三塚 琉生(桐生第一)、吉村 優聖歩(明徳義塾)
巨人のドラフトは育成指名でもガチというスタイルだ。欠点は多いけれど、1つでも突出した能力を持った選手ではなく、支配下を狙えるような総合力を持った選手を指名する。これは巨人のスタイルなのだろう。
巨人は育成指名が導入されてから真っ先に大量指名をしてきた。活躍した選手も多いし、逆に全く活躍できずに終わった選手も多い。それでも巨人は試行回数を増やしながら、活躍する可能性が高い育成選手を見極めてきた。そのためか、最近の巨人の育成ドラフトの選手レベルが高まっている。
育成1位:松井 颯投手(花咲徳栄ー明星大)は総合力から考えて、支配下登録に一番近い。140キロ後半の速球と精度の高い変化球など、なぜ本指名とならなかったのかと思わせるぐらいだ。
育成2位の田村 朋輝投手(酒田南)も、右サイドから140キロ後半の速球で勝負する剛腕。出力は大きく、剛腕サイドへ育つ可能性もある。まずはファームで1歩ずつ結果を残したい。
育成3位の吉村 優聖歩投手(明徳義塾)は左サイドの技巧派として、U-18代表でも好投を見せ、評価を高めた。左サイド特有の癖球があり、打ちにくい。同タイプでは高梨 雄平投手(川越東出身)というお手本がいるので、色々学びながら、存在感を示したい。
育成4位の中田 歩夢内野手(東奥義塾)はバランスが取れた遊撃手で、パンチ力もあり、強肩。若手内野手を刺激させる選手となるだろう。
育成5位の相澤 白虎内野手(桐蔭学園)はバランスが取れた巧打の内野手。パンチ力があり、育成指名ながら総合力が高い。大学野球に進んでいれば、4年後は即戦力型で活躍できると思わせる。巨大な選手層を誇る巨人で勝負する気概は買いだ。育成スタートではあるが、支配下登録の夢をつかんでほしい。
育成6位の三塚 琉生外野手(桐生第一)は期待している。「なぜ育成なの?」と疑問符がつくほどだ。春季大会までのパフォーマンスは圧倒的で、本塁打になれば場外級。守備範囲が広く、抜群の強肩を持つ。打撃、守備ともに高い意識を持ってプレーしている選手だった。ただ最後の夏の直前で下半身の負傷もあり、夏はほぼ気合でプレーしていた。打撃面は文句なしのアピールをしていたが、守備では明らかに負傷の影響が出ていた。それが、評価ダウンにつながったのかもしれない。
しっかりと走れる状態になれば、守備に関しては1位の浅野 翔吾外野手(高松商)以上。この2人でファームのクリーンアップを張るぐらいになって、別格のパフォーマンスを見せていけば、支配下登録も早いだろう。ケガに気をつけ、思う存分、暴れまわってほしい。
北村 流音(桐生第一)、森本 哲星(市立船橋)
育成7位の大城 元外野手(未来沖縄)は、140キロ後半の速球を投げる投手として活躍していたが、プロでは外野手登録となった。野手としても振り幅が大きいスイングで次々と長打を生み出すスラッガーである。
育成8位の北村 流音投手(桐生第一)は6位の三塚とともに桐生第一を牽引したエース。球持ちの良さで回転数抜群の速球を投げ込むセンスの高い投手である。打撃センスも高く、投手としてうまく行かない場合は野手転向もあり得る。三塚と違い、北村はややのんびりとした気質を持った投手で、今泉監督の粘り強い指導で、伸びてきた。1年目は3軍スタートになるが、そこで辛抱強く指導するコーチの存在が必要と考える。センスの高さは間違いないだけに期待したい。
育成9位の森本 哲星投手(市立船橋)は直球の球速こそ最速143キロと突出して速くはないが、鋭く縦に落ちるスライダーの切れ味は本物。ただ、オーバースローは左サイドほど、打者は苦しまないので、よほど駆け引きを増やしていかなければ、厳しい。3軍生活を送る中で、一番の武器である縦変化の球をしっかりと生かせる投球術を習得したい。
今回は育成指名は歴代でもトップクラスともいっていいぐらいの人材が入った。あとは現場がどう生かすか。もちろん、本人たちの意志の強さは必要だが、育成1位の松井、育成6位の三塚など、野球脳が高い選手もいるので、2年後には支配下登録になる選手が多くいても不思議ではない。
その青写真が実現できれば、22年の巨人ドラフトは「神ドラフト」と評価されるのではないか。
【指名選手一覧】
1位:浅野 翔吾外野手(高松商) 〇
世代No.1スラッガー。高校通算68本塁打を放ち、U-18日本代表にも選出。世界大会では1番打者として打線を牽引した。
2位:萩尾 匡也外野手(文徳-慶應義塾大)
大学ラストイヤーだけで、9本塁打を放っているスラッガー。4年秋には三冠王に輝く。
3位:田中 千晴投手(浪速-國學院大)
最速153キロ右腕。上から振り下ろすフォームからのフォークは脅威。
4位:門脇 誠内野手(創価-創価大)
二遊間を守れる171センチのセンスあふれる内野手。4年春季ベストナイン。
5位:船迫 大雅投手(聖光学院-東日本国際大-西濃運輸)
右サイドから140キロ後半の速球を投げ込む社会人屈指の実力派右腕。
選択終了
育成1位:松井 颯投手(花咲徳栄-明星大)
花咲徳栄出身の154キロ右腕。4年春リーグで38.1回44Kをマーク。
育成2位:田村 朋輝投手(酒田南)
素材は東北地区No.1右腕と評される149キロ右腕。
育成3位:吉村 優聖歩投手(明徳義塾)
左サイドの独特な角度が持ち味で、U-18ではアメリカ戦で好投。
育成4位:中田 歩夢内野手(東奥義塾)
青森県屈指の好遊撃手。投手としても140キロ後半の速球を投げる強肩が魅力。
育成5位:相澤 白虎内野手(桐蔭学園)
2022年の神奈川を代表する強打の内野手。
育成6位:三塚 琉生外野手(桐生第一)
スケール型の大型外野手。打球速度の速さ、飛距離は世代トップクラス。
育成7位:大城 元投手(未来沖縄)
身体能力抜群の速球派右腕。
育成8位:北村 流音投手(桐生第一)
140キロ後半を投げ込む群馬No.1右腕。
育成9位:森本 哲星投手(市立船橋)
最速143キロの速球、切れ味鋭いスライダーで勝負する千葉県屈指の左腕。
選択終了
(記事:河嶋 宗一)