石川 昂弥
第95回記念大会となる23年センバツの出場校が決定した。コロナ禍以前のように、全校による開会式が行われるなど、大会は熱気を帯びることが予想され、甲子園の舞台での球児たちの全力プレーが期待される。出場を決めた各校の過去のセンバツの記憶をたどってみる。
昨年の秋季東海大会で4年ぶり12回目の優勝を飾った東邦(愛知)は、4年ぶり31度目のセンバツ出場を決めた。過去の主なセンバツ成績は以下の通り。
★1934年
2回戦:〇3対0 京都一商(現・西京=京都)
準々決勝:〇6対3 明石中(現・明石=兵庫)
準決勝:〇5対2 海南中(現・海南=和歌山)
決勝:〇2対1 浪華商(現・大体大浪商=大阪)
※延長10回サヨナラ
東邦商時代、センバツ初出場となった1934年に初優勝を成し遂げた。決勝では0対0で突入した10回表に1点を勝ち越されたが、その裏に2点を奪う逆転サヨナラ劇だった。センバツ第1回大会が開催された山本球場がある名古屋市に優勝旗が初めてもたらされ、市民は歓喜に沸いたという。その後、1939年、1941年にもセンバツで優勝を遂げている。
★1989年
1回戦:〇6対0 別府羽室台(大分)
2回戦:〇3対0 報徳学園(兵庫)
準々決勝:〇3対2 近大附(大阪)
※延長10回サヨナラ
準決勝:〇4対2 京都西(現・京都外大西=京都)
決勝:〇3対2 上宮(大阪)
※延長10回サヨナラ
前年、準優勝に導いた左腕エース、山田喜久夫投手を中心とした守りのチームがリベンジの優勝を遂げた。決勝戦は相手の送球ミスでサヨナラ勝ちするミラクル劇だったことは有名だ。歓喜に沸く東邦ナインの横で、元巨人の元木大介内野手ら上宮ナインがうずくまっているシーンは記憶に残る。
★2019年
1回戦:〇3対1 富岡西(徳島)
2回戦:〇12対2 広島広陵(広島)
準々決勝:〇7対2 筑陽学園(福岡)
準決勝:〇4対2 明石商(兵庫)
決勝:〇6対0 習志野(千葉)
平成元年だった1989年以来、30年ぶりの優勝だった。投打の柱、石川 昂弥投手(中日)を中心に相手を打力で圧倒するチームが伝統校復活の優勝をもたらした。この年は平成の最後の大会となっていたため、平成の最初と最後に東邦が優勝するドラマチックな結末となった。今センバツ、令和の新時代でも新たな伝統を刻むことができるか。
(記事=浦田 由紀夫)