが、この日の先発は2年生の山田 広也投手。しかし、中京大中京としては、「想定外だったということをないようにしよう」ということで、相手のあらゆるケースを分析して、山田が来た場合はこうしていこう、ということも書き出して、ベンチに貼っていたという。それが功を奏したところもあって、初回、先頭の西谷 光世外野手(3年)が右前打で出る。1死後盗塁してさらに四死球で満塁となり、死球押し出しで先制。さらに、江崎 直人捕手(3年)の三遊間を破る安打でこの回2点を先制した。

そして、圧巻だったのが2回。先頭の加藤 凛大内野手(1年)が死球で出ると、そこで代わった宮原 大斗投手(3年)に対して、バント安打と神谷 駿太外野手(3年)の右前打で満塁として、3番・山田 頼旺外野手(2年)が右中間三塁打して走者をすべてかえした。さらに、犠飛で自身もかえる。なおも2死となってから3連打などでなおも2点が追加されて、この回大量6点のビッグイニングとした。

これで試合の流れは、中京大中京となっていった。

3回にも1死からの4連打、しかもそのうち3本が長打という勢いで、愛知啓成の3人目、1番を背負う清水にも襲い掛かった。結局、3回までで、13安打12点。大会に入って、打線を含めてチーム全体の調子が向上してきていることを示していた。

高橋源一郎監督も、「大会に入って一戦一戦、チームの調子が上がってきているのは実感している。春の負け以降、練習試合や招待試合で力のあるところとやらせていただいて、勝ったり負けたりしながら、チームが成長してきたのが大きい。そして、大会に入っても、試合をしながら選手たちが成長しているのがわります」と、いい感触を得ている。その要素の一つとしては、強くて低い打球が野手の間を抜いていき、それが結果として長打になっているということもあるようだ。

そして、高橋監督自身も、「ここまで来たら、余分なことは言わないように心がけている。選手たちが、それぞれの自分たちのチームの中での立ち位置がわかってきているので、その中でどうしていくかと言いうことを考えている。春の大敗から吹っ切れていかれたことも大きい」と、ここまでの躍進を分析していた。

思わぬ大敗になってしまった愛知啓成の中村好治監督は、「選手たちの力を出させてあげられなかったのは、監督の責任です」としながら、「2年生バッテリーを先発させたのだけれども、やはり夏の大会は特別なのでしょうか、力が入りすぎて、いつもの状態ではありませんでした」と、残念がった。それでも、結果的にはコールドゲームとなってしまったが、5回に2点を返したことについては、「どれだけリードされていても諦めずにやるというのは、高校野球の良さ。こうして最後まで戦ったことは、今後のかれらの人生に繋がっていくと思う」と、今大会をもって愛知啓成を勇退するベテラン監督らしいコメントを残してくれた。

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