延長11回タイブレークで、愛知啓成が中部大春日丘にサヨナラ勝ち
タイブレークの勝利を喜ぶ愛知啓成
<春季高校野球愛知県大会:愛知啓成2-1中部大春日丘(延長11回タイブレーク)>◇3日◇準々決勝◇岡崎レッドダイヤモンドスタジアム
今大会1回戦で中京大中京に大勝して勢いづいて、2回戦でも愛知愛知を下し、3回戦では西三河地区1位の安城を下して勝ち上がってきている中部大春日丘。愛知啓成は、尾張地区予選では1位校となり、シード校としての登場で初戦では滝、3回戦では安城南を下してのベスト8だ。
この試合、先制したのは愛知啓成で3回、四球と盗塁、武田 響空外野手(3年)の安打で一、三塁とする。ここで、中部大春日丘は早くも先発左腕の飯田 亮介投手(3年)が下がって右スリークォーターの吉本 蒼一朗投手(3年)に代わる。その直後、代打・竹内 飛翔(3年)が中犠飛で三塁走者をかえした。さらに愛知啓成は安打と四球で満塁としたが、ここは吉本が堪えた。
こうして、1対0のまま投手戦の様相で、試合は後半に入っていくことになる。
何とか1点を追いつきたい中部大春日丘だが、6回までは愛知啓成の清水 凰史投手(3年)に対して初回に先頭の比嘉門 大翔捕手(3年)が放った安打と、9番・犬飼 歩夢外野手(3年)の2本のみだった。それでも、7回に先頭の高橋 啓太内野手(3年)が右翼手の横を破る三塁打で出ると、続く小松 拓真内野手(3年)が三遊間をしぶとく破って三塁走者をかえして、ついに同点に追いついた。
しかし、その後は清水が、3人ずつでピシャリと抑えていく。清水の直球は常時140キロ前後を表示するスピードを維持していて、スタミナも十分にあるという感じだった。
中部大春日丘の吉本も7回、8回と3人ずつで抑えていく。そして、9回からはエースナンバーをつけた塩﨑 陽基投手(3年)が登板して、無難に3人で抑えて、試合は延長10回タイブレークへ突入した。
10回の中部大春日丘は、代打・大満 智哉(3年)がしっかりとバントを決めたが、後続が清水を攻略しきれなかった。その裏、愛知啓成は四球で満塁としたが、本塁封殺。さらに三振と内野ゴロで延長はさらに続いていくこととなった。代走を起用したことで、愛知啓成は11回から左の鈴木 章一郎投手(3年)がリリーフとなった。
1番からの好打順の中部大春日丘は最も頼れる打者の比嘉門だったが、大きな中飛で、三塁を狙った二塁走者も刺されて2死となる。結局、中部大春日丘は無得点。
そしてその裏、愛知啓成は3番・山本 煌大内野手(3年)からだったが、初球をたたいて右前打となる。さらに、球がこぼれる間に、二塁走者がホームインして、この回は1球で愛知啓成のサヨナラ勝ちとなった。
愛知啓成の中村好治監督は、「こういう試合を勝ち切ったことは夏へ向けては大きな収穫です。特に、タイブレークの10回、11回という厳しい場面での守りが落ち着いてしっかりとできていた。やはり、投手がしっかりしてくると守りもできてきます。そういう意味では今年のチームは(昨夏にベスト4に残ったチームよりも)手ごたえは感じています」と、このチームに対しての期待は大きい。その最大の要素が、清水投手の成長だったということだ。さらには、11回にリリーフしてしっかりと投げた鈴木に対しても、「冷静に投げていた。抑えられる力はあると思った」と信頼を表していた。
一方、中部大春日丘の齊藤真監督は、「今大会の1つの目標だったベスト8で夏のシード権獲得はできましたが、課題としては、打者への攻め方など、まだまだバッテリーの精度を上げていかないといけないと思います。打線も、打てなくても点を取る術(すべ)を見つけていかないといけない」と、より高いチームへ向けて夏までに、さらに磨いていくべき点を挙げていた。そして、創部以来の悲願でもある初の甲子園出場へ向けて、もうワンランクレベルを上げていかなくてはいけないという思いでもある。
(取材=手束 仁)