試合レポート

早大学院vs岩倉

2023.04.09

岡村-西山の継投で早大学院が逃げ切る

早大学院vs岩倉 | 高校野球ドットコム
西山 恒斉

〈春季東京都大会:早大学院2ー1岩倉〉♢3回戦♢8日目♢江戸川区球場

 春季東京都大会3回戦、早大学院岩倉の一戦。両チーム投手戦になり最後は2-1で早大学院が勝利を収めた。早大学院は今夏のシード権を獲得した。

 早大学院の注目選手は昨年春、日大三を苦しめたエースの西山 恒斉投手(3年生)だ。181センチ84キロから繰り出されるMAX140キロを超えるストレートは威力を感じる。だが先発は西山ではなく、背番号10番・岡村 遼太郎投手(3年生)が抜擢された。

 早大学院の岡村はストレート、変化球のキレ、コントロールの良い投手。ストレート、変化球も低目に決まっていて、力を入れて投げる時は上に浮く場面も見られるが、腕を振り切って投げているため打者が差し込まれている。

 ストレート、変化球でのコンビネーションで打ち取る投球で、6回までしか投げなかったものの2回と6回以外は全て先頭打者と打ち取っていて、テンポが良い投球が光った。

 岩倉の先発はエースの大野 巧成投手(3年生)。見ていた印象では、ストレートとスライダーに絶対的自信を感じる。ストレートは速さがあり、内外にもアバウトであるが投げ分けられている。追い込んでからの右打者にはスライダー、左打者にはチェンジアップも良い。クイックからでも球速が落ちている感じがしないのはポイントを感じた。

 試合は早大学院が3回裏、二死1、3塁から注目選手の2番・西山が中前適時打で1点を先制。さらに4回裏、二死満塁から8番・山田 遥斗外野手(2年生)が死球となり押し出しで1点。岩倉の大野はピンチ時になるとギヤを上げ最少失点で切り抜ける。

 岩倉は5回表、二死から7番・治部 大斗外野手(3年生)が右中間ニ塁打でチャンスを作り、続く8番・赤星 幸弥外野手(3年生) が左前適時打で1点取って2対1となった。5回終了まで2対1と早大学院が1点リードで試合が進む。

 続く6回表に岩倉は一死3塁のチャンスが来るも3番・大野が三ゴロ、4番・堀田 秀哉内野手(3年生)が右フライとなり早大学院の岡村をなかなか攻略できない。

 7回表から早大学院注目の西山がマウンドに上がる。5番・篠原 大捕手(3年生)を死球、6番・小林 莉久外野手(2年生)は遊フライ、7番・治部は三振、8番・赤星、9番・髙橋 梁内野手(2年生)に四球で二死満塁となる。1番・島崎 裕嵩内野手(2年生)は遊フライと無失点を抑えるも立ち上がりの状態は良くなく不安を感じる。

 続く7回裏早大学院は一死1、3塁で、先ほどの回からマウンドに上がっているエースの2番・西山が打席に立つが、遊撃手へのダブルプレーで岩倉のエース大野がピンチを抑える。

 西山は8回も先頭に死球、続く打者には右安打、4番・堀田はバントで、岩倉は一死2、3塁と再びチャンス。でも、ここで西山は実力を見せる。5番・篠原、6番・小林をストレートで連続三振に取りこのピンチを切り抜けた。

 9回、早大学院・西山は7番・治部を三振、8番・赤星に右安打を打たれるも、9番・髙橋にはストレートで三振を奪う。続く1番・島崎は遊ライナーで試合終了。2対1で早大学院が勝利をおさめた。

 勝利したものの、西山の実力はまだまだこんなものでは無い。次投げる時は本来の投球ができることを期待している。

 試合後、岩倉・豊田監督は「初めて公式戦に出る選手が4人いて、公式戦は他とは違う雰囲気ですし、僅差でのゲーム展開になったのでその経験を夏の大会に生かしてほしい」と語った。

 力投した大野は「相手の打線が振れる中、特に上位打線に対して慎重になりすぎてカウントが悪くなり打たれてしまった。そこは大胆に投球するべきだった。技術面ではセット時になるとフォームが一塁側に流れてしまってシュート回転の球が多くなったり制球が思うようにいかなかった。夏までにはこの二つの課題を克服して大会に臨みたい」と振り返った。

 早大学院の木田監督は「負けそうな場面は多々ありましたけど、このような試合展開で勝ち切れたことは良かった。岩倉さんとはいつも練習試合をして毎回負けるんですけど、公式戦でリベンジができた。7回からマウンドに上がった西山は危なげない投球だったけど、結果抑えられたのであの場面でのメンタル面がどうだったのかを今後の試合でも生かして欲しい」と語った。

 早大学院・西山は「春前のオープン戦で登板しながら、この大会に臨みました。調整が上手くできていない中で、仲間に助けられながら勝利することができた」と語ると、続いてこんごの課題点を挙げた。

 「この冬に下半身のトレーニングをして出力は上がったんですけど、下半身に対して上半身が追いついてきてないです。なので、あまり急がずに夏までに下半身と上半身の連動性を完成させつつ、平均球速も上げて145キロぐらいまでにはしたいです」

 早大学院の次の相手は帝京なので、自分たちの試合をするのは難しい。今後の西山選手がどのような投球をするのか楽しみだ。

(取材=鎌田光津希)

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