中学軟式の強豪・上一色中(東京・江戸川区)は全国の舞台でも結果を残し、2023年も主将・瀬谷 鷹我投手(3年)を中心に、夏の大会での躍進に期待がかかる。
練習時間はわずか2時間ということでも知られている。公立でも強豪校であれば長時間練習を実施してレベルアップを図ることが多い。上一色中も「中学野球がゴールではない」ことを念頭に置きつつ、長時間の練習を通じて鍛錬を積み重ねてきたが、2020年の新型コロナウイルスによる活動制限などをきっかけに、現在の短時間練習に方針転換した。
練習を自粛していたときに、選手たちの方からアドバイスを求めてくるなど「上手くなりたい」と言う思いを感じ取った西尾監督は、選手たちのやる気を尊重するようにした。
また、上一色中のOBと話をするなかで、当時は分かったふりで終わってしまっていたことにも気づかされ、教え過ぎていた指導から、やりすぎないことを意識した。選手から質問を受ければ、その場で映像撮影して、選手と一緒に振り返ることで納得させるなど、言うのではなく、映像を見せて、課題を克服させるようにしたことも大きな変化だ。
選手たちの「上手くなろう」という気持ちを第一に練習方法、指導方法を変えたことで、選手たちの野球に対するモチベーションが高まり、多くの選手が高校野球の世界でレギュラーをつかむようになったという。
上一色中に在籍時は身体が小さくて、現役時代に活躍できなかった選手が、高校で主力選手に成長していることに「非常に嬉しいです」と西尾監督も笑みをこぼす。
逸材が多く誕生することで注目が集まりがちだが、モチベーションを尊重した指導により、近年レギュラーを獲得する選手が増えるなど、勝利と育成のバランスがより整ってきた。今後、どんな選手が生まれるか楽しみだ。
その上一色中の特集は、高校野球ドットコムの公式Youtubeで配信されている。
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