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世代を代表する左腕コンビ・東松と前田の凄みは?U-18候補強化合宿・投手陣総括【後編】

2023.04.10

世代を代表する左腕コンビ・東松と前田の凄みは?U-18候補強化合宿・投手陣総括【後編】 | 高校野球ドットコム
東松快征(享栄)・前田悠伍(大阪桐蔭)

 第31回WBSC U-18ベースボールワールドカップに向けたU-18代表候補強化合宿が4日から6日まで開催された。合宿でどんなパフォーマンスを見せたのかを総括していきたい。

 紅白戦の午後の試合で投げた投手について。

東松 快征(享栄)

3回1失点 最速145キロ 平均球速139.2キロ

 152キロ左腕として注目された剛腕。体全体を使った投球フォームから投げる速球は球威がある。視察していたスカウトのガンでは、140キロ後半を計測していたが、それに相応しい威力ある直球を投げていた。特に三振を奪った時の直球には重量感があり、高校生のレベルとは思えない迫力があった。

 変化球も120キロ後半のスライダー、120キロ台のチェンジアップ、110キロ台のカーブと、いずれも打者の手元で鋭く変化し、精度も悪くなかった。

 1、2回とテンポよく抑えていたが、3回裏に甘く入ったチェンジアップを捉えられた。走者を出すと、単調になるところがあり、走者を出した時の粘りが今後の課題。ライバルである私学4強の強豪を抑える鍵にもなる。

 いずれにしても能力的には世代トップで大阪桐蔭・前田と張り合える実力を見せてくれた。

前田 悠伍(大阪桐蔭)

3回無失点 最速143キロ 平均球速138.13キロ

 さすが世代No.1左腕という投球を見せた。テンポよく追い込み、最後はチェンジアップというコンビネーションが確立していた。前田もスカウトによっては140キロ後半を計測していた。球質としては東松が球威型なら、前田はキレ型だろう。

 この日はベース際ギリギリというより、ストライクゾーンをしっかりと攻めて直球で攻めきり、落ちる変化球で勝負できていた。

 金属バットに戻っても、ギリギリで勝負せず、直球の威力や変化球の精度の高さで圧倒できるコンビネーションを確立できればもっと圧倒できる投手になれる。

升田 早人()

2回無失点 最速140キロ 平均球速136.04キロ

 甲子園が終わってからほとんど投げていなかったというが、135キロ〜140キロを連発し
ていた。球威を継続できる点は升田の強みではないか。現在は先発完投スタイルだが、常に80点以上の直球を投げることができ、精度のバラツキがほとんどない。このままパワーアップすれば、夏にはさらに凄みを見せる可能性はある。

森 煌誠(徳島商)

2回4失点 最速144キロ 平均球速138.18キロ

 四国地区ではかなり高く評価されている本格派右腕。平均球速も全投手の中でも高い順位につけているが、4失点を喫してしまったのは、良い直球とそうでもない直球の差が激しい点にある。立ち上がりは130キロ前半程度で、調子が悪いかと思ったが、いきなりエンジンがかかり、140キロ台を連発。勢いがある直球を投げたと思ったら、走者を出した途端に、135キロ前後の力のない直球を振り抜かれていた。この落差が激しかった。

 能力は高いが、この課題を乗り越えないと勝てる投手になっていけないだろう。縦割れのカーブもいいが、投球面で突き詰めるべき点はかなり多い。

直江 新(九州学院)

2回無失点 最速139キロ 平均球速134.87キロ

 しなやかなフォームから繰り出す130キロ後半の速球に、カーブ、スライダーなどの変化球を丁寧に投げ分ける。短い2イニングながら、爆発力には欠ける投球で、長いイニングで持ち味を発揮するタイプだと思う。これからは短いイニングで投げる機会はあると思うので、全開で140キロ台連発する投球もできると、より打たれにくい投手になる。

東恩納 蒼(沖縄尚学)

2回無失点 最速141キロ 平均球速137.1.キロ

 強い腕の振りから繰り出される140キロ前後の速球はスピンがあり、爽快感がある。変化球の精度も悪くないが、直球で押し切れるほどの力強さがあるのがこの投手のウリ。好調時と比べるとやや球速は出ていなかったが、夏場には140キロ中盤を連発できると、もっと打たれにくい投手になる。

 坂井 陽翔投手(滝川第二)は5日の午前中まで神戸地区予選があり、移動して、2日目の練習終わりから合流。最終日はブルペン投球を行った。直球には伸びがあり、試合形式でみたいと思わせた。チェックする球団もいて、これからの兵庫県大会でマークされるのではないか。

(記事=河嶋 宗一

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