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打てる捕手は正義?打撃がよかった捕手を分析

2023.05.29

打撃がいい捕手は大きなアドバンテージ

 かつては古田敦也や城島健司、阿部慎之助といった打撃もいい捕手がプロ野球を牽引していた。

 それらの捕手がいたことから、他球団よりもアドバンテージがあり、シーズンで複数回の優勝を成し遂げた。

 また、現在ならオリックスの森 友哉捕手(大阪桐蔭出身)や巨人の大城 卓三捕手(東海大相模出身)も打撃がいい捕手としてリーグ優勝に導いている。かつての広島の會澤 翼捕手(水戸短大付出身)も同様だ。

 このことを踏まえると、分業制が進んだ現在のプロ野球においても、捕手の打撃力はひとつのポイントになっていく。

2020年に優勝に導いた巨人軍の正捕手大城卓三

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東海大相模時代の大城卓三

 打力のある大城に期待している原辰徳監督は、阿部慎之助のような打力がある捕手を軸に回していきたい意図はあるだろう。

 また、他球団を見ても、リーグ優勝や日本一になった球団の正捕手は打力のある選手だった場合が多い。近年なら、2018〜2019年にパ・リーグ2連覇した西武に在籍していた森は打撃がいい。さらに、セ・リーグ3連覇を成し遂げた広島の會澤も3年連続ベストナインを獲得するぐらいの打力がある。

 前任の正捕手だった阿部や他球団の正捕手を見ても、打力でアドバンテージを持つことも重要であることから、大城への期待が大きいことは確かだ。

 現状は、一番スタメンマスクを被る機会が多くなると思うが、休ませながら徐々にリードの面でも経験値を積みたいところだ。

 その際に、対抗馬の小林 誠司捕手(広島広陵出身)のようにプレッシャーのかかる場面に対する間の取り方やリカバリー力を向上させられるかどうかが、大城が今後、正捕手になれるかの鍵である。

 打撃面では、ポテンシャルを見てもシーズンを通して、打率.275〜.280、20本塁打以上、55〜70打点、OPS.780〜.800ぐらいはやってほしい選手である。

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西武2連覇の立役者・森友哉

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西武時代の森友哉

 森は、2019年シーズンに捕手という負担のかかるポジションながらMVPと首位打者を獲得。高校時代から注目されていた打撃センスを生かして、球界屈指の打撃型捕手として西武のリーグ2連覇に大きく貢献した。

 大阪桐蔭時代から類稀なるミートセンスを誇る森は、ルーキーイヤーから2軍戦で打率.341、5本塁打を記録し、1軍でも打率.275、6本塁打、15打点、OPS.945と、高卒1年目にすればハイレベルな成績を残した。

 2年目は主に指名打者で出場し、初の規定打席到達。5年目のシーズンは捕手としてベストナインを獲得し初のリーグ優勝に導き、日米野球に選出され、打率.385を記録。

 そして2019年シーズン(6年目)は捕手として史上最年少でシーズン100打点やOPSリーグ1位、首位打者、MVPを獲得してリーグ優勝に大きく貢献した。

 森はまだ若い年齢にもかかわらず、足の上げ方を、従来のように大きく上げたり、すり足にしたり、二段階にしたりと、その打席の対戦投手やタイミングによって変えている場面がしばしば見られる。フォームを崩されてもヒットゾーンに落とせたり、長打にもできる打撃技術やミートポイントのバリエーションの多彩さは、現段階でも球界トップクラスだ。

 現在2連覇をしているオリックスに移籍したが、中嶋聡監督は休み休みで起用していくうまさがある。その状況も上手く生かしながら、シーズンを通したコンディションの調整力やケガなく戦い抜くための耐久性を向上させていくことが、レベルアップへのポイントとなっていくだろう。

(記事=ゴジキ

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