試合レポート

聖光学院vs九州学院

2022.10.04

名将も「1人だけレベルが違う」と太鼓判 聖光学院・山浅龍之介がプロ入りへ快音響かす

聖光学院vs九州学院 | 高校野球ドットコム
聖光学院5番・山浅 龍之介

<とちぎ国体:聖光学院6-4九州学院>◇2日◇1回戦◇清原球場

 2日開幕したとちぎ国体は、2019年に茨城県で開催された国体以来となる3年ぶりの開催。日曜日開催ということもあってか、スタンドには大勢の観客が駆け付けた中で、夏の甲子園4強・聖光学院(福島)が九州学院(熊本)との開幕戦を制した。

 聖光学院が得点を記録した5度のイニングのうち、4度は5番捕手・山浅龍之介(3年)が絡んだ。先日、プロ志望届を提出し、自身の進路を決める上では最後のアピールの場となる大会で、初戦から快音を連発。3打数3安打1打点と両チーム唯一の猛打賞を記録した。

 タイミングを取る際にテークバックを引くことなく、バットの位置をぴたりと止まったまま軸足に重心をかけて、最短距離でミートさせていた。無駄をそぎ落としたシンプルな構えで快音を響かせたが、下半身の使い方で成長を見せた。

 振りだす際に下半身主導で動き出すことができていたため、フォームの中に少しの間が生まれていた。「甲子園までの打ち方では間がなかったため、上のレベルでは通じないと感じていました」と、最後の夏を通じて明確に感じていた課題だった。下半身の使い方を見直してきたことで、第1打席も低めの変化球に対して「泳がされることなく、しっかりと見て捉えられた」と成長を実感する1本だった。

 指揮官の斎藤監督も「1人だけレベルが違う」と太鼓判を押し、「右足の母指球で我慢できているので、壁ができて、バットを内側から出せていますね」と更なる成長を肌で感じ取っていた。

 イニング間のスローイングも1.8秒前後(手動計測)をマーク。攻守でレベルの高さを見せていた。国体という舞台を通じて、どれだけアピールできるか。

(記事=田中 裕毅)

[page_break:三冠王・村上宗隆の弟・慶太も国体で快音 NPB入りへ猛アピール]

三冠王・村上宗隆の弟・慶太も国体で快音 NPB入りへ猛アピール

聖光学院vs九州学院 | 高校野球ドットコム
タイムリーでガッツポーズする九州学院・村上慶太

<とちぎ国体:聖光学院6-4九州学院>◇2日◇1回戦◇清原球場

 聖光学院の前に終盤で突き放された九州学院。夏の甲子園のリベンジに燃えていたが「あと一歩及びませんでした」と指揮官・平井監督は悔しさを見せていた。

 ただプロ志望届を提出し、注目が集まった村上慶太内野手(3年)は2安打3打点、しかも、左翼席へ公式戦通算7本目となるホームランを放つなど、アピールには成功した。

 聖光学院・山浅は「夏の甲子園でもひっかけることが多かった」という外角中心の配球で攻めたものの、この試合は捉えられ、甲子園からの進化を感じたとともに打席でのオーラも違ったという。

 村上本人は「どこに対してもフルスイングすることはもちろんですが、外角に対してはレフト方向に打つことを心掛けています」。常に素直に打ち返すことは意識しているが、「甲子園ではうまくできなかった」と振り返る。

 その結果に悔しさを感じ、「何かを変えないといけない」と危機感を覚え、新チームの練習にまじってティー打撃などで、とにかくフォーム改善に着手した。

 構えた際にあまり動かず、グリップの位置を高めてミートポイントまでロスなく最短距離で叩くこと。この2つに焦点を置いて取り組んできた。また「普段から木製バットを使っている」と、インサイドアウトでバットを出すことを継続してきたことで、対応力が高まるだけではなく、逆方向にも飛ばせていると分析する。

 平井監督は村上の姿を見て「重圧からも解放されて、継続してきたことが少しずつつかみつつあると思います」とさらに才能が開花しつつあることを予感していた。村上は今後に向けて「全方向に長打が打てることや、チームバッティングができるのが強みだと思いますので、あとは守備などフットワークをしっかりして、より一層いい選手になれるように頑張ります」と意気込んでいたが、さらに成長した姿をどこで見せてくれるのか。

 この試合の翌日、「宗にい」と慕う兄・宗隆は三冠王、そして日本人最多本塁打の56号に到達した。さらに注目度は増したが、村上慶太の成長からも目が離せない。

(記事=田中 裕毅)

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.07.26

新潟産大附が歓喜の甲子園初出場!帝京長岡・プロ注目右腕攻略に成功【2024夏の甲子園】

2024.07.27

昨夏甲子園4強・神村学園が連覇かけ鹿児島決勝に挑む!樟南は21度目の甲子園狙う【全国実力校・27日の試合予定】

2024.07.26

名将の夏終わる...春日部共栄・本多監督の最後の夏はベスト4で敗れる【2024夏の甲子園】

2024.07.26

報徳学園が3点差をひっくり返す!サヨナラ勝ちで春夏連続甲子園に王手!【2024夏の甲子園】

2024.07.26

「岐阜県のレベルが上がっている」県岐商が2年ぶりの決勝進出も、岐阜各務野の戦いぶりを名将・鍛治舎監督が称賛!【24年夏・岐阜大会】

2024.07.25

まさかの7回コールドで敗戦...滋賀大会6連覇を目指した近江が準決勝で涙【2024夏の甲子園】

2024.07.24

享栄、愛工大名電を破った名古屋たちばなの快進撃は準々決勝で終わる...名門・中京大中京に屈する

2024.07.21

【中国地区ベスト8以上進出校 7・20】米子松蔭が4強、岡山、島根、山口では続々と8強に名乗り、岡山の創志学園は敗退【2024夏の甲子園】

2024.07.21

愛工大名電が今夏3度目のコールド勝ちでV4に前進!長野では甲子園出場37回の名門が敗退【東海・北信越実力校20日の試合結果】

2024.07.21

名将・門馬監督率いる創志学園が3回戦で完敗…2連覇狙う履正社は快勝【近畿・中国実力校20日の試合結果】

2024.06.30

明徳義塾・馬淵監督が閉校する母校のために記念試合を企画! 明徳フルメンバーが参加「いつかは母校の指導をしてみたかった」

2024.07.08

令和の高校野球の象徴?!SJBで都立江戸川は東東京大会の上位進出を狙う

2024.06.28

元高校球児が動作解析アプリ「ForceSense」をリリース! 自分とプロ選手との比較も可能に!「データの”可視化”だけでなく”活用”を」

2024.06.27

高知・土佐高校に大型サイド右腕現る! 186cm酒井晶央が35年ぶりに名門を聖地へ導く!

2024.06.28

最下位、優勝、チーム崩壊……波乱万丈のプロ野球人生を送った阪神V戦士「野球指導者となって伝えたいこと」