ピンチをしのぎ続けた明大中野八王子、一瞬のスキを突かれ帝京に敗れる
帝京・高橋 蒼人
<春季高校野球東京都大会:帝京6-2明大中野八王子>◇8日◇3回戦◇駒沢球場
秋は、帝京は二松学舎大附に、明大中野八王子は日大三に大敗した。夏甲子園に行くには、秋のままではだめだという認識で、チーム改革をしており、その過程で迎えた春であること、公式戦で得られる経験は非常に大きいので、一試合でも多く戦いたい、という思いは、両チームの監督に共通していた。
試合の前半は、明大中野八王子の健闘が光った。2回表明大中野八王子は、一死二塁から7番・栗原 稔季内野手(2年)の中前安打で1点を先制する。
帝京は4回裏に一死二、三塁から9番・川本虎太郎内野手(3年)の中犠飛で同点に追いつく。ただ序盤から再三チャンスを迎えるものの、明大中野八王子の先発・中島 広太郎投手(2年)をはじめディフェンス陣が粘り強く守り得点を許さない。
帝京は安藤 翔投手(3年)が先発したものの、内容は今一つで3回途中から高橋 蒼人投手(3年)が登板。高橋も5回表に二死二塁から4番・井戸端治都内野手(3年)に中前安打を打たれ、1点を献上する。
それでも高橋は、6回表に7番・栗原の二塁打などで一死二、三塁のピンチを迎えると、明大中野八王子の1番・篠﨑 惠友外野手(3年)、2番・小薗 卓也外野手(2年)を連続三振に仕留める。高橋は2月に腰を痛め、練習ができない時期もあったが、インナーマッスルを鍛え、調子を取り戻してきた。この試合、交代当初はまだエンジンがかからない感じがしたが、6回からは、しっかりと稼働した感じだ。
そして明大中野八王子の椙原 貴文監督が「6回がすべてでした」と語る、問題の6回裏、帝京の攻撃を迎える。この回、明大中野八王子の中島は、あっさり2人をアウトにする。しかし8番・生井澤 海里捕手(3年)は、四球で歩く。無死からのピンチでもしのいできた中島だが、こうした二死からの四球というのは、用心すべき場面である。そして帝京は、こうした勝負どころを逃さない。
生井澤はすかさず二盗。9番・川本は、ボテボテの一ゴロ。内野の連係ミスもあり、生井澤は一気に生還し、同点に追いつく。川本も2番・奧山 悠仁内野手(2年)の中前安打で生還し、逆転する。帝京は7回裏も3点を加えて、試合を決めた。
明大中野八王子は、前半は互角以上の戦いをしたが、「いい試合だった満足しては、夏は勝てません」と明大中野八王子の椙原 貴文監督は言う。秋よりは力をつけている。勝負どころでいかに相手を上回るかが、夏に向けての課題になった。
一方勝った帝京の金田 優哉監督も、「全く駄目でした」と、厳しい表情。それでも、公式戦で経験を重ねることで強くなる。4回戦で対戦する早大学院には好投手がいる。そうした投手をどう攻略するか、注目だ。
(取材=大島 裕史)