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帝京大が創部46年目で関東の頂点へ 7季連続Vの中央大、149キロ右腕擁する慶應義塾大など23年の大学準硬式は春から大白熱!

2023.06.09

 史上初となる甲子園での大会開催に踏み出すなど、2022年は変革の1年となった大学準硬式。結果は残念ながら天候不良で大会中止という結末だったが、大学準硬式の注目は年々確実に高まっており、2023年も見逃せない。

帝京大の優勝は新時代の到来となるか

帝京大が創部46年目で関東の頂点へ 7季連続Vの中央大、149キロ右腕擁する慶應義塾大など23年の大学準硬式は春から大白熱! | 高校野球ドットコム
優勝した帝京大 ※提供=帝京大学準硬式野球部

 猛者が集う関東地区は、毎年3月に関東選手権を開催している。優勝校には、夏に開催される全日本大学準硬式野球大会(以下、全日本大会)の出場権が与えられることもあり、毎年熱戦が繰り広げられる。

 全国区の名門・中央大や日本大などがいる東都リーグの加盟校が、大会の中心となって盛り上げることが多いが、2023年の主役となったのは帝京大だった。
 帝京大は2022年に全日本大会に初出場を果たし、ベスト4と躍進を見せた。この時の経験者で、現在はエースで主将の山崎陽平投手(4年=横浜隼人)が中心となって「失敗を恐れずチャレンジしていく」姿勢を貫いて、創部46年目で初めて関東の頂点も掴んだ。

 22年の全日本大会の王者となった日本大は惜しくも準優勝に終わった。大会前の練習試合では「勝ちにこだわったことで、一人一人が役割を自覚できた」と主将・中島健輔外野手(4年=日大鶴ケ丘)を中心に勝利への執念を磨いた。結果、1回戦からの登場だったが、強敵たちを圧倒。帝京大との決勝戦では敗れたものの、2023年も強さは健在であることを示した。

 準決勝で帝京大、日本大の東都勢に敗れて3位・早稲田大と、4位の法政大はチームカラーを発揮する大会となった。
 早稲田大は22年からアナライザーを採用したことで、今大会は「初見で対戦しなくてはいけない選手がほとんどいなかった」と事前の対策が功を奏した。

 4位の法政大は、右の藤中壮太投手(3年=鳴門)、左の古川端晴輝投手(3年=花巻東)のWエースを軸とした守りの野球が光った。両チームとも持ち味を存分に発揮したことが、大会での好成績に繋がった。

 ただ、大会を総じて目立ったのは東都勢の躍進。5部に所属する東京薬科大が2部の青山学院大に勝利するなど、下部リーグの加盟校が勝ち星を奪う試合が見られた。なかでも東都2部の東洋大は、大会ベスト8進出を果たし、象徴的存在となった。

 「1部リーグや六大学野球のチームと試合ができることに緊張と楽しみがある」と今大会ならではともいえる強豪校との公式戦が、チームの士気を高め、好成績に結び付けた。そうした観点から見ても、関東大会は、関東NO.1の称号や全日本大会の出場権争い以外のところにも大きな意味がある。

[page_break:7季連続Vの中央大、149キロ右腕擁する慶應義塾大などがリーグ戦を制す]

7季連続Vの中央大、149キロ右腕擁する慶應義塾大などがリーグ戦を制す

帝京大が創部46年目で関東の頂点へ 7季連続Vの中央大、149キロ右腕擁する慶應義塾大など23年の大学準硬式は春から大白熱! | 高校野球ドットコム

中央大・石井竜弥投手

 各校が収穫と課題を見つけて関東大会を終えると、今度は各連盟でリーグ戦が開幕する。特にリーグ戦で2位以上(東都と新関東は1部リーグのみが対象)に入ると、夏の全日本大会への出場をかけた予選会に出場できる。全国大会出場を目標にするチームにとっては、大事なシーズンになる。

 関東大会の優勝校・帝京大、22年の全日本大会優勝校・日本大と強豪ぞろいの東都1部は中央大が完全優勝を達成した。

 3月の関東大会では4回戦で早稲田大の前に敗戦。大会3連覇を逃した悔しさを糧に、リーグ戦は全勝で7季連続69回目の頂点に立った。次は全日本大会の予選会に挑む。世代屈指の剛腕・石井竜弥投手(4年=浦和学院)など超強力投手陣で予選突破、その先にある6年ぶりの全国制覇を目指す。

 東京六大学リーグは、関東大会で結果を残した早稲田大、法政大がいるなか、慶應義塾大が頂点に立った。最速149キロの剛腕・日比谷元樹投手(4年=慶應義塾)らが中心となって2季連続13度目の優勝に輝き、全国制覇に向けて弾みを付けた。2位に入った早稲田大とともに、全日本大会出場を目指す。

 そのほか、新関東リーグでは9勝1敗の強さを見せて頂点に立った日本大学三崎町。関東大会はベスト16で終わった国士舘大学世田谷がリーグ戦で結果を残し、全日本大会の予選会に出場する。

 関東連盟に所属するリーグの中で唯一、東西の2地区に分かれている北関東リーグは、西地区の群馬大、高崎健康福祉大の2校が結果を残して全日本大会の予選会に出場する。群馬大は関東大会でシード校ながら初戦敗退。創部6年目の新鋭・高崎健康福祉大は、22年も全日本大会の予選に出場したものの、全国大会出場は叶わなかった。悔しさを味わった両校が、予選会でどんな戦いを見せるのか。

 神奈川リーグは、関東大会8強の神奈川大、そして関東学院大の2校が結果を残し、全日本大会の予選に挑む。

 各リーグの精鋭ばかりが揃う全日本大会の予選会。4日から始まり、中央大と日本大、さらに慶應義塾大の3校がいち早く全日本大会への出場が決まった。翌週からも引き続き予選会が続くが、これが終わると、関東の全チームが一度春を終え、次の公式戦に向けての準備に入る。23年の春も大学準硬式野球は大いに盛り上がった。この熱を秋以降も見られることを楽しみにしたい。

(記事=田中 裕毅

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