京都国際のプロ注目左腕が176球完封勝利!近大附の2枚看板も力投
ハイタッチをする京都国際・杉原 望来
<春季高校野球近畿大会:京都国際2-0近大附>◇28日◇1回戦◇大阪シティ信用金庫スタジアム
京都国際(京都)vs近大附(大阪)の一戦は両エースの投げ合いとなった。
京都国際のエース左腕・杉原 望来投手(3年)は、この春から急浮上した左腕。最速は143キロを誇るが、数字以上に見栄えがする。
フォームの良さが目につく。肘の柔らかさを生かしたフォームで、直球、カーブ、チェンジアップ、スライダーをテンポよく投げ分けることができる。打者からすれば絞りにくい投手だろう。
この日は常時128キロ〜135キロ(最速137キロ)の速球と、120キロ近いスライダー、110キロ前後のスクリューに近い軌道のチェンジアップ、90キロ台のカーブを投げ分け、勝負していた。何度かピンチを招くが、このピンチでも投球のクオリティーを落とすことなく、しっかりと無失点に抑えた。直球は見た目以上に強さがあり、「それほど球速が出ていなくても打者を差し込むストレートを意識しています」と胸を張る。
投手としてのセンスは申し分ない杉原が行ってきたのが、スタミナ強化だ。
「秋は球数を投げて球速が落ちていると指摘を受けたので、完投しても球速が落ちないスタミナを追求してきました」。ウエートトレーニングや、食事を多めに摂るなど、体重を増やし、この冬で5キロ増量に成功し、65キロから70キロとなった。
この試合では、ボール先行になることも多く176球を投じたが、完封勝利を挙げた。スタミナ強化の取り組みが成果となって表れた。プロ野球選手を目標に掲げ、1学年上の森下 瑠大投手(DeNA)をリスペクトしている。この大先輩の存在により、トレーニングの取り組みをより進化させた。今回の近畿大会での投球は大きなアピールになった。
惜しくも敗れてしまったが、近大附の先発・市村 篤史投手(3年)も総合力が高かった。178センチ、80キロとがっしり体型。しっかりと左足を上げて、右足の膝を適度に伸ばしてバランス良く立つことができる。コンパクトなテークバックから振り下ろす直球は常時130キロ〜135キロ(最速138キロ)を計測。指先にしっかりと力が伝わったリリースができており、「直球のコントロールには自信がある」と語るように、両サイドへしっかりと投げ分けができていた。
高めに強い直球も投げ込むなど、しっかりとゲームメークできていた。ただ、6回に2失点を喫し、負け投手に。市村は「変化球のコントロールを鍛えたいです。コーナーへの投げ分けができるようになりましたので、低めにしっかりと落とせるようにしたいです」と課題を語った。
2番手で登板した有方 祥互投手(3年)は将来性を感じさせた。しなやかで鋭く腕が振れる投球フォームから繰り出す直球は常時130キロ〜137キロで、高めに伸びる直球が光る。市村も、有方も、好調時では140キロを超える速球投手だが、市村は総合力型で、有方は素材型。いずれも将来性は高い。
完封負けは喫したが、この2枚看板は強力で、打線にも素材が光る打者もいた。夏に向けて、どう実戦で力を発揮できるかにかかっている。
(取材=河嶋 宗一)