八千代松陰vs銚子商
八千代松陰は強豪・銚子商に完封勝ち!抜群のリーダーシップを持つ主将捕手が好投を導く

一色健也(八千代松陰)
<第75回秋季千葉県高校野球大会予選:八千代松陰4-0銚子商>◇20日◇1回戦
春準優勝、そして夏もベスト16の銚子商と、昨秋ベスト4の八千代松陰との一戦。千葉県大会でも上位で当たりそうな組み合わせが1次予選で実現した。
試合は八千代松陰優位で進んだ。
1回裏、八千代松陰は1死一、三塁のチャンスを作り、4番古積充外野手(2年)の犠飛で1点を先制。3回裏にも1死三塁から3番藤平愛也捕手(2年)の適時打で1点を追加。その後も、押し出し死球、犠飛で4対0とした。
リードを奪うと、大型左腕・一色健也投手(2年)が好投。直球は125キロ前後で、下級生の時から目に見えて球速が伸びたわけではないが、質の良い直球を両サイドへ投げ分けながら、ゲームメイクを行っていく。
この夏は2回戦敗退。一色も登板し、悔しい思いを味わった。藤平主将によると、「朝練や、自主練習でも人一倍練習していました」と目の色を変えて取り組んで、兼屋監督も「自覚を持ってほしいと常々いってきましたが、ようやく変わってきました」と成長ぶりに目を細める。
1年生の時は、まだ浮ついた感覚だったが、だいぶ地に足がついてきた感じがある。リードする藤平は「スピードガンを見ると速くないように感じますが、スピードガンにはない球の強さがありましたので、右打者の内角、左打者の外角をしっかりと投げることを意識しました。それができていたと思います」と8回途中まで無失点に抑えると、2番手には水谷鑑人投手(2年)が登板。135キロ前後の快速球は見応えがあった。粘る銚子商打線を抑え、4対0で完封勝利。代表決定戦へ進出を決めた。
「粘り強い戦いができていました。次も良い試合ができることを期待しています」と選手を称えた兼屋監督。こうした戦いができているのは主将の藤平の存在が大きいという。
1年夏からレギュラーとして試合に出場。部員数が非常に多く、分散して練習するなど、全員で練習ができない時でも、藤平はうまく選手たちとコミュニケーションを取りながら、結束を深めてきた。兼屋監督は「今年は彼のチームです。発言力があり、彼の発言から選手たちがまとまっていきます。また捕手としては、彼がいる、いないでは守備の安定感が全く違う。頼もしい存在です」と高く評価する。
また選手たちは得点を挙げても、大きく喜びを表すことなく、次のプレーに集中している。適時打を打った藤平も、一塁ベースに達した時、相手野手を観察して、次の塁を奪えないかを伺っていた。
「ゲームセットになるまで、次のプレーに集中しようとチームで徹底しています」
秋の段階でこれほど粘り強く、組織的に動けているチームはなかなかない。次は代表決定戦だが、この秋も躍進に期待がかかるチームであることは間違いない。
敗れた銚子商打線には、前チームからのレギュラーが上位に名を連ねたが、なかなか1本がでなかった。それでも2番手・矢澤詠司投手(2年)の120キロ後半の速球にはキレがあった。銚子商の指導スタッフからも期待されている投手で、敗者復活戦から県大会出場を狙うキーマンとなりそうだ。
(取材=河嶋 宗一)