終盤に誠信が再々逆転で、大府にサヨナラ勝ち
サヨナラ勝ちを喜ぶ誠信の選手たち
<第135回全尾張高校野球大会:誠信6-5大府>◇27日◇1回戦◇阿久比スポーツ村
毎年、県大会後に春と秋に開催される全尾張選手権大会。県大会予選とは別に予選を勝ち上がった知多地区3校、尾張地区5校で争われる大会である。出場各校にとっては、夏の選手権を見据えるという意味からも、どういう戦いができるのかということは、大事なシミュレーションとも言えよう。夏の選手権を意識するとしたら、組み合わせ前だけれども、3~4回戦レベルの戦いといっていいであろうか。
今春の知多地区予選でも1位校として予選を通過している大府。昨秋から引き続いて、今季のチームは同地区内では安定した力を示している。これに対して誠信も、尾張地区では誉や愛知啓成、愛知黎明を追う位置にある私学校として負けていられない。
7回までの試合展開と、終盤の8回、9回の2イニングがまったく異なる展開になっていき、最後は、二転三転、逆転再逆転、もう1度逆転という形となって、誠信がサヨナラ勝ちを果たした。
初回、大府は1死一塁に四球の走者を置いて、3番田村が左翼芝生席へライナーで飛び込む2ランを放って先制。そして、大府の先発左腕・長竹投手は4回までは3人ずつで抑えるパーフェクトな内容。5回に振り逃げで初走者を許すが、6回1死まで無安打に抑える。
そして、7回にも大府は失策の走者を盗塁で進め、代打・道家が右前安打でかえして3点目。誠信も、ここで吉浦投手から、左腕の奥田投手にスイッチした。ただ、試合の流れからすれば、これで大府が逃げ切りそうな気配が濃厚となっていた。
ところが、そこから試合は大いにもつれた。
大府は、先発長竹投手が6回無失点のまま降板。7回から沢田投手が登板して、7回は抑えたものの、8回は四死球とポテン安打に暴投で無死満塁となり、2番鈴木 陸臣の適時打で1点を返す。ここから、誠信の反撃は勢いづいていき、続く橋本も右前打を放って2点目。さすがに、ここで大府の中嶋勇喜監督も、沢田投手を諦めて、長野投手を投入。しかし、その代わり端に死球で同点。そして、併殺崩れの間にもう1点入り、誠信が逆転した。誠信としては、まさにワンチャンスをものにしたという感じだった。
しかし、大府もしぶとく食い下がり、9回に先頭の7番・石田が中前打で出ると、バントで進み、2死から1番椙村が繋いで一、三塁。すかさず盗塁して二、三塁としたところで2番・神谷が三塁強襲の安打で2者がかえって、大府が再逆転。大府の勝負強さも光った。
大府は9回のマウンドには4人目の加藤投手を投入。中嶋監督としては、故障上がりの長野投手には、まだ、あまり長いイニングを投げさせたくはないという思いもあったようだ。
加藤投手は先頭の奥田に四球。バントで進むと、1番に入っていた井元も四球で一、二塁。ここから誠信は、鈴木陸臣の左前打で同点とし、3番・橋本が中前へはじき返してサヨナラ勝ちとした。
誠信の澤田英二監督は、「ちょっと、予想していなかった展開の試合になってしまいましたが、夏へ向けての前哨戦ということでいえば、こういう勝ち方はよかったかなと思います。チームとしては、今年は2年生が多いので、こうして公式戦の形で実績を上げていくことはいい経験になります。長打力があるわけではないので繋いで、繋いでということになっていくのですけれども8回、9回は、それがいい形で出ました」と、終盤の点の取り方に関しては納得していた。
大府の中嶋監督は、「エースの林と4番で主将の竹内の状態が万全ではないという中で、この二人を使わないでどこまで戦えるのかというところもありましたが、最後に甘さが出てしまいました」と残念がった。そして、「今年の夏は、シードが取れていませんから、試合数も多くなるでしょうし、どういう組み合わせになるのかわかりませんので、夏へ向けては底上げをしていかないといけないという思いはありました。そうした中で、よかったことと反省すべきところがあった試合になりました」と振り返っていた。それでも、「9回は、よくひっくり返せたなと思ったんですけれども…、その後を抑えきれませんでした。そこで、ピシャリと抑えられるようにしていかないといけません」と、悔やんでいた。
(取材=手束 仁)