東海大菅生vs沖縄尚学
高校生離れのフォークで強打の沖縄尚学を完封。ますます凄みが増す東海大菅生の150キロ右腕・日當直喜

日當 直喜(東海大菅生)
<センバツ高校野球:東海大菅生1-0沖縄尚学>◇28日◇3回戦
東海大菅生(東京)が1対0で沖縄尚学(沖縄)に完封勝利。エースで150キロ右腕の日當 直喜投手(3年)の真骨頂が見えた試合だった。
沖縄尚学は大垣日大(岐阜)の山田 渓太投手(3年)から4得点、クラーク記念国際(北海道)の新岡 歩輝投手(3年)から3得点と、しっかりと結果を残していた。東海大菅生バッテリーも沖縄尚学の対応力の高さを警戒していた。しかし日當には、強打の沖縄尚学を抑え込む武器があった。それは130キロを超える高速フォークだ。
直球は常時135キロ〜140キロで、最速は145キロ。この日の直球について日當は「球速ではなく、キレを求めました」と語るように、力んだ球ではなく、しっかりと指先にかかった直球で強く押し込んでいった。
「切れのあるストレートを投げられたことで、ファウルを多く打たせることができた」と手応えを口にする。
追い込んで投げたのが130キロ台のフォーク。本人は空振りを奪うためのフォークとゴロを打たせるために高速系のフォークを投げると語っていたが、落差が大きいフォークも130キロを超えていた。
130キロを超えるフォークを投げる高校生投手はほとんどいない。さらに直球も最速145キロ、平均球速137.75キロと、抑えめでも高校生投手としてはトップクラス。さらに決め球のフォークをランナー三塁の場面でもしっかりと投じることができていた。北島 蒼大捕手(3年)のストッピング技術の高さがあってこその配球だが、北島も必死に練習を重ねて作り上げたものだった。
「ストッピングは非常に苦手でした。だけれど必死に練習を重ねて、ついていけるようになりましたし、後ろに逸したら、自分の責任だと思っているので。だから日當には『後ろに逸したら俺の責任だから、思い切って腕を振ってこい』と伝えています」
日當が自分の投球スタイルを貫いていることが、北島の捕球技術に全幅の信頼を置いている証だろう。この試合、6安打、3失策と走者を背負う状況が多く、三者凡退のイニングは1回、4回のみだった。それでも日當は失点しない、大量失点をしない安心感がある。北島も「いつも抑えてくれるし、そこでの集中力は凄い」と信頼を寄せる。
日當は「味方のエラーをかばうのがエースの役割です。そして苦しい場面でも、バックのみんながゲッツーに取ってくれたりと助けてくれました」とエースとしての自覚が見える。
9回もピンチを招いたが、北島からは「強く腕を振ってこい」のジェスチャー。全力で腕を振った134キロフォークは記者席からでもはっきり分かるぐらい「ストン」と落ち、三振でベスト8を決め、甲子園で完封を達成した。センバツ2試合で11回を投げ、いまだ無失点だ。
準々決勝の相手は大阪桐蔭(大阪)で、15年センバツ、21年夏の甲子園で敗れている相手。21年夏は雨天コールドという悔しい幕切れで終わっている。真価が問われる一戦となりそうだ。
(取材=河嶋 宗一)